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映画やアニメーションのフレームレートについて(榊正宗)

こんにちは、榊正宗です。映画やアニメーションのフレームレートについて、深く考えてみたいと思います。私たちが視覚で捉える現実世界と映像の間には、意外な関係が存在します。

例えば、60FPSでは映像は非常に滑らかに見えますが、120FPSにまで上げると、その滑らかさが失われ、24FPSにブラーをかけたような見え方をすることがあります。このことから、60FPSが現実よりも滑らかで、実は逆に不自然に見えることが分かります。

これを理解するために、まずベーター運動の原理を考えてみましょう。ベーター運動は、一連の静止画像が特定の速度で連続して表示されると、それらが滑らかに動いているように見える現象です。

映画やアニメーションでは、24FPSでフレームが表示されると、これらの静止画像が連続して動いているように知覚されます。24FPSは、人間の視覚が自然に感じる動きの速度に近いため、映像は自然で滑らかに見えます。

ただし高速に動く部分が鮮明な静止画だとチラついて見えます。フィルムでは、シャッター速度を調整すると速い動きにブラーがかかりボケてしまいますが逆に自然に見えます。

これを3Dなどで擬似的に再現したのがモーションブラーです。この技術はピクサーが開発したそうです。このブラーはカメラの限界と言うだけでなく人間の視覚にも発生してるため、フィルムのブラーを高速で動いてる様に錯覚しているのです。

しかし、60FPSになると、静止画の連続であっても24FPSに比べ滑らかさがチラつかずにさらに増します。カメラの性能も高くなるため各フレームの静止画は鮮明になります。

60FPSでは、フレーム間の遷移が非常に滑らかになるため、現実の動きよりも更に滑らかに感じられるのです。これは、私たちが日常経験する現実世界の動きと比べると、ある種の違和感を感じさせることがあります。

そして、120FPSにまで上げると、逆に滑らかさが失われる現象が起こります。これは、フレームレートが高すぎると、個々のフレーム間の差異がほとんどなくなり、結果として映像が一つの流れるような動きとして認識され、24FPSにブラーをかけたような見え方になるからです。

これは、映画やアニメーションにおけるフレームレートの選択が、ただの技術的な選択ではなく、視覚的な表現の核心を成すことを示しています。

結論として、映画やアニメーションにおけるフレームレートの選択は、視覚的な快適さと現実感のバランスを見極めることが重要です。24FPSは、ベーター運動の原理とブラーを組み合わせることで、自然で滑らかな映像体験を提供します。

一方で、60FPSや120FPSといった高いフレームレートは、現実を超えた滑らかさや、静止画の連続なのにブラーのような現象を生じさせることがあります。このように、フレームレートは映画の視覚的な魔法を生み出す重要な要素であり、視聴体験に大きな影響を与えるのです。

そう言う意味で60FPSの静止画の連続は、ブラーになりきれないため現実の世界より不自然なのです。

もちろん、24FPSはブラーを使った擬似的な視覚の再現なので、フリッカーが起きる様な特定の速度ではガタついて見えてしまいます。

未来の映像の理想系はフリッカーの起きる部分だけ変則的にフレームレートを上げることかもしれませんね。


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