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同人誌とルビと注釈の悩ましい問題

現状のこと

私はささやかな二次創作を営む文字書きである。
しばらく創作から離れていたのだが、とあるややこしいジャンルに
足を踏み入れて創作を再開した。たまたまハマったジャンルが
ややこしかっただけで、自分からややこしさを求めた訳ではない。
主な発表場所は某SNSサービス(いわゆる支部)と同人誌。
一時期はTwitterにも短いものを掲載していたが、ジャンル特有の
ややこしさに厭世的な気分となり、ほとんど休眠している。
というか本垢のロードレースシーズンが後ろ倒しになっているのと
ライドが楽しい季節&仕事の多忙&薄い本の活動ゆえに、
ヲタ垢は低浮上中だ。低浮上だったところで、毒にも薬にもならない
アカウントなので割とどーでも良かったりする。

ジャンルの制約

今、二次創作しているのは海外の作品であり、その二次創作活動は
色々と制約があるのだが、最もたるものが一つ。
「利益を出してはいけない」だ。
二次創作の同人誌で利益を出してはいけないというのは、当たり前
と言えば当たり前なのだが、この解釈を巡って色々とややこしい。
個人的な感想だが、よほどの大手ではない限り、同人誌活動は
赤字になる。利益のために書いていない、ただ好きだから、好きを
共有したくて本を作るから当然と言えば当然だ。
そんなもんだと思っていたら、現ジャンルはさらに突き詰めて
利益を出さない方向に、ある意味洗練されている。
事前に頒布希望者を募る方式や、物々交換(同人誌や同人グッズなど)、
ギフティなど、一般的な同人誌活動しか経験のない私には
頭の中が?でいっぱいだ。
とにかく紙の本を出すハードルが金銭的にも心理的にもやたら高い。

しかし本を出したい。好きだから書きたい。ということで
面倒になって無料配布で利益どころか印刷代全額持ち出しで
本を出した。
私の場合、そんなに部数が見込めないからできているスタイルである。
現状、送料梱包費用と通販サイトのシステム利用料だけ負担をお願い
しているが、印刷代は全額赤字の持ち出しだ。(なお一部あたりの
単価は600円以上、新刊刷る度に数万円が消える恐ろしい世界)
幸いなことに既刊は事故対応分をのぞき完売しているが、これ以上の
部数は刷ることはできない。
(流石に10月の新刊からは頒布スタイルを見直す予定
 新刊複数予定ゆえ仕方なし・・・)

頁数と部数とジャンルの独特さ

ジャンルはちょっと特殊な中華BLファンタジーをブロマンスに昇華
したドラマの二次創作だ。アニメにもなっているし原作本の日本語翻訳も
出版されているが、私はもっぱらドラマ版準拠の二次創作をしている。
古代というか架空の中華であり、仙術や凶屍が出てくる世界なので
独特の用語単語が多い。榻、刀架、牀榻、袍、釵といった凡そ日常生活に
使用しないであろう単語が頻出する。
となると注釈やルビ・・・となるのだが、前述のような事情でページ数を
増やせない。当たり前だがP数を増やすと印刷代が上がるのだ。
小さい判型で、割とギリギリのフォントサイズ。さらに本文より小さい
文字で注釈を入れても、ユーザーフレンドリーとは言い難い紙面になる。
かといって、せっかく手にとってくれた方に、辞書やスマホで調べて
ください〜とも言い難い。
(同人誌は読み手も書き手も同じ立場だから、読み手をお客様と捉えて
 サービス過剰になる必要はないが、解釈の齟齬を産まないために、
 ある程度のユーザビリティはお互いに必要だと思う)
では分かりやすい別の言葉に置き換えるとなると、せっかく積み上げた
雰囲気が割と台無しになる。
ここでの文章からは想像できないと思うが、当該ジャンルでは割と耽美
というか美文調に拘っている部分があって、文章のリズムを壊したくない。
刀架を刀掛け、榻を長椅子では何となく文面の収まりが悪いのだ。
(ついでにカタカナは封印せざるを得ないジャンル。以前、オメガバース
 ネタを書いた時、割としんどかった・・・)
どこまでも趣味を詰め込んで、注釈もルビもしっかり入れて、P数が
増えても、部数をコントロールして単価を抑え、とりあえず印刷代の
何割かでも回収するという方法が封じられているなかなか辛い状況である。



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