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度胸が決め手 | ラジオ日記『今朝の三枚おろし』

今週の『武田鉄矢・今朝の三枚おろし』は面白かった。
タイトルは「青春と加齢」。

武田鉄矢さんは三枚おろしのネタ探しで書店に通う。今回は年齢の近い方から、外山 滋比古著『老いの整理学』をチョイス。そしてこれとは対照的な若い方向けの本としてF著『20代で得た知見』をピックアップして、歳を重ねて得られた知見と若者の感覚を比べてみてみよう、というなかなか面白い内容。

そんな中、今回私がはっとしたのは、『20代で得た知見』にて紹介されている、異性(女性)に求めるものについてのくだり、武田鉄矢さんが語る。

私が唯一女性に求めるのは綺麗でも可愛いでもありませんね。
綺麗な女性も可愛い女性もたくさんいますよ。1番大事なことは…度胸です。

F著『20代で得た知見』より | 武田鉄矢・今朝の三枚おろし2023年5月1日

この一文に武田鉄矢さんは大変共感されていた。それと同じく私も全くもって強い共感を得た。というのも妻に対して、

(私はこの人と結婚したい)

と確信を得たのはまさに彼女の度胸を見た時だった。

ここから少々私の思い出話。


まだ妻と出会って間もない頃、2人の共通の趣味である登山をしようということで、私はせっかく行くならと思い張り切って八ヶ岳にチャレンジしてみようと提案。どんどん話が膨らんで、じゃあ山頂で日の出をみよう、となった。

登山当日。天気は良好、体調も万全。登山は順調な工程で進みとっても微笑ましく登山を楽しんでいた。

夕方。無事、山頂手前の山小屋に到着し夜を待つ。明日の天気も良さそうだ。これは山頂でキレイな日の出が拝めるぞ!と2人で楽しく仮眠をとる。ここまでめちゃくちゃ順調に進んでいた。

夜中に起床。準備を整え外に出る。一面の星空にそれまた感動した。さあいよいよ夜行登山と思い、山頂に続く登山口に向かった時、私は完全にビビってしまった…。

真っ暗で何も見えない、しかも一面森が広がり、

(ここ入っていったら完全に遭難するな)

と思ってしまった。八ヶ岳も2回目のチャレンジだったから自信があった。夜行登山も経験はあったがそういえば富士登山だけ。

八ヶ岳の登山道と富士山の登山道は全くもって違う。富士山には森がないので、ただ目の前にある登山道をひたすら歩くだけで良い。シロウトでも大丈夫な環境。加えて視界も広いので次の到着ポイントが上を見上げれば見えるからどこへ行けば常に分かる。

しかし、それに比べて目の前にある八ヶ岳の登山道は真っ暗、闇しか無い。これには完全に怖気付いた私。ここを進むのはムリ。そう思ったので、私は彼女に、

「これは進めないね、今日は諦めよう」

と伝えた。
しかし彼女は諦めない。落ち着いた表情で、

「えーせっかく早起きしたし、行ってみようよ」

と返ってきた。

私はもうビビっているし心配が膨らむばかりで考えも浮かばない状態。正直、彼女をどうしたら諦めさせられるか、しか考えてなかった…。

短い間、だが私には長く感じられたその間に、私たちの横を通り過ぎて目の前の暗闇に突き進んでいく二人組の登山者がいた。

装備、身のこなしからどーみても玄人。私はその人たちを横目に

(そうそう、こういう人じゃないと八ヶ岳の夜行登山はムリムリ)

と決め込んでいた。

そしたら彼女がふと、

「すみません、今から山頂まで行きますか?ついていってもいいですか?」

とその玄人の登山者に声をかけていた。

(なんて度胸だ、この状況でしかも全く知らない他人に声かけられるなんて!)

と驚いていたら、

「ああ、いいですよ。ゆっくりいきますから無理せずについてきてください」

とその人たちも快く受けてくれた。

意を決して、そのお先真っ暗に感じられた暗闇を入っていくと、実際には森エリアはほんのちょっとですぐに森林限界標高を超え岩場になった。岩場は手を使う必要はあったものの、視界は広く足場さえしっかり留意すればなんてことはない。

夜も徐々に明けてうっすらと明るくなるうちに私も気持ちを取り戻していった。

そして無事山頂に到着、2人で登頂の達成感と共にとっても素敵な日の出を拝むことができた。


この出来事に遭遇したとき、私は彼女に対して

(この人は素晴らしい度胸の持ち主だ、私にはこの人が必要だ)

という確信を得た。

そんなエピソードを持つ私は今朝のラジオで「度胸」の話に出会い強く共感をした、という訳である。

何食わぬ顔でキッチンに立つ今は妻の内面には並々ならぬ度胸があることを改めて思い出した朝。

尊敬できる相手と共に成長したいね〜ん。

三木道三 | life time reapectより

そんな妻に敬意を表して、今日はおわりにしたいと思います。

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