「新型コロナウイルスにかかる人とかからない人の違い」についての論文

なんだか毎回書いてますが、
今日も「暑い」です。
九州では梅雨前線の影響で雨(大雨)の予報のようですが、
関東圏では、熊谷と前橋で36℃と、猛暑日の予想となっています。
熱中症に気を付けましょう。

今回は
新型コロナウイルスにかかる人とかからない人の違いについて、
実際にウイルスを投与してみた!という論文です。

これだけ見るとYoutuberみたいですが、
かなり難しい内容なので、

EpochTimesから引用です。
First-of-Its-Kind Study Explains Why Some People Don’t Get COVID-19.
6/19/2024.

研究者らは、鼻腔がCOVID-19ウイルスにさらされた後でも、一部の人々がウイルスに感染しない理由を発見した。
「これらの研究結果は、症状が現れる前にウイルスが定着するか急速に排除されるかを決める重要な初期段階の出来事に新たな光を当てている」と、研究論文の主任著者でロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの呼吸器医学名誉顧問であるマルコ・ニコリッチ博士はプレスリリースで述べた。この研究は、英国とオランダの研究者らが実施したヒトへの感染実験である。参加者がCOVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2に意図的にさらされる実験としては初めてのものだ。

もとの論文は下記となっております。
Human SARS-CoV-2 challenge uncovers local and systemic response dynamics.
Nature. 19 June 2024.

研究者らは、この研究のために30歳未満の若く健康な参加者16人を募集した。参加者には併存疾患はなく、これまでにCOVID-19に感染したこともワクチン接種を受けたこともなかった。

3つの異なる免疫反応
16人はウイルスへの曝露に対してそれぞれ異なる反応を示し、それに応じてグループ分けされた。
最初のグループには症状のある6人が含まれていた。研究者らは彼らを「持続感染」と分類した。
2番目のグループの人々は無症状であったが、PCR検査でCOVID-19の陽性反応が出た。これらの参加者は「一過性感染」と分類された。
3番目のタイプの人々は無症状で、COVID-19のPCR検査結果が継続的に陰性であった。著者らは、これらの参加者が感染していたことを確認しましたが、感染が急速に治ったため、感染は「不完全感染」と分類された。
著者らによると、無症状のCOVID-19に感染していた第2および第3のグループは、より速く、より僅かな免疫反応を示した。

2021年6月から8月に登録し、
接種後1年間追跡したそうです。
(この研究は主に接種後の最初の 28 日間に焦点を当てています。)

直接鼻にα型野生型ウイルスを投与してます。
この頃に、こういった実験を行うのはチャレンジャーですね。

日本では2021年5月から高齢者に対するワクチンが開始ですが、
イギリスは2020年12月頃からだったので、
ワクチンうってる人が多いイメージだったのですが、
参加者は未接種だったようです。

ちょっとわかりにくいので補足。
(もっとわかりにくい?)

 ①6 人の参加者が持続感染を発症した。
「持続感染」とは、症状を伴い、鼻腔および/または咽頭 PCR による定量可能なウイルス量の検出が少なくとも 2 回連続して行われたことで定義された。

②3 人は、接種後 1.5 日目から 7 日目の間に、散発的かつ陽性境界の PCR 検査結果であった。これらの参加者は「持続感染」に分類される以前の基準を満たさなかったため、別の「一過性感染」グループに割り当てられた。

7人の参加者は隔離期間中ずっとPCR陰性のままであり、これはこれらの個人が持続的または一過性の感染の発症をうまく防いだことを示している。これらの参加者は全員血清陰性のままであったが、早期の自然免疫応答を示すことが観察されたため、「不完全感染」に割り当てられた。


 1日目に、著者らは無症状のグループにおいて感染部位である鼻に移動した免疫細胞を検出した。しかし、COVID-19の検査で陰性だった人はより少ない種類の免疫細胞を集めたのに対し、COVID-19陽性のグループはすべての種類の免疫細胞を集めた。COVID-19感染が持続し症状のある人は、免疫反応がより遅く、より系統的だった。これらの参加者は、1日目ではなく5日目にすべての種類の免疫細胞が鼻腔内に流入した。

鼻腔の繊毛細胞を採取して、
様々な検討をおこなっているようです。
不完全感染では、あまり免疫細胞が集まってこないのに対し
持続感染では、免疫反応がより過大であったようです。


遺伝的要因
HLA-DQA2
などの特定の遺伝子の発現が高い人は「持続的なウイルス感染の発症を防ぐのに優れている」と著者らは書いている。
他の研究では、血液中のHLA-DQA2の活性の増加がCOVID-19の進行の軽度化と関連していることが示されている。
HLA-DQA2 は、数あるヒト白血球抗原 (HLA) 遺伝子の 1 つ。HLA 遺伝子は、細胞表面に表示されるタンパク質を生成する。病原体が細胞に感染すると、HLA タンパク質は、感染したことを免疫細胞に知らせる。
著者らは、HLA-DQA2の活性が感染細胞におけるSARS-CoV-2ウイルスのさらなる生成を防ぐことをデータで確認したと述べた。

HLA関連の話は、
いくつか出て、
そのまま消えていった記憶があります。
今回のはどうなんでしょうね?


COVID-19の症状がある人だけが、全身的なインターフェロン反応を示した。インターフェロンは免疫系のメッセンジャーであり、免疫や炎症の活動を軽減または悪化させるのに役立つ。
著者らは、血液中のインターフェロンが感染部位のインターフェロンよりも先に活性化されたことに驚きました。血液中のインターフェロン活性は感染3日目にピークに達しましたが、感染部位である鼻でのインターフェロン活性は5日目まで検出されませんでした。
プレスリリースの中で、著者らは、鼻の免疫反応が遅いために感染が急速に広がった可能性があると述べた。
無症状の人には全身性インターフェロン反応がなく、感染細胞が存在することもほとんどなかった。
当然ながら、「感染細胞は症状のある人の鼻腔にほぼ排他的に見つかった」と著者らは記している。被験者の鼻腔の内側を覆う細胞がSARS-CoV-2ウイルスを産生し始め、ウイルス量の増加に寄与する。
「私たちは現在、免疫反応の全範囲についてより深く理解しており、それがこれらの自然な防御反応を模倣する潜在的な治療法やワクチンを開発するための基礎となる可能性があります」とニコリッチ博士は述べています。

持続感染では、
最も初期の症状でさえほとんどが接種後4日目に現れたようですが、
血液中のインターフェロン応答をみると、接種後2日目には早くも開始されていたようです。

鼻の免疫反応が速やかかつ、
適切に行われれば感染は不顕性で済むということのようです。
上気道感染なので、
鼻腔や気道などの粘膜免疫が重要なのは当たり前のことでしょうか。

ワクチンで、
血中の免疫(抗体)を増やして喜んでも、
あまり意味ないのでしょうか?


 


 


 



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