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獣について

あるところに旅人がいました。
旅人がその地を訪れたのは偶然でした。

荒涼とした大地に、無数の黒い影が見えました。

それは、様々な形をした生き物のようでした。
旅人が近づくと無数の獣の死骸がそこにはありました。

「だれがこんな酷いことを」
旅人はとても悲しい気持ちになりました。

旅人が獣の死骸を抱きかかえて天にかざすと
死体は金色に輝き始めました。

そして、天から声が聞こえました。
「わたしはこの世界を創造した神である。獣を殺した者には罰を与える」

「どのような罰ですか?」と旅人は聞き返しました。

「この世界をつくりなおさねばなるまい。すべては無となる」

「それでは、何の罪もないわたしも消えてしまうのですか?」
旅人は少し驚いて言いました。

「罪がないだと? まだ気がついておらぬのか」
天の声をは言いました。

「どういうことでしょうか? わたしには意味がわかりません」
旅人は天の声に聞き返しました。

「その獣たちを殺したのはお前自身だ」

旅人は自分の衣服が獣たちの返り血で真っ赤にそまっていることに気が付きました。

やがて、激しい地鳴りとともに、世界の終わりが始まりました。

彼の旅はそこで終りとなりました。

地割れに飲み込まれる刹那に、旅人はこう思いました。
「やっと楽になれる……」
 
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そろそろ、社長少女の電子書籍が正式リリースになりそうです。正式リリースに伴い無料公開していたnote版は閉鎖されます。この機会にぜひnote版も読んで下さい(電子書籍版とは内容が異なります)




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