音楽、アーティストの持つチカラ

最近、色々な人の意見をツイッターで目にする。直接話しているわけではないので、その真意たるやどこまで理解できているかは甚だ不安だが、シンガーソングライターの七尾旅人さんのあるツイートに目が止まった。

日本では、アーティストが政治的な発言をするとなぜか叩かれる傾向がある。それに関して、なぜなのかが分からないのだ。アーティストとは言え、1人の人間である。日本国民であれば、投票権があり、政治的な意見を持っていて当然なのだ。今の政治に不満なのか、満足なのか、職業に関わらず感じることはあるだろう。それを発信することがなぜダメなのだろうか?

そもそも芸術というのは宗教的であり、政治的であり、そしてパーソナルである。あらゆる側面を持つ可能性があるはずなのだ。海外に目を向ければ、かなりストレートに発信していることが理解できるはず。前回のアメリカ大統領選挙を思い出して欲しい(当時、あまり興味を持ってみてなければ、調べてみて欲しい)。支持するのは民主党なのか共和党なのか、自分の意見を述べているアーティストがたくさんいる。

日本でもよく知られている海外の名曲、例えばマーヴィン・ゲイの「What's Going On」やボブ・ディランの「Blowin' In The Wind」などは、反戦のメッセージが込められている楽曲だが、これは明らかに政治的なメッセージが込められている。アーティストは、戦争に「NO」と言っている、つまり戦争をしている政府に「NO」と言っているのだ。

それがなぜ、日本では国民、リスナーが許容できないのか。

やはり、国民の政治に対する意識の低さなのだろうと思う。政治はどこか別の世界の出来事と思ってしまっているのだろう。かくいう自分も投票権を持った20歳そこそこの頃は、全然だった。「自分が投票したって何も変わらないじゃないか・・・」そんなことをある友人に言ったところ、彼はこう答えた。「俺は投票してるよ。だって、投票してなかったら、不満があっても文句も言えないじゃないか。」

おっしゃる通り。

そして、社会人となり、結婚し、子供ができ、社会とより密接につながれば繋がるほど、政治と自分の生活が密接に繋がっていることを実感する。とは言え、社会の全てを知っているわけではないし、政治の全てを把握しているわけでもない。だからこそ、色々な人の色々な意見を目にし耳にすることで、自分の政治への意見というものも醸成されていくだろう。

先日、レディー・ガガがWHOと一緒にチャリティ番組を配信した。新型コロナウイルスに立ち向かうための番組だった。

錚々たるメンツが自宅からライブを披露した。医療や社会を維持するため、この状況の中、最前線で活動を続ける人たちにエールを送ったのだ。これを見ていると、アーティストが持つ影響力、音楽の持つパワーというのを実感できる。

今、日本も新型コロナウイルスの影響で、色々な人が暗中模索している。「そんな時だから政治的な意見をいうんじゃなくて、一致団結するときだ!」という意見もあるようだ。「一致団結する時だ!」は確かにその通り。でも「政治的な意見を言うんじゃなくて」と言うエクスキューズは必要ない。むしろ、発信し続ける必要があるだろう。おかしいと感じたことを「おかしい」と言うのは自然なのである。それがアーティストだろうと、会社に勤める人だろうとフリーランスだろうと。

ちなみに、他の国でどんな意見が出ているのかは分からないが、この非常事態で、こんなに政府に対してネガティブな意見が出まくっているのは日本だけではないだろうか?つまり、それだけおかしなことになっているんじゃないだろうか?それに目をつぶって、コロナを収束させた時、振り返って声をあげる人はどれくらいいるだろうか?

ましてや、アーティストや、それにまつわる仕事をしていた人たちは今回のコロナ禍で大きな影響を受けた業界の一つである。そんな人たちが何を感じ、どんな状況なのかを発信することは、とっても大事だと自分は思っている。なぜなら、自分は音楽が好きだからだ。歌詞をしっかり読み解いたり、音楽理論を理解していたり、歴史的に把握していたりするわけではないし、世界中の音楽に精通しているわけでもない。でも、いい音楽がいっぱいあることは知ってるし、自分が「いい!」と思える音楽を聞くのが大好きだ。そんなアーティストたちが、活動できなくなるなんてイヤだ!微力ながら、ライブハウス支援のプロジェクトにも参加した。コロナが収束しても、いい音楽が響く国であってほしい。

政治的な音楽は・・・なんて言っている人たちに聞いてほしい。こんな最高でかっこいいバンドが日本にはいるんだぞ。



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