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【報告】保育施設見学ツアー番外編@佐久穂

今回は番外編として、保育施設ではなく小学校(と中学校)の見学をさせてもらいました。長野県南佐久郡佐久穂町にある「大日向小学校」です。イエナプラン教育を日本で初めて本格導入して注目された小学校で、この学校に子どもを通わせようと県外からの移住者が多いのも特徴です。そんな大日向小学校(2019年4月開校)と、隣にある大日向中学校(2022年4月)の見学です。


◯午前の見学

まず始めに校長の久保さんより大日向小学校やイエナプランについて説明してもらい、その後自由に各教室を回って、あそび→おやつ→ブロックアワーの活動を見学させてもらいました。

大日向小とイエナプランについて説明してもらいました

あそびは休み時間、おやつは家庭から持ってきたものを食べる時間です。あそびの時間にも学習を続けている子も少なくありません。全ての時間で自己選択、自己決定することが基本で、やらされている活動はほとんどないためか、自分で必要と感じたことに自発的に取り組んでいる感じです。

次はブロックアワーの活動です。ブロックアワーは教科学習の時間ですが、教科によって細切れにはなっていません。自分が取り組みたい教科があればその教科に取り組む計画を立てることができます。それぞれがそれぞれのやり方で学習に取り組んでいました。

◯昼ごはん

昼ごはんは12時から13時の間に食べることになっています。ごはんやおかずの量は選択でき、どこで誰と食べるかも自由です。小学生、中学生、先生が混ざり合って食べていて、とても楽しそうな食事風景です。みんなが楽しそうに食べている様子を見ているとうれしくなります。私たちもここで同じごはんをいただきました。

昼ごはん
すてきな食券

◯午後の見学

午後はワールドオリエンテーションの活動を見せてもらいました。この日が新テーマを発表する日で、その後の子どもたちが自発的に探究活動を進めていくための刺激を与える時間でした。全学年(下学年、中学年、高学年)ともにテーマは『わたしの生』。このテーマを先生が子どもたちに発表するんですが、子どもたちがおもしろそう!楽しそう!と思える内容になっていて、見ていた私たちもつい夢中になってしまいました。ワールドオリエンテーションは共同的、探求的、教科横断的な学習で、子どもの問いを大切にしています。そのためには導入のあり方が非常に大事で、その様子を見ることができたのはとてもよかったです。

◯意見交換

最後に校長の久保さん、教頭の青山さん、参加者全員で、見学の感想を話したり質問したりする時間が設けられました。参加者は私たち以外に小学校の教員、中学校の教員、市議会議員といろんな方がおられました。子どもの学習の進み具合をどのように把握しているのか、勉強をしたくない子にどのように関わっているのか、好きな場所で学習する子どもたちをどのように把握しているのか、特別支援コーディネーターの役割について、グループ分けの考え方について、ワールドオリエンテーションの活動について、教員の働き方についてなど、様々な質問が出てきて盛り上がりました。

◯参加者の感想

子どもと大人(先生)の対等な関係、少し大袈裟かもしれないが共に生きる、学ぶ、面白がる、が見ていてとても自然体で心地よかった。 子どもも大人も一人ひとりが認められ、保障されていること、その上で自立し、繋がり合っていることを感じた。 私たちの園の子どもたちの次なるステージがこんな学校であればなぁ、と願わずにはいられませんでした。

楽しく見学することができました。今回一番感じたことは、グループリーダーの言葉がけでした。指示命令の言葉はもちろんのこと、「〇〇ちゃんが得意だよ」などの答えを出さず、他の子どもに流しているのを徹底されているなと勉強になりました。 各地域にこのような学校ができればいいですね。

本当にこんな学校がどんどん増えればいいなー!私の地域にもあってほしい!という思いがさらに湧きあがりました。子どもがそもそも持って生まれてくる主体性が、園児から小学生、中学生へと成長していく中で、一人一人のペースで興味関心から学びを深めていき、幸福感をもって社会に貢献していく人になっていくのだろうと想像ができました。また、園でも取り入れられる実践がたくさんあり、この学びを自園にも取り入れていこうと思います。もう一つ、公立小学校の方々が熱心に見学されていることも個人的にうれしかったです!貴重な学びの時間を皆さんとご一緒できて感謝です。ありがとうございました。

