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いい子でいることの生きづらさ

たまたまネットでダイアモンドオンラインの記事を読みました。
臨床心理士の田中茂樹さんという方と川代沙生さんの対談です。
田中さんは「子どもが幸せになる言葉」、川代さんは「私の居場所が見つからない。」という本を出されているようで、今回の対談は反抗期がなくいい子で生きてきた子たちの「生きづらさ」がテーマとなっています。
実は、今年度入職した新人さんたちが例年になくメンタル不調で休職や退職につながるケースが立て続き、危機感を覚えて全ての新人さんと面談をしました。
その中で見えてきたのが、「いい子でいることの生きづらさ」です。
この課題数年前からなんとなく感じてきました。
基本的に社会福祉系の学生はみんな真面目でいい子です。
採用面接をしていてこの10年くらいの傾向として感じているのが、実家から出たがらないということでした。
関東に住んでいると実家を出る必要がなかったりするので、わたしたちの年代では実家を出たくても親が反対しているということは聞いたことがありました。
しかし、今はそもそも本人が実家を出たいと思っていない、というケースが多いように思います。
そして、現場で起こっていることとして、若手の子たちが場の空気を読みすぎていて、常に正解を出そうと必死で努力しているということです。
でも、指導者側はそもそも「正解」なんて求めていないし、対人援助の仕事の中で正解なんてありません。
自分の目で目の前の現実を見て、目の前の人と関わってその中で何を感じ、考えその場で応答していくか、その繰り返しの中でこれが最善かもしれない、ということが見えて来るその程度です。
ですので、指導者たちは「あなたは今、どう感じたの?」ということを問います。
しかし、若手にとってはこの問いが苦しいようなのです。
新人との面談の中で「これまで自分がどう感じるかということを考えたことがないので、どう感じるかと聞かれても出てこない」と言われとても驚きましたが、これが現実なんだと実感しました。
常にいい子でいないと評価されないのではないか、正解が答えられないと評価されないのではないか、そういうことに評価基準を置いている子たちがあまりにも多くて驚いています。
しかも、この数年はコロナで授業もリモート、生身の人間関係、コミュニケーションの場が失われ、現場実習さえできていないという人もたくさんいます。
新人さんたちの声を聴いて、本当に心が痛くなりました。
ひとりひとりはとても素敵な個性を持っていて、能力もあるんです。
でも、その能力を自分で殺しているように感じてしまいました。
自分のことを信頼しているようには思えないんです。
あるところで、メンタル不調に陥る人の特徴として「自分に対するネガティブな評価は100%額面どうりに受け止めるが、ポジティブな評価は社交辞令だと思って受け入れない」という話を聞きました。
多くの新人さんたちが自分にもその傾向があると答えていました。
それでは、自分で自分の首を絞めているようなものです。
20代ってもっと根拠のない自信みたいなものを持ってていい年代じゃないですか?
なんでみんなこんなに生きづらさを抱えて生きているのか、本当に悲しくなりました。
でも、これってきっと本人たちのせいではないですよね。
これだけ多くの人たちに似たような傾向が出ているということは、何かしら環境の要因が大きいように思います。
コロナになって10代の女の子たちの自殺が増えていると言われています。
コロナは一つのきっかけなのかもしれませんが、潜在的には本当に生きづらさを抱えている人たちがたくさんいるように感じます。
しかも、その心の闇はなかなか外からは見えません。
この問題とても気になります。
今日はここまでにしますが、また取り上げたいテーマです。

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