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認知症のせん妄について
朝から暑いですね。
明日から、気温が下がるようなので今日一日我慢です。
前回認知症の話だったので、
介護でも困る、
認知症の周辺症状
(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)
の陽性症状に対処する時の話です。
正確には、せん妄とBPSDは違うのですが、
合併することもあります。
基本的には非薬物療法が第一選択です。
Alzheimer’s Society
Delirium-symptoms,diagnosis and treatment
せん妄とは何ですか?
せん妄とは、1~2日の間に突然起こる、人の精神状態の悪化や変化のことです。人は混乱したり、いつもより混乱することがあります。また、眠くなったり、眠気に襲われたりすることもあります。せん妄は、体調を崩していることを示す最初の兆候である可能性があり、認知症患者におけるコロナウイルス感染の最も一般的な初期症状の1つです。
時期柄でしょうか、コロナの話も絡んでますね。
以下の3つに分けられるようです。
①多動型せん妄
多動型せん妄の人は、以下の症状がでることがあります。
・落ち着きがない
・浮足立つ
・介護に抵抗がある、異常に警戒しているように見える
・自分がどこにいるのかわからなくなったり、時間がわからなくなったりするため、非常に苦しくなりやすい。
・介護者が自分に危害を加えようとしているという妄想や幻覚が見られることもある
せん妄といえば、これらの症状が思い浮かびます。
②低動型せん妄
低動型せん妄の人は、以下のようなことがあります。
・引きこもり、無気力、疲労感
・ねむい 、睡魔が半端ではない
・起きているときに集中できない
・非常に静かなため、低活動性せん妄であると気づかれないことがある。 ・食事がとれなくなったり、いつもより動きが悪くなったりする。
・ベッドで過ごす時間が長くなることもある。
認知症の方ではこういった症状もみられます。
全然起きてこなくて食事もしないなど。
低動型せん妄だったようです。
③混合型せん妄
混合型せん妄の人は、ある時は多動型せん妄の症状、ある時は低動型せん妄の症状があります。
これらの症状は、1日中、あるいは1日ごとに切り替わります。
例えば、ある時は非常に興奮し、その後、非常に眠くなることがあります。
①と②が混在することもあります。
せん妄の治療とサポートとは?
せん妄はまず、その原因となった医学的な問題に対処することで治療します。 例えば、血中酸素濃度や血糖値が低い場合は、すぐに改善されます。 感染症がある場合は、抗生物質を投与します。 痛み、便秘、尿が出ないなどの症状がある場合は、その治療が行われます。
また、医師は患者さんの薬を見直し、せん妄に関連する可能性のある不要な薬を中止します。
スタッフは、患者さんが規則正しく食べたり飲んだりできるようにサポートします。
せん妄は、原因を突き止め、治療すれば、通常、改善されます。
せん妄は意識障害の一種で、認知症の症状であるBPSDとは区別されます。
せん妄は症状が変動し、適切な治療で軽快します。
認知症にせん妄が伴っている場合、
せん妄が軽快するとBPSDも改善するそうです。
ベンゾジアゼピン系の薬(睡眠薬、抗不安薬)や、
抗コリン薬(パーキンソン病の薬)も注意が必要です。
支援的で穏やかな環境は、せん妄からの回復に役立ちます。
看護スタッフ、訪問する家族や友人は、次のような方法で支援することができます。
・短い文章で穏やかに話しかけ、自分がどこにいるのか自分は誰なのか安心させる。
・写真など家にある身近なものでサポートする
・補聴器や眼鏡が清潔で正常に作動し、本人が装着していることを確認すること
・24時間時計とカレンダーを本人が見えるように設置すること
・夜間の騒音や照明を落とすなど、良い睡眠の習慣を身につけさせる。
・安全が確認された時点で、座ったりベッドから出たりと、活動的になるようサポートする
・病棟内や病棟間を移動したり、自宅でせん妄を管理している場合は入院させたりと、不必要な移動をしないこと。
これらをまず行うべきだそうです。
そうはいっても、それでも興奮したり、暴言暴力が酷い場合もあります。
なんとかしてくれと言われることも多いです。
医師は通常、せん妄を治療するために薬を与えることはありません。
薬物療法は、その人の行動(例えば、多動性せん妄の激しい興奮)が自分や他人に危害を加える危険性がある場合、あるいは幻覚や妄想がその人に強い苦痛を与えている場合にのみ検討されるべきです。
せん妄に保険適応がある薬はありません。
適応外使用です。
そうはいっても実際必要なので、いくつかの薬は例外的に使用してもよいことになってます。
2011 年の社会保険診療報酬支払基金、第9次情報提供によって、ハロペリドール、クエチアピン、ペロスピロン、リスペリドンについては、
「『器質的疾患に伴うせん妄・精神運動性興奮・易怒性』に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」と通達されています。
これらの薬について、
以下のような違いがあるようです。
①ハロペリドール(セレネース):
注射剤あり。パーキンソン病、レビー小体型認知症で禁忌。
鎮静作用は弱く、睡眠を促すような作用が強いわけではない。
②リスペリドン(リスパダール):
液剤は効果発現が早い。
③クエチアピン(セロクエル):
半減期短い、糖尿病では禁忌。鎮静作用強い。
パーキンソン病やレビー小体型認知症でも使用可能。
④ペロスピロン(ルーラン):
半減期短い、糖尿病でも腎機能低下でも使える。
その他、適応外使用ですが、以下の薬も使用されます。
・オランザピン(グラマリール):
抗コリン作用強い、糖尿病で使えない。筋肉注射剤もあり。
口腔内崩壊錠は水なしで内服できる。鎮静作用は強い。
・アリピプラゾール(エビリファイ):
低活動性せん妄に有用かも。アカシジアのリスクあり。
・ロナセンテープ:
ハロペリドールに近い、かぶれやすい。
ちなみに・・・・
「向精神薬」と「抗精神病薬」の違い
「向精神薬」とは精神作用を持つ薬を幅広く指す用語で、
「抗精神病薬」は向精神薬の一部で抗幻覚・妄想作用を持ち、主に統合失調症の治療薬ということになります。
「抗精神薬」という用語はない。
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