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2022年6月に読んだ本

『自分の時間を取り戻そう』 ちきりん著

生産性の高い仕事が求められる時代に、個人の生産性をいかにあげていくか。その必要性から具体的な方法が書かれています。少ないインプットでアウトプットを増やすためには何をすればいいかが主題となっていて、生産性を高める工夫をするためにはインプットを意識的に大きく減らすしかないと説明されています。いろんなやり方があると思いがちだけど、実は有効な方法はインプット減から始める方法のみ。そのことがよくわかりました。

保育士の仕事の生産性をいかに高めるかの例が書かれていて、ちきりんさん自身も詳しくないからその通りにはいかないだろうけどと書かれてはいますが、確かに実態とはそぐわない部分があるものの非常にいい指摘だと思いました。生産性が高くないと勝負できない業種の常識が福祉の業界にも当たり前のように入ってくるようにしなければいけません。いい刺激をもらえる本でした。


『未来の地図帳』 河合雅司著

今わかっているこれからの社会の変化を数字で示してくれているため、何が問題なのかがよく分かる本です。ですが

該当地域に住む人やその地に関わりのある人にとっては「不愉快きわまりない未来図」を突きつけることになるかもしれない

とあるように、不愉快にはならなかったけど読んでいてとても不安な気持ちになる内容ではありました。でもそれは今までが事実をきちんと理解していなかったからで、一度はちゃんと感じておかなければいけない不安なんだと思います。

最後にある提言の中の

大切なのは、高齢者が自ら歩くことですべての用事を完結できるようにすることである。

は、これから地域を考える上でポイントになることです。いい本に巡り会えました。


『アフターデジタル』 藤井保文、 尾原和啓著

アフターデジタルの世界は今よりデジタル化が進み、便利だけど無味乾燥な世界なんだろうと大ざっぱなイメージしか持っていませんでしたが、そもそもその捉え方が間違っていることを学べました。

ビフォアデジタルは「オフラインの世界が中心で、そこに付加価値的にデジタル領域が広がっている」世界で、それに対してアフターデジタルは「オフラインがデジタル世界に包含されている」世界ということになるそうです。アフターデジタル社会では人は常時デジタル環境に接続していて、リアルな行動も含めたあらゆるデータが蓄積されている状態です。

別の説明では、ビフォアデジタルはリアル(店や人)でいつでも会えるお客様が、たまにデジタルにも来てくれる状態で、アフターデジタルはデジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを活用したリアル(店や人)にも来てくれる状態となるそうです。

わかったようなわからないような、そんな感じですが、何となくは掴めてきました。オフラインとオンラインの主従関係が逆転した世界、デジタルがツールだったのがリアルの方がツールになる世界、いろんな言い方ができます。

そんな世界が果たして楽しいのか、人と人の温かなつながりはあるのかと考えてしまいますが、例えばレジなどが無人化する店が増えていくことでどうなるかをこんな風に書いていました。

無人化」というとどんどんサービスが機械化していく印象がありますが、実際には従業員とよりコミュニケーションを取り、より人間的な温かいサービスを提供するプレイヤーが生き残っています。

レジでのお金の受け渡しがデジタルで省略されることによって、商品を通じたやりとりを一人ひとりに応じたやり方でより深めていくこともできるし、そこで得られる体験の質を上げることも可能で、アフターデジタルはその方向に進んでいくと理解することが大事だという話でした。

例として出てきているのは、国民の個人情報を国をあげて収集し、その情報を活用して国民一人ひとりの生活が便利で豊かなものになるようにサービスを改善し続けている中国の企業です。読んでいてその徹底ぶりに驚かされました。やはり中国はおもしろい国です。


『観察力の鍛え方』 佐渡島庸平著

佐渡島さんが「観察」をどのように考え、どのような思考を重ねているかがよくわかる本です。確かにそんな見方をすることもできるな、そんな整理の仕方もできるなと、参考になることが多い内容です。中でも「あいまい」であることを大事にしている点は共感できます。「わからない」から逃げない、目を背けない、簡単に「わかる」に逃げ込もうとしないことなど、大切にすべきことがたくさん書かれています。

宇宙兄弟ドラゴン桜といった大ヒット漫画を生み出した佐渡島さんの頭の中を覗いている感覚になれる不思議な本です。思考することが好きな人は共感できる部分が多いと思うし、自分の思考のくせに気づいたり新たな思考方法を見つけることができたりと、得られるものは多いはずです。

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