【エッセイ】1LDK ネバー・ランド
○30歳になるのに、、、堕落生活。
今年、ミソジを迎える。「人生100年時代」などと昨今言われているが、そうなると3分の1弱生きてしまったことになる。早い。まだ精神年齢は十歳くらいで止まっているというのに。
今も、ゲームをして、漫画を読んで、スナック菓子が手元にあれば最高の幸せだ。(お供のファンタ・グレープが、ストロング・ゼロになったけれど)
子供の頃はこの一連の流れは「息抜き」でせいぜい3時間程度が限度だった。親という最強の番人が存在していたからだ。
ところが、ミソジを迎える現在。私を見張るものはいない。子猫くらいだ。子猫は非力である。おまえなんかにミソジを止める番人になられてたまるか。こうして、「息抜き」はエンドレスになり、これを「堕落」と表現するのだとミソジになれば理解ができる。
○実際の私の休日のモデルケースをご紹介しよう。
といった具合である。家からも出る必要がない。私は今住んでいる1LDK(賃貸)を「ネバー・ランド」と呼んでいる。この空間にいるうちは、半永久的に子供でいられる。私は幸せだ。堕落、最高。
○堕落、最高って言えなかった理由
だが、少し前まで、胸を張ってそう言えない時期があった。
「休みの日、なにしてるの」という質問から始まり、正直に答えれば「そんなんじゃいつまでも結婚できない」とか「イタいおばさんになる」というアドバイスをいただくことが多くなったからだ。
30年人間をやっているので、年長者の意見には敬意を払う。が、やはりびっくりした。告白してないのに、フラれた気持ちってある芸人さんが表現されていたけど、まさにこの瞬間はその気持ち。
独り身のミソジが、一人家にこもっていたらいけない。自分磨きを頑張って、結婚相手を探し、子供を産むべきだという意見もわかる。それが、ミソジに求められる「生産性」なのだが、「テレビ」という、「最新の情報」を伝える業界で、未だに、令和の時代に、このような問答が繰り返されているのかと思うと残念だ。
これから、年を重ねていくうちに、こんな気持ちになることがどんどん増えていくのかもしれない。そう思うと、「堕落」は「悪」に思えてきた。
だから、変わろうとしてみた。休みの日は、9時には起きて、ホット・ヨガに行く。サボっていた皮膚科にもいく。半年ぶりに洋服をみにデパートに行ってみたりもした。夜は、TOEICの勉強。酒は、一滴も飲まない。
理想的な休日は、頑張ったら意外にできた。気分もよい。長めに湯船にも入ったし♡気分もいいわん。
これで、生産的なミソジに一歩近づいたわ。
・・・と思ったのだが。
その夜、アレルギー性鼻炎が久しぶりにひどく出た。鼻水が止まらず、薬を飲んだら、今度は鼻が詰まり、無理にかんだら鼻血がスプラッシュ。隣に寝ていた子猫は終始迷惑そうに目を細めていた。睡眠不足から、次の日は仕事だというのに、目が乾いてコンタクトは入らないし、ぼーっとして仕事も集中できない。ニュースも噛んでしまった。
○堕落はいいものかもしれない
どうやら、私の体は「生産性」にアレルギーがあるらしい。その証拠に、その日「ジョジョの奇妙な冒険」を観ながら寝落ちしたら、次の日には鼻の詰まりもきれいさっぱり、快活な一日を過ごせた。
堕落は、悪かもしれないが、私にとって1LDKネバー・ランドでの「堕落」は「必要悪」なのだ。そう気づいて、私は再び胸を張って、「堕落、最高!」と叫べるようになった。
おばあちゃんになっても、私は膝に猫を乗せ、ゲームやアニメにかじりついているだろう。日本酒でもあおりながら。
楽しそうじゃないか。こうなったら「堕落」を極めてやろう。何事も、極めれば一芸だと何かの本に書いてあった。一芸ならば、「生産性」もあろう。
それに、かの有名な老子も、弱いものは弱さを極めろとか、水のように流されて生きろとか、言っていたらしいじゃないか(都合のいい解釈)
云々書き連ねたが、言いたいことはひとつ。
早く、ドラクエ新作発売して!
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