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当たり前みたいな顔で赤リップをまといたい

気に入って買った赤の口紅。
わたしはもともとの唇の色が薄いので、赤色をのせると顔の印象が大きく変わる。ぱっと華やぐ感じが、けっこう気に入っている。

ところがある時から、この口紅を手に取るたびに、あるひとの言葉が思い出されるようになってしまった。

「赤リップなんてもう流行らないですからねぇ」

化粧品売り場の販売員さんの言葉。
アイシャドウを探していたときだったと思う、アイメイクとリップメイクのバランスとか、そんな話の中でこの言葉が出てきた記憶がある。

そしてこのとき皮肉にも、マスクに隠れたわたしの口元には「もう流行らない」と言われた赤リップが塗られていたのだった。


プロの方がそう言うんだからと、それからは赤リップを避けて、ポーチの中の控えめな色の口紅を手に取るようになった。だけど、なんだかつまらない。

そもそも、たまたま出会った販売員さんのひとことで好きなものをあきらめるのはもったいない。
しかもわたし、子どもには「好きなものを身につけていいんだよ」と言っているのに、自分自身は初対面の誰かの言葉で気に入ったものをみすみす手放そうとしているなんて。なにか間違ってる。

そんなわけで、わたしの赤リップは再び日の目を見ることとなった。

自分では似合うと思ってるし、メイクや服装とのバランスやTPOだってわたしなりに考えてる。文句ある?
そんな顔で、わたしは今日も赤リップでうきうきしている。

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