GEZANという衝撃

「この音楽は大人のおもちゃにはならない。時代のおもちゃになることを要求する」

音楽を含む「表現」の核心をついたような、そして日本のエンタメ界に対する警鐘とも取れるような歌詞を含む曲をアルバムの冒頭、1曲めに持ってくる。

ここ最近、僕がよく聴き、周りにオススメしているバンドが、GEZANだ。ホームページによると、結成は2009年、大阪。

今年、5枚目となるアルバム「狂(KLUE)」をリリースした。かくいう僕も、これまでGEZANというバンドの曲を聞いたことはなかったのだが、この「狂(KLUE)」リリース前後から、ツイッター上で「GEZAN」という名前をちらほら見るようになり、なぜか気になっていた。

ある日、ふとGoogle先生に「GEZAN」と検索をかけたところ、去年のフジロックの動画が出てきた。

「あ、去年、フジロック出てたんだ〜」くらいのノリでクリックしたところ、いきなりメンバーの一人がアンプの上に立って、ディジュリドゥ吹き出して面食らった。さらに、この「赤曜日」の歌詞も、すごい。

「40分間で脳をハッキングする。意識を破壊し内側から歴史を書き換える」

マヒトゥ・ザ・ピーポーの独特な声色、ギターの唸り声。40分間どころか、この動画を見初めて2分ほどでハッキングされた。

これはすごいバンドだ、とSpotifyに流れ、アルバム「狂(KLUE)」を聞いた。

爆音と唸り声と甲高い声が織り混ざった混沌とした音世界の中で、時に語るように、時にエモーショナルなメロディで歌いかけてくる歌詞の世界は、色々とハッとさせられる言葉が詰まっている。

そして、何よりも、1枚のアルバムとして聞くべき構成となっている。13曲めの「東京」まで途切れることなく滝のように楽曲が繋がり、まさに脳をハッキングしてくるのだ。そして最後に流れてくる「I」という曲は、それまでの攻撃的なテイストとは一転、彼らが持つ「愛」の大きさに包まれる1曲となっている。「GEZAN」というバンドへの愛、「GEZAN」を聞いてくれるリスナーへの愛、この世界への愛は、6分という長さを全く感じさせない。

現在から振り返るようにアルバムを遡って聞いてみたのだが、2014年のアルバム「It Was Once Said to Be a Song」なんかを聞いてみると、もろハードコア/プログレ/シューゲイザーなのだが、2017年の「NEVER END ROLL」では、そのメロディセンスを目一杯に感じられる。そして2018年の「Silence Will Speak」で、どこか完成形が見えたようなそんな落ち着きを感じるのだが、この「狂(KLUE)」は、また新しい領域に彼らが突入した、そんな1枚なのではないだろうか。

この「狂(KLUE)」の歌詞、文字で見てみたい。そうだ、帰りにCD買って帰ろう。

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