お金も学歴も幸せとは無関係?幸せになるための本当の秘訣とは? | Science of Well-Being講義解説
今年1発目の私のお勉強は、幸せの心理学についてでした。
元ネタはCoursera社が提供するオンライン講座。イェール大学で人気を博したローリー・サントス教授による、幸せのメカニズムを心理学の観点から分析する講座。約460万人が登録という驚きの数字、そしてテキストは日本語翻訳に対応しているのが嬉しいポイントです。
幸せというのは偶然のたまものでも受動的でもなく、
必然であり能動的に得られるもの。
そして、ただ知っているだけでは決して人は幸せになれず、行動してこそ幸せになれるのである。
そんなメッセージに私自身とても勇気づけられました。
ここで学んだ内容を見返すように記録したい。
願わくば、誰かの幸せにもつながるかも?
なんていう想いも込めて、この講座の内容を私なりの解釈で紹介していきたいと思います。
幸せに対する誤解
講義の前半では、人が持つ幸せに対する誤解について語られます。
幸せになるためには、何が必要か?
という問いに対して、実は人は自分たちを幸せにしてくれるものを勘違いしている、というところからスタートします。
その人が持つ幸せに対する誤解とはズバリ、
お金も学歴もルックスも
人を幸せにするエッセンスではない。
Wow!ホンマに?
とついツッコミたくなりませんか?
この講義の中では具体的な実験内容や過程を基にこれらが誤解であることが証明されていきます。
その内容もとても興味深いので、興味のある方はぜひ講義をチェックしてみてください。
かいつまんで、ポイントをピックアップしますと、
まずはお金について。
お金は人間が生きていく上で必要なレベルに達するまでは幸せの度合いは上がるものの、ある一定のレベルに達すると幸せの度合いは高止まりする、というのが過去の実験で明らかになっています。
その一定のレベルって、なんぼ?というのも検証されており、アメリカで行われた実験では、年間7万5千ドル(大体800万から1000万円と推測)がしきい値という結果が出ています。
これが巷で言われている、年収1000万円を超えても幸せの度合いは増えない、と言われている元かな?と私は理解しました。
次に学歴について。
学歴というのは自分より下がある時は優越感に一瞬浸れるものの、自分より上の存在を知った瞬間に不幸になる、という諸刃の剣。
ルックスについても学歴と一緒。
私も正直、お金持ちになれば幸せになれる!と信じている身なので、この内容に触れた時は衝撃というか動揺を隠しきれませんでした。
ここで一気に内容に引き込まれた私。どんどんいきたいと思います。
誤解が生まれる厄介な習性とは
ではなぜ人はお金や学歴やルックスが自分を幸せにしてくれると誤解してしまうのか?という心のメカニズムについて語られます。
これは私たちの感情には厄介な習性があるから、というのが科学的根拠によって解き明かされています。
幸せの行動を取るためには、この厄介な習性を知っておくことが大事だそうです。
その厄介な習性は以下の4つです。
「慣れ」の習性。人は一度知ったり体験したりすると上手になる。それにより時に直感が働く。しかしその直感が正しいとは限らない。
「比べる」習性。人は何かと誰かと比べることでその物事の良し悪しを決めがち。
「飽きる」習性。自分が好きだと思ったことは永遠に続くと思ってしまうが、実際には慣れや飽きがくる。
「忘れる」習性。その慣れや飽きが来ることを人は知らない。
この厄介な習性を理解しておくと、自分の心の中で起こる起伏に対して納得することができるようになります。
幸せになるためのアクションプラン
と、ここまで来てようやく具体的なアクションプランが紹介されます。
そのポイントは、先に挙げた厄介な習性に対してどう対処していくか、ということです。
人は自分が幸せになるだろうと思っているモノやコトを勘違いしがちだから、その勘違いを正す行動を心がけましょう、ということです。
その実践方法を私の解釈も踏まえてまとめたのが以下の4つとなります。
生活は「お金」よりも「時間」が大事。
仕事は「昇進」よりも「夢中」。
スキルは「比べる」のではなく「育む」。
体験は「自慢」ではなく「記録」する。
生活は「お金」よりも「時間」が大事
お金よりも時間の方が価値は上、だそうです。
Time is money. ではなく、Time is more valuable than money. という感じでしょうか。
これに関する実験から、時間に意識を向けると人はより社交的になるため、幸福度が上がるのだそうです。
時間を手に入れたら、人との交流を楽しむ、これが幸せになる第一ステップです。
仕事は「昇進」よりも「夢中」
次に仕事についての興味深い視点。
良い仕事というのは、ステータスでも高給でもなく、自分の強みが存分に発揮できて且つ夢中になれる場所です。
ある実験の結果、仕事で自分の得意なことを用いると、前向きな気持ちが増えるようです。
この得意なこと、自分の強みと、ポジティブになれる経験が加わると、人はそれを天職である、と感じるそうです。
では、そのポジティブな経験とは何か?
