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100円ショップなんていう便利なお店はドイツにない | 自己満足のドイツ駐在記録 (4)

2016年8月。

いよいよドイツに旅立つ時がやってきた。

学生の時に短期で留学はしたことはあったものの、長期で海外に住む、なんていうのは初めて。

海外生活の準備の一環として、会社のプログラムによる海外赴任にあたっての心得みたいなテーマのセミナーを受ける機会があった。

私個人的にはこのセミナーを受けておいて良かったなぁ、と思う。

セミナーの講師が自らの海外赴任の体験を語る。子供の教育のこととか、その他苦労話とか。

実際、その方の赴任先は東南アジアとかアフリカとかドイツに比べてめちゃくちゃハードな環境での海外生活なので、参考になる部分は少なかったのだが、

共通する「子供の教育との向き合い方」とか「自分自身のメンタルの持ち方」とか、そういった抽象的な部分を聞いておくことで

(海外生活に不安を持つことは当たり前なんだ)
(大変なことがあってもなんとか乗り越えられるんだな)

みたいな勇気づけになったんじゃないかな、と思う。

一方で具体的なアドバイスももらうことができる。
例えばワクチン。赴任先の国別で接種しておくべきワクチンが異なる。その一覧表をもらうことができる。

ちなみにドイツの場合はダニ脳炎のワクチン接種が推奨されている。森が多いドイツでは山ダニに噛まれるリスクが高いため。

ただ、個人的には急いで日本で打たなくてもドイツに来てからでも接種ができる。

加えて日本だと保険の対象外だったが、ドイツで接種すれば保険の種類にもよるが全額カバーされるケースなんかもあるので、前任者の方に聞いてみることをおすすめしたい。

他にはテロについて。海外、特に欧米で住むということはテロのリスクは避けられない。実際にウチの会社の人でテロに遭遇してしまったケースが実際に何人もあるという事実から身近なリスクと捉えている。

テロに対しての心得は
「現地の文化をしっかり理解すること」
「情報収集、ニュースはこまめにチェック」
「無理はしない」

具体的にはラマダン(断食)の時期に外国人だけが集まるような場所やイベント、西洋系のレストランなどはやはり狙われやすいとのこと。できる限り現地・地元の文化に則した生活を意識することがリスクヘッジにつながるとのことだ。


そんな海外で暮らすためのタメになる話を聞いていたら、いよいよ引っ越し。

ウチの場合は私が先に赴任して3ヶ月後の家財道具が届いたタイミングで家族がドイツに来るという形をとった。

なので引っ越しの前夜に家族は実家にお世話になるためしばしのお別れとなった。

家族のいなくなった家に1人でいることの寂しさというのはない。

特に一歳の子どもが急にいなくなって

「シーーーン」

と耳に響く無音。これがまたキツイ。
と、そんな感情に浸っている暇はない。
とにかく引っ越し準備だ。

ウチの場合、引っ越しで持って行けるものの量が決まっていたのでとにかく断捨離しなきゃという思いが強かった。

お風呂の桶や椅子
洗濯ネット
カラーボックス
ハンガー
などなど

捨てられるものはとにかく捨ててしまおうと必死になって片付けた。

この行動、後ドイツに来た妻と揉めることになってしまった。まぁ、自分でも

(ちょっと捨て過ぎたかな…)

と感じていた部分はあったのだが。私が悪かった。こういうことはちゃんとコミュニケーションとりながら進めないとダメですね。

私としては

現地で買えるものは買えばいい

と考えていた。
しかし、文化圏の違うドイツでは日本みたいに気の利いた小物類はそう簡単に手に入らない、ことを後々になって知る。

特に洗濯ネットなんてなかなか手に入らないし、あっても日本みたいにいろんなサイズがある訳ではない。

100円ショップなんていう気の利いた便利なお店はドイツにはない。

なので特に100円ショップで売っている便利グッズ系は捨てずにとっておく、もっと言えば先に買っておくことをおすすめしたい。反省の意も込めて。

ちなみに、我が家で重宝しているのは、キッチンで使う水切りネットと三角コーナー(とそのネット)。私の知る限りこういう排水口のネットはドイツで見たことがない。なので日本に帰った時に大量に買いだめして持って帰ってきています。

カラーボックスについては、ドイツで売っていることは売っている、けど、価格帯が全然違う!

日本の価格帯を知っているとわざわざ買おうと思えないのである。

なので我が家ではイケヤで泣く泣く買い直した部分はあるものの、未だに

(あの時捨てなければヨカッタノニネ…)

という空気感がある。

カラーボックス、どのみち洋服とかそのまま箱詰めして持って運送できるので、私としてはできるだけとっておくことをおすすめしたい。

なんて今日はおすすめの多い内容。

そんなこんなで無事引っ越し作業は完了。

布団も何も無くなった空の家で一晩だけ過ごすことにした。理由はただホテル泊のお金をケチりたいがため。

だったが、空っぽの家、カーテンもなく電気もなく机も椅子もない家でコンビニ弁当と缶ビールを飲みながら、しみじみ

(こっから海外生活が始まるのか…頑張るぞ。)

みたいな感情に浸れたのは今思えば懐かしい思い出。実際には不安いっぱいだったけど。

翌日、空っぽの家を引き払い空港へ。

出発の日に限ってまさかの関東に台風直撃という状況。
滑走路にはどんよりとした雲、窓にパラパラっと打ちつける雨音。

これで本当に飛ぶのかなとこれまた不安になりながらフライト情報を見つめる。

私のフライトは運良く、台風が上陸する前に飛べそう、とのことでギリギリ飛び立つことができた。

そんな前途多難なドイツへの旅立ち。いよいよドイツでの新たな生活が始まる。

つづく

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