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視覚障がいの方向け 新型コロナウィルス関連のまとめ

正直、もっと早く、緊急事態宣言が出された頃に

記事にまとめるべきだったと思うのですが…。全国でレッドステージとなり、更なる流行が懸念される現在ですが、僕なりに知っている情報をいくつかまとめて紹介したいと思います。堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターの点字図書館の訓練・相談員による新型コロナウイルス関連情報まとめページが大変参考になりますので、そちらも合わせてご覧ください。

1 視覚に障害のある方への新型コロナウイルス感染症に関するテキストデータの提供について

広島県健康福祉局障害支援課が、こちらに「視覚に障害のある方への新型コロナウイルス感染症に関するテキストデータの提供について」を掲載しています。以下に全文を引用します。

新型コロナウイルスを防ぐには

新型コロナウイルス感染症とはウイルス性の風邪の一種です。
発熱やのどの痛み、咳が長引くこと(1週間前後)が多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える方が多いことが特徴です。
感染から発症までの潜伏期間は1日から12.5日(多くは5日から6日)といわれています。
新型コロナウイルスは飛沫感染と接触感染によりうつるといわれています。
飛沫感染は、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。
接触感染は、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染します。
重症化すると肺炎となり、死亡例も確認されているので注意しましょう。
特にご高齢の方や基礎疾患のある方は重症化しやすい可能性が考えられます。

日常生活で気を付けること

まずは手洗いが大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などにこまめに石けんやアルコール消毒液などで手を洗いましょう。
咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。
普段から、十分な睡眠とバランスの良い食事を心がけ,免疫力を高めておきましょう。
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って、適切な湿度(50から60%)を保ちましょう。
持病がある方、ご高齢の方は、できるだけ人混みの多い場所を避けるなど、より一層注意してください。

発熱等の風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休んで外出を控えてください。
発熱等の風邪の症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録してください。
基礎疾患(持病)をお持ちの方で症状に変化がある方、新型コロナウイルス感染症以外の病気が心配な方は、まずは、かかりつけ医等に電話でご相談ください。

こんな方はご注意ください
次の症状がある方は最寄りの相談窓口にすぐにご相談ください。これらに該当しない場合の相談も可能です。
息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
重症化しやすい方で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
※ 高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
上記以外の方で 発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。
妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センターにご相談ください。
小児については、小児科医による診察が望ましく、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ小児医療機関に電話などでご相談ください 。
なお、この目安は、県民の皆様が、相談・受診する目安です。これまで通り、検査については医師が個別に判断します。
センターでご相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、専門の医療機関をご紹介しています。
複数の医療機関を受診することにより感染を拡大した例がありますので、複数の医療機関を受診することはお控えください。
医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖・肘の内側などを使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。また、公共交通機関の利用を避けて受診してください。 
お住いの地域の相談窓口については,別添のテキストファイル「広島県内のご相談窓口について」をご確認ください。
聴覚に障害のある方をはじめ、電話でのご相談が難しい方に対しては,FAXによるご相談も受け付けています。FAX番号は 082-223-3611 です。

番号などは広島県のものになっていますが、対応については概ね同じかと思います。

また厚生労働省ホームページNHK新型コロナウィルス特設サイトにも、新型コロナウィルス関連の情報が掲載されていますが、テキストデータに対応していないものが多いのが現状です。

2 視覚に障がいのある方が新型コロナウイルス[COVID-19]に感染し入院したら

医療従事者と支援スタッフ向けのサポートガイド用リーフレットが、堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターのホームページに掲載されています。テキストデータはこちらから、点字(BSE)データはこちらからです。また以下の画像にPDFデータのリンクを貼っています。

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(画像は堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターより)

NHK福祉情報サイト ハートネットでは、感染してホテル療養になった際の情報が紹介されています。

3 新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防における視覚障害者の手引き誘導のガイドライン

日本歩行訓練士会が、外出時の手引き誘導に関しては、当事者の方だけでなく、支援にあたっている方々からも不安の声や戸惑いが出ていることを受けて、支援者向けのガイドラインを作成しています。テキストデータはこちらから、点字(BSE)データはこちらから、PDFデータはこちらからダウンロードできます。

以下にガイドラインの一部を引用します。

感染予防の対策をしたうえで手引き誘導の方法は「いつも通りに」!
日常生活を安全に過ごすために濃厚接触をせざるを得ない視覚障害者の特性をまず理解したうえで、下記の基本的な考えのもと支援にあたるようにします。
視覚障害者を手引き誘導する際には安全性・安心感の確保が最優先であり、その安全性の確保の中には新型コロナウイルスの感染防止も重要な観点として含まれます。
一方で感染の防止を優先するあまりにつまずきや転落、物への接触等、危険な状態を招くことは避けなければならず、感染防止と危険回避の両立をもって安心感の確保を実現するよう工夫していくことが求められています。

