書籍紹介『見えない地球の暮らし方−見えない・見えにくい人のリアルな日常レポート集−』
『見えない地球の暮らし方−見えない・見えにくい人のリアルな日常レポート集−(メルマガ色鉛筆グループ)』という本の紹介です。
メールマガジン「色鉛筆」
この本は公益社団法人京都府視覚障害者協会 情報宣伝部 メルマガ色鉛筆グループが月2回程度発行しているメールマガジン「色鉛筆」のセレクションになっています。
(画像は京都府視覚障害者協会より)
「色鉛筆」には仕事、恋愛、家事、育児、趣味、旅行、スポーツ、介護、IT、支援機器、便利グッズ・・・など多岐にわたるレポートで、視覚障がい当事者の方の赤裸々な声が掲載されています。
つまり、この『見えない地球の歩き方』はそんな見えない・見えにくい方々の声がたくさん集まった本なんです。
過去にも視覚障がいの方の本を紹介してきました…が、こんなにたくさんの視覚障がいの方の声が出て一度に読める本は他にはないと思います。そして分量は山盛りです笑。
本の目次より
目次は以下の通りです。
いろいろなタイトルが目を引くことでしょう。
これだけたくさんの視覚障がいの方のお話がオムニバス形式で載っている本は他にはないのでは?と思います。
いろいろなエピソードがあります
よくある視覚障がいを乗り越えて…という前向きなお話ばかりではありません。
中には視覚障がいをなかなか受け入れられない人の葛藤も描かれています。
でもそんなエピソードも含めて、いろいろな人のお話が集まることで、遠い世界に思えていた「視覚障がい」の世界がなんとなく身近に感じてくるのではないでしょうか。
本の中にはいろいろな視覚障がいの方がいます。
眼瞼痙攣という困難な状況に負けず、当事者団体を立ち上げる熱意のある方がいます。
視覚障がいを支えるボランティアへの感謝に気づかれた方がいます。
バリアいっぱいのデートで、路チューをしたい思いが溢れて出て止まらない方がいます笑。
諦めていた読書を音声で、点字でチャレンジする方がいます(僕も村上春樹大好きです)。
夫にメイクを強要する方もいます(夫婦円満の秘訣なのでしょう)。
いろんな失敗談とはげましが載っています(パン屋と思って隣のお店に入った失敗に「ホールインワンじゃなかったけど、バーディーやね」という返しは秀逸ですよね笑)
大学での学びも様々です。
働いている途中に眼の病気がわかり、職場の支援で仕事を継続する方も、休業や退職される方もいます。視覚障がいのある状態で働き始める方ももちろんいます。みなさんそれぞれの悩みや工夫があります。
趣味もスキー、囲碁、マラソン、ヨガ、ブラインドテニスと十人十色です。
視覚障がい者同士の待ち合わせで、場所を間違えていたり、意外に近くにいるのにお互いに気づいていなくて出会えないのはあるあるだと聞きます。
趣味の写真への未練の話があります。
まぁまぁ見える弱視ならではの大変さがあります。見えていないことを咄嗟に誤魔化してしまう気持ちもあります。見えないことでの悩みは本当に人それぞれなんです。なので見えにくさを伝えるのって難しいんですよね。
視覚障がい者の天敵、停車中のトラックがいます(ミラーや開いているドアに気づかずぶつかった方が何人いることでしょうか)。
目が見えなくなった当事者だけでなく、その家族にももちろん悩みや葛藤があります。
障がいを受容すること…言葉で言うほど簡単なものではないはずです。
かつてのお気に入りだった駅中の立ち食い寿司屋さんに行くべきかどうか悩んでいる人の話があります(なぜかこの立ち食い寿司の話は記憶に残またいます。次のエピソードと繋がっているからかも。気になった方は、「いざ、立ち食い寿司屋へタイムスリップ」を読んでみてください)。
どうです、僕が紹介したのはほんの一部だけですがいろんな方のいろんな想いがあふれている本なんです。
まとめ
できるだけリアルなエピソードを持って伝えるというのが色鉛筆の編集コンセプトなのだそうですが、その通りリアルなエピソードがたくさん溢れています。
そしてそんなエピソードが手紙を書いた方も受け取った方にも、痛みをともなうこともある共感が響くのではないかなと思います。同じ悩みに、似たような壁にぶつかっているのは自分だけでないと思えることは、苦しんでいる自分自身を支えてもらうようなことなのかもしれません。
本のタイトルにある「見えない地球の暮らし方」はもちろん一人ひとり違うのでしょうが、でもこの本を読んでいるうちに、なんとなく見えない・見えにくい世界のことがわかってくるような気がする不思議。
気になった方はぜひ手に取ってみてください。
現在Kindle版はなんと0円で販売されていますよー。
第2集も販売されています。
表紙の画像はAmazon.co.jpより引用した本の表紙です。