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【麻酔記録】戦略を練る

手術をうけた患者さんが
再び手術になることは
珍しくありません。

膀胱癌の再発でTUR-BT
片側人工股関節置換術後で反対側も
開頭血除去術後ではずした頭蓋骨をもどす

などなど

このような
「手術歴のある患者さん」の
麻酔依頼を受けたとき

麻酔科医は
以前の麻酔記録を
確認します。

麻酔科は
基本的にチームで診療することが多く、
同じ患者さんの
麻酔担当をすることはまれです。

なので、
誰が記録をみても
わかるように記載する。

診療録の基本ですね!

麻酔記録は、まず
超重要情報である
「気道の情報」を確認する、という話は
以前の記事でお話しました。

今回はそれ以外のところを
解説します!

鎮痛情報

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前回と同じ手術を受ける場合、
前回の方法で
鎮痛がうまくいっているのであれば
今回も同じで大丈夫でしょう。

しかし、
「術後に痛みが強くて大変だった」
場合、鎮痛方法を考える必要があります。
量を増やしたり、
方法を変えるわけです。

逆に、
効きすぎて

「気持ちが悪くなってしまった」
「血圧が下がってしまった」

場合もあります。

このときも調整が必要になります。

手技の情報も重要です。

硬膜外麻酔は容易にできたのか?
神経ブロックはうまくできたのか?

難易度が高い場合、
事前の準備をしたほうがいいかもしれません。

CTで解剖を確認する
エコーを準備して椎体を確認する

など
対策をすることで、

結果的に
短い時間で
確実な手技を
行うことができます。

あるいは鎮痛手段を変更してしまうのも手ですね。

鎮静情報

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「患者さんがずっと寝てて
反応もあんまりないんですけど、、。」

「どうしたらいいでしょうか?」

病棟から
「覚醒不良」について問い合わせです。

単純に
鎮静薬が多く入ってしまったので起きないのか?
それとも何か器質的な異常が起きているのか?

これを判断するためには
やはり麻酔記録が大切です。

麻薬や鎮静薬の量
筋弛緩薬の拮抗は適切か
BIS値は低かったのか
低血圧が続いていないか

経過観察してもらうのか、
画像検査やコンサルトを依頼するのか

その決断や相談も
麻酔記録を眺めながらになります。

循環情報

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術後にトラブルがおきたとき
術中はどうだったのか?

麻酔科医として
意見を求められることがあります。

例をみてみましょう。

「病棟にあがったら胸が痛い、というので
12誘導心電図をとりました」

「Ⅱ、Ⅲ、aVFでST低下があるんですけど、
術中はどんな感じでしたか?」

さあ、なんと答えましょう?
麻酔記録の中に答えはありますか?

術中の

ST変化はあったか
不整脈はなかったか
低血圧が続いたか
昇圧薬は頻繁に必要だったか
輸液は入れすぎていないか

循環器疾患は
発症時間によって検査値も変わります。

術中使用した薬剤がどう影響をあたえたのか、
どのような反応を示したか、
参考になることもあります。

特別なトラブル

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その他、
アナフィラキシーや呼吸トラブルなど。
特別なトラブルがあった場合には
その詳細を記載します。

どのようなことが起きて
原因はなにで
どのように対処したのか

麻酔科だけではなく
他科が閲覧する可能性が
高いところです。
略語などなるべく
使わないように記載しましょう。

まとめ

それでは、今回の話をまとめです。

●麻酔記録は診療録。誰もがわかるように記載する。
●麻酔記録は次回の麻酔や術後のトラブルに備えてつける。

ディスカッションできるように
麻酔記録が書けると
いいですね!

少なくとも、
自分がふりかえって
わかるように
記録しておきましょう。


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