ポイント!
・手引き誘導の方法は原則、肘の上をつかむ、もしくは肩に手を置くなどの方法をとります。
(手引き誘導の方法は、盲導犬使用者も含め視覚障害者の数だけあるので話し合うことが大切です)
・手引き誘導の際に白杖や盲導犬、腕などを引っ張ったり、後ろから押したりするような方法は取らないでください。
・検温、マスクの着用、手洗い、消毒等の配慮は双方が十分に注意するようにします。
・向かい合っての会話は避け、話す際には双方とも同方向を向くようにします。
・視覚障害者が直接ものに手で触れる機会は必要最低限にし、口頭での説明に努めるようにします。
・マスクやフェイスシールドの着用により声が聞こえにくくなりますので、はっきりと確実に伝えるようにします。
・飛沫防止フィルムの設置やベンチの移動、間隔を空ける列など、従来の環境と変化している場合は状況を説明します。




2メートルの物理的な距離をとるという観点からの工夫として視覚障害者と支援者が直接腕や肩に触れずに白杖、棒、紐、ペットボトル等を介して手引き誘導する方法も提案されていますが、視覚障害者が自ら望む場合を除き、距離をとることでの危険性や心理的不安を考慮することが非常に重要であります。
特に転落の危険性のある駅ホームや段差のある場所では視覚障害者、支援者の双方が慣れている基本姿勢を維持し、不慣れな方法をとらないようにしてください。
視覚障害者にとっては、支援者と物理的な距離をとることで却って安全性を損ない、場合によっては命にかかわる危険にさらされる状況が生じ得ることを理解していただきますようお願いいたします。

基本的にはいつも通りの手引き歩行で、利用者の意思を尊重しながら画一的にならず、歩行時の安全に配慮することが大事と説明されています。

またコロナ禍での、盲導犬ユーザーへ向けた新しい声かけ方法が、盲導犬総合支援センターよりイラストでSNS等を通じて発信されています。

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(画像はTwitter@moudoukenLkunより)

イラストには3つのケースが取り上げられています。
1.道案内の際、以前は手引きで目的地までの誘導をお願いしていたが、接触を避けるため前を歩き声での誘導をして欲しい

2.お店に入る際、消毒液のおいてある場所が分からない場合があり、声をかけて伝えて欲しい

3.お店のレジに並ぶ際、以前は前の人の気配や足跡で判断していたが、ソーシャルディスタンスをとった距離のある列では、列の進み具合が分かりづらいため声をかけて伝えて欲しい
日テレNEWS24より)

実際にこのコロナ禍の状況で、声をかけられることが減っているそうです。同行援護も白杖歩行も盲導犬ユーザーも、コロナ禍で普段の生活様式と変わっていることが困難さの一因ですので、困っている様子があれば、今まで以上に積極的に声かけをしてもらえればと思います。

同時に盲導犬の育成や引退犬の医療などの費用が切迫しているとの情報もありました。

4 新型コロナウイルス感染症による外出制限下での視覚障害のある子供達の学びを支えるための情報源

アプリUDブラウザを使用した視覚障がい児向けのPDF版拡大図書の研究もされている、慶應義塾大学経済学部日吉心理学教室の中野泰志先生が情報をまとめられています。こちらから閲覧可能です。

大学・研究室からの情報発信として、教科書デジタルデータの入手方法や視覚障害のある学生のためのアクセシブルなオンライン講義などが掲載されています。

他に障害学生支援プロジェクト(DSSP)の読み物コーナー教科書・参考書コーナーなどの点訳データもあります。もちろんサピエ図書館にも沢山の点訳・音訳データがあり、ダウンロード可能です。

盲学校のGood Practice !として、福井県立盲学校の自宅でできる運動遊び・トレーニングなどが掲載されています。

またユカのヨガ教室さんが、YouTubeで視覚障がいの方向けのヨガ動画を、NPO法人モンキーマジックさんが自宅でできる健康運動の動画を公開されています。

それ以外にも、乳幼児関係や高等教育関係、福祉関係の関連情報がまとめられています。

また広島大学大学院教育学研究科の氏間和仁先生のホームページ(うじらぼ)にも、弱視や発達障害のある小学生・中学生を対象にしたオンラインによる学習支援(遠隔学習支援)の様子などの情報が掲載されています。

5 相談窓口

新型コロナウィルスに関する相談窓口をいくつか紹介します。

1.厚生労働省の電話相談窓口

電話番号(フリーダイヤル):0120-56-5653 (受付時間:9時~21時(土日・祝日も実施)

2.各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口

こちらの首相官邸ホームページに各都道府県の情報や相談窓口が掲載されています。

3.視覚障がい者ならどなたでも!おたすけ電話相談窓口

日本ブラインドサッカー協会が視覚障がいの方やその家族を対象に開設されています。

対応窓口:050-3627-5015(おたすけ電話相談窓口専用回線)
対応時間:10:00〜12:30/14:00〜16:30(平日・土日 ※祝日は除く)