それはズバリ「夢中」になること、だそうです。
科学用語では「フロー」と呼ばれる状態。最近では「時間が飛ぶ」なんていう表現も聞いたことがある、それです。
で、この「夢中」になるにはただ好きなこと、得意なことをやるだけでは不十分で、そこには「挑戦」する要素も必要だそうです。
以下が講義の中からの引用です。
スキルは「比べる」のではなく「育む」
スキルと呼んでいますが、学歴も給料体型も、人は本能的に人と比べたがるのですが、比べることで人は不幸になる、というのが実態です。
なのでこの講義で提唱しているのは、自分の成長に集中する、ということです。
どういうことかというと、例えば学校の成績。
とかく教育の現場ではずーっと自分の成績が数値で評価されてきました。
こうすると人は本能的に、自分はこのクラスで何番なのかを見て、自分は上の方か、それとも下の方なのではないかと成績を他の人の結果との対比に用いる傾向にあるかと思います。
そうではなく、成績というのはあくまでも自分の実力を測るバロメーターである、という捉え方が健全な捉え方です。
そうすることにより、点数や成績が良い科目は自分の得意な分野であるという証ですし、逆に点数が低いところは自分が苦手な分野であるというように捉えることができ、結果に一喜一憂することがないのです。
このように、自分の成長を軸に結果を捉えられる状態を成長マインドセットと呼びます。
成長マインドセットを持っている人は、成績やテストの結果を全体の順位を見るのではなく、自分自身の成績が上がったかどうかを見ています。そして一生懸命努力すれば成績アップ、すなわち自分の成長につながると信じています。
そんな心持ちで学生時代を過ごしていれば、どれだけ勉強が楽しかっただろう、と私はちょっと悔しい想いに駆られました。
この項で加えて大事な概念が、物事に対するモチベーションが外的なものか内的なものか、ということです。
外的なモチベーションとは、報酬だったり賞だったり、何かを得るために頑張る、というもの。これのリスクはその報酬がなくなると、その物事に対するやる気がなくなってしまうというものです。
だから、「好き」を仕事にすると、そのことが嫌いになるという現象が起こるのかと納得。仕事は好き嫌いではなく得意・不得意で選ぶのが上手く行きやすいのでしょう。
体験は「自慢」ではなく「記録」する
最後に自身の体験についてです。
人生、素晴らしい体験をすることは人生を豊かなモノにしてくれますよね。でもその体験を何のためにやっているのか、によって自分の幸せを左右するそうです。
SNSにより、自分の経験を「自慢」する傾向が強くなっているようです。
加えて他人の人の自慢話や投稿を見るだけでも、不幸な気持ちが増えてしまう、という実験結果も出ているそうです。
ちなみにサントス教授は、「SNSをスマホから削除しましょう」とまで提唱しています。
では、その貴重な経験はどうすれば自分の幸せにつながるのか。
そのポイントとなるのが「記録」です。
例えば旅行に行った際に、写真を撮ったり、お土産を買ったりするのは、決して誰かに自慢する目的ではなく、自分がその経験を後々振り返るためのものとすると幸せ度合いは上昇します。
そうやって素敵な経験を振り返るきっかけを持っていることで、自分の中でその経験を繰り返すことができて、それが幸福を長く継続することにも繋がります。
そこで私がピンと来たことと言えば、
日記を書く、という習慣が最強の幸せ習慣なのではということです。
もちろん素敵な経験について記録しておくのも良し。
加えてサントス教授が勧めているのが、「感謝」についての記録を残していくことです。
そうやって自分の感謝の気持ちを形にしていくことも、自分の幸福度を高めることに効果があるのだそうです。
ということで、今回の記事はボリューム満点となりましたが、実はまだまだ他にもタメになる内容が盛りだくさんな講義でした。この講義が人気を博したというのにも頷ける内容でした。
ぜひ、気になった方はCourseraのオリジナルの講義をチェックしてみてください。
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