見守る保育の考えで学校を作るとこんな感じになるのではと思ったのが、第一印象でした。 最近、学校教育はダメだと諦め気味でしたが、大日向小学校を視察したことで少し希望が持てました。教頭先生の「不登校という概念は国が作り出している制度」という言葉が印象的で、多くの学校が学校という形に囚われすぎている印象を受けました。 不登校の子ども達も多かったかもしれませんが、わからないところなどしっかり質問する姿など、子ども達は生き生きとしていました。 チャイムのない、先生は大声で指示命令しない。でも、活動はできる。近所の小学校の先生方に見てもらいたいと強く感じました。

イエナプランについて詳しくは知らない状態での参加でしたが、以前オランダの小学校の特集をテレビで見て、とても感銘を受けていたので実践を見ることができたのはとても学びになりました。掲示物やテーブルゲーム、環境など、園でもすぐに取り入れたいと思う点も多かったです。特にワールドオリエンテーションについては、スタートの時間に参加できたので、子どもたちのワクワクする顔も直接見ることができました。(余談になりますが、最近、小、中、高の熱心な先生たちとお話をする機会があったのですが、個人では、こうした子どもたちがワクワクするスタートやグループ学習を行っている先生もいるのに、学校全体ではない!!というのがとても残念だな~と改めて思いました。)
ブロックアワーで行うプリントや漢字の学習ドリルは、もっと子どもたちが興味を持てる形になればいいなといつも思っています。(それは日本の教育の問題なので、しょうがないのですが、ある番組で小学生が意味のある漢字ドリルのプレゼンをしていたので・・・。https://youtu.be/c_C2jHjhjnw?si=Y__0557lBm9DWCKF
経営のことなどはわかりませんが、公立の中で、こうした学校ができていって欲しいと思います。校長先生の「子どもをおもしろがる」というのは、保育においても大事にしていることで、子どもの思いと願いを大人の願いに置き換えていかないように気を付けていきたいと改めて思いました。


◯教育移住者の受け入れ

県外からの移住者のことについては見学ツアーの本題ではないのですが、興味深い話なので少しだけ書いておきます。

初年度の情報ではありますが、東京、千葉、神奈川、愛知、新潟、岡山、福岡、鹿児島と、様々なところから児童が集まってきたようです。現状の詳しい内訳はわかりませんが、各地から集まっているのは変わらないはずです。この移住によって地域に新たな動きが起きているようです。そのことが昨年新聞でも取り上げられていました。

ただ、佐久穂町としては教育移住者が増えたことによって活気づいたのではなく、記事内にもあるように開校前から地域活性化に取り組んだ人たちがいて、その人たちが移住者のスムーズな受け入れの流れを作ったことが大きいようです。人口減少地域において外から人が来てくれさえすれば地域は盛り上がると考えるのではなく、その人達をどう招いて新たなコミュニティーをどう作っていくかを中の人がしっかりと考えることが大事だということも分かります。

大日向小で地域連携ファシリテーターを務める塚原諒さんは「寂れた商店街に移住者が増えて町が生き延びたという、よくある構図ではない。学校の開校前から地域活性化に取り組んだ人がコミュニティーをつくり、移住者に空き家の情報を提供するなど力を貸してくれたおかげだ」と強調する。

日本経済新聞

ちなみに記事内で語っている塚原さんは大日向小学校で地域連携ファシリテーターとして地域と学校をつなぐ役をしているだけでなく、個人としてもドーナツ店「mikko」を運営して様々な立場の人が交わる場も作っておられます。このような人の存在が大日向小学校の取り組みを支えてくれているように思います。保育園でも地域連携ファシリテーターのような役割は必要でしょうね。

◯次回の開催

さて次回の開催のことですが、現在複数の施設を検討している段階です。場所や時期の調整がつき次第お知らせをします。保育施設見学だけでなく、今回のように小学校の見学、保育ではない業界の見学など、様々な見学の形を考えていますので、ぜひお楽しみに。

そして開催のお知らせですが、このnoteでの公開が一番早く、次に早いのはSlackでのお知らせです。定員が多くない見学ツアーなのですぐに申込を締め切っているのが現状です。情報が早く欲しい方はこのnoteをフォローしてもらうのが一番ですが、希望される方にはSlackへの招待メールを送りますので、下記の招待フォームから名前とメールアドレスをお知らせください。

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