4.行列のできない電話相談所

おおごだ法律事務所で視覚障がいの方を対象に無料の電話相談を実施されています。

【 無料電話相談の日程 】
費用:無料(30分)
相談方法:お電話
日程:月曜日~金曜日・午前9時~18時(その他の日時は要相談)
お申込みはこちらから info@oogoda-law.jp

5.新型コロナウイルス ホットライン・要望書

日本視覚障害者団体連合が開設されています。以前とホームページアドレスが変わっているのでご注意ください。

日本視覚障害者団体連合 総合相談室
(電話)03-3200-0011 内線5
 電話受付時間(土日祝を除く)
 午前 10時~12時
 午後 1時 ~4時
(FAX) 03-3200-7755
(メール) soudan@jfb.jp

6 ワクチン接種について

ワクチン接種については、届いたワクチン接種案内に点字表記がなく気付かなかったという事例がニュースになりましたね。内容や連絡先くらいは点字表記があれば…と思います。

またワクチン接種をしてもよいのかという不安な声も聞きます。

いくつかの記事などでは、白内障や緑内障などの目の病気があり、点眼などをしていても、ワクチン接種は問題ないとされています。

詳細は以下の記事などで確認してください。

https://ueda-ganka-iin.com/column/新型コロナウイルス感染症のワクチンと眼の病気

ワクチン接種について、視覚障がいの方向けにテキストデータなどを掲載している自治体もありましたので、いくつか掲載します。

7 コロナ禍での目の病気について

日本失明予防学会が発行しているチェック&チェックPart49はコロナ禍での目の病気について紹介されています。PDFデータはこちらから。

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(画像は日本失明予防学会より)

8 関連情報

新型コロナウィルスに関連する視覚障がいの方向けの情報をいくつか紹介します。

1.ガイドヘルパー単独での買い物等代行が可能に

2020年4月28日付で発出された厚生労働省の事務連絡には、同行援護等について、ヘルパーが単独で買い物の代行や薬の受け取りの代行等を行うことを報酬の対象とできるかとの質問に対し、「買い物の代行や薬の受け取りの代行等は居宅介護の家事援助のサービスで可能であるが、居宅介護の支給決定を受けていない利用者について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の必要性に鑑み、民間の宅配サービスや買い物代行等他の手段では代替できない場合は、報酬の対象とすることも可能である。」と回答しています。詳細はこちらから確認ください。また実際の利用については、各区市町村または同行援護を実施する事業所に問い合わせてください。

2.障害状態確認届(診断書)の提出期限の延長

日本年金機構のホームページに、令和2年2月末から令和3年2月末までに提出期限を迎える方について、提出期限がそれぞれ1年間延長されることが明記されています。

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(画像は日本年金機構より)

3.障害支援区分等の臨時的な取り扱いについて

厚生労働省の事務連絡で、障害者支援施設や病院等において、入所者等との面会を禁止する等の措置がとられることにより、当該施設等に入所している対象者の認定調査が困難な場合、臨時的な取扱いとして、障害支援区分の認定の有効期間について、従来の期間に新たに12ヶ月までの範囲内で市町村が定める期間を合算できるとされています。延長には、お住まいの市町村への申請が必要です。 

4. 身体障害者手帳及び療育手帳の再認定(再判定)の取扱いについて

厚生労働省の事務連絡により、全国の身体障害者手帳及び療育手帳受給者(令和2年3月 1日から令和3年2月末日までの間に支給決定の有効期間が満了する者に限る)を対象 に、当該有効期間の満了日を原則として1年間延長するとされています。延長には、お住まいの市町村への申請が必要です。 

まとめ

まだまだコロナ禍がどうなるかわかりません。僕自身も含めた多くの方が不安の中で過ごされているかと思います。

コロナ禍の中で「濃厚接触」という言葉がされるべきものという文脈で日常的に語られるようになりました。しかし、みんぱくの広瀬浩二郎さんが出版した『「それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける!』のタイトルにあるように、視覚に障がいのある方にとって手で直接触って確かめる触覚はとても大切で、いろいろなものを理解するために無くすことのできないものです。

コロナ禍で濃厚接触を避けるためか、白杖を持つ方や盲導犬を連れた方への声かけが減り、視覚障がいの方が困る場面が増えているそうです。生活様式が変わったのですから無理からぬことでしょう。

この記事は視覚障がい当事者の方に向けた記事であると同時に、その周りにいる方へも向けた記事です。もし困っている視覚障がいの方を見かけられたら、以前と変わらずお声をかけて欲しい、そう切に思います。この記事が、そんな一歩を踏み出すための背中を後押しするなにかになれば幸いです。

コロナウィルスに関連した情報があれば随時更新していこうと思いますのでよろしくお願いします。


参考にしたページ

点字図書館の訓練・相談員による新型コロナウイルス関連情報まとめページ

新型コロナウイルス感染症による外出制限下での視覚障害のある子供達の学びを支えるための情報源

視覚に障害のある方への新型コロナウイルス感染症に関するテキストデータの提供について



表紙の画像は、Twitter@moudoukenLkunより引用しました。