ザセカンドが面白かった


2023年5月20日にフジテレビでオンエアされた「THE SCOND2023」が面白かったので感想を書きました。読んでください。



金属バットvsマシンガンズ

金属バット(結成16年)
ことわざのネタ。締めは友保の「これオチですねん」という言葉。しびれた。初見は金属バットにしてはおとなしいネタという印象だったけど、見返してみると反ワクを揶揄するくだりや賞レース時代のTHE MANZAIに対するdisもあったりして、やっぱり金属バットらしいネタだと思った。


マシンガンズ(結成25年)
この人たちは昔、エンタやレッドカーペットに出てたのは覚えてて、その後有吉弘行のサンドリに西堀さんだけが出続けているという印象。
何の番組か忘れたけど、最近のマシンガンズがすごいというのでネタを披露してたのだけど、舞台に出てとにかく喋り続けて、ズボンの後ろポケットに入れてる携帯のアラーム(予め終了時間に鳴るように設定されていた)が鳴った時点で「時間になったので帰ります」と言って去っていくというすごいネタだったのを覚えている。
その時の印象通り、とにかくアドリブの応酬。ネタとアドリブの境い目が分からない、空気を読んでアドリブを西堀さんがどんどんいれていくスタイル。自虐とボヤキ。

〈対戦結果〉
金属バット
1点2人、2点27人、3点71人
合計 269点

マシンガンズ
1点1人、2点27人、3点72人
合計 271点

2点差でマシンガンズが準決勝に勝ち上がりました。


スピードワゴンvs三四郎

スピードワゴン(結成24年)
個人的にスピードワゴンのネタはあまり好みではないのだけど。如何にもスピードワゴンといった感じのネタだった。
四季折々の恋という小沢の妄想にツッコミ続けてたはずの井戸田が、いつの間にか話の登場人物にというところがピークだったと思う。
ナイツの塙さんがYouTubeで言っていたのだけど、これは新ネタではなくスピードワゴンの鉄板のようなネタだったらしい。

三四郎(結成18年)
もはやテレビで見ない日はないというぐらい人気者の小宮。そしてコンビでは「有吉の壁」の印象が強い。あまりちゃんとネタを見たことはなかったのだけど。
占いのネタ。テレビに出続けることでMC力が増した小宮の強いツッコミ力で、どんどんネタを前進させて昔よりさらに見易くなったと思った。

〈対戦結果〉
スピードワゴン
1点1人、2点41人、3点58人
合計 257点

三四郎
1点4人、2点14人、3点82人
合計 278点

31点差と圧倒的な差をつけて三四郎が勝利。準決勝に勝ち上がり。


ギャロップ(結成19年)
カツラのネタ。ひとつのテーマで一本のネタをやり通すのはすごいなーと。スーパーマラドーナのYouTubeで林さんのことは見てて、分析力とそれを的確に表わす言語力がすごいなーと思ってたけど、「高級なフルーツみたい」には笑った。今までのコンビの中でオチが一番きれいだなーと思った。

テンダラー(結成28年)
THE MANZAIでビートたけしのお気に入りとなったけど跳ねることはなかったテンダラー。今回は、THE MANZAIの時の「必殺仕事人」のようなネタではなく、テーマを一つに絞らず、とにかくボケをたくさん詰め込んだベスト版のようなネタだったと思う。

〈対戦結果〉
ギャロップ
1点0人、2点23人、3点77人
合計 277点

テンダラー
1点1人、2点26人、3点73人
合計 272点

5点差、お互い270点以上という高レベルの結果でギャロップが準決勝へ。


超新塾(結成21年)
この人たちもエンタで見た印象が強い。正直、まだやってたんだーと思ったが、下馬評ではかなり強いという噂だったので、楽しみに見た。
5人の漫才ネタっていうのはテレビではプラン9以来じゃないかなー。コンビやトリオと違った団体ならではのネタで、尖ったというよりは盛り上げに特化したという感じがした。リズムっぽいのとか、人を入れ替えてボケを変えるとか、5人ならではのグルーヴ感というか。
こういうのってM-1では受け入れられるんだろうか?と思ったけど、こういうのも受け入れられるのがセカンドっていうことだろうか??

囲碁将棋(結成19年)
この二人は最近、千原ジュニアのYouTubeで対談してるのを見て、その印象が強いコンビ。そういえば、しくじり先生に出てるのも見た。跳ねかけてるのだろうか。
ネタはモノマネが題材なんだけど、モノマネは一切やらないという内容。すごいなー。力あると思った。
同じフォーマットでネタを展開してくれるからすごく見やすかった。

〈対戦結果〉
超新塾
1点1人、2点43人、3点56人
合計 255点
囲碁将棋
1点2人、2点20人、3点78人
合計 276点

かけ合いの漫才と五人組のネタという異色の組み合わせだったけど、結果は30点以上の差をつけて、囲碁将棋が準決勝へ。
三四郎のネタ時間の関係で時間が余ってたらしく、MCの東野さんと囲碁将棋の根建がケツを殴り合うという謎の時間があって微笑ましかった。


◾️準決勝
マシンガンズvs三四郎

マシンガンズ
Yahoo!知恵袋に書かれたものを印刷して、それを読み上げるネタ。え、漫才って小道具持ち込むのアリなの??
冒頭はかなり長い時間フリートークでアイドリングしてて、それが本ネタとの境い目が無くてすごいなーと思った。さすが芸歴25年。
ネタが思ったよりウケなかった時「お前も調子悪いな!」ってツッコんで笑いにして結局ウケてるというのはかなり強いと思った。滝沢さん、乗ってたなー。

三四郎
弟子入りするという話。一回戦で披露したネタよりちょっと弱いかなと感じた。小宮がネタを前進させてく感じ良かったんだけど、ネタのストーリーがしっかりしてて相田が話を進めていく感があって、そこらへんが自分はしっくりこなかったんだろうか。
ザセカンドの放送時間が4時間でネタ時間も6分という長尺で、ショート動画全盛の時代にどうなん?という番組の構成に対するいじりが出来るあたりは、さすがベテランだなーと思った。

〈対戦結果〉
マシンガンズ
1点1人、2点14人、3点85人
合計 284点

三四郎
1点3人、2点38人、3点59人
合計 256点

アドリブ漫才のマシンガンズと、実はアドリブ無しらしい三四郎の対決は30点以上と圧倒的な差で、マシンガンズの勝利。
スベリ気味だったのをツッコミで笑いに変えて、面白くないところも笑っていいよと提示してるマシンガンズは強かった。


囲碁将棋vsギャロップ

囲碁将棋
副業のネタ。「10年早いわ!」「20年早いわ!」とツッコミのワードの数字がどんどん増えていくのが気持ち良い。
極道とか特殊性癖とか結構ワードがえぐいのに、見た目が完全に文化系のせいでなのかそんなにえぐく感じないのが不思議なコンビだと思った。
文田さんのツッコミが「殺すぞ!」でYouTube慣れした耳にはびっくりさせられたが、昔はそんなの当たり前だったんだよなー。
二人とも背も高くて(両方185センチ以上)、声もデカくて聞きやすくて、かっこいいな。

ギャロップ
電車。林の着眼点はすごいなー。電車という話題で、自分が待ってる車両からだけ出てくる人が多い気がするというのは被害妄想なんだけど、そのひねくれてる点をフォーカスしないで、あくまで電車の中で見られる風景を切り取ってネタを進めて行く。その風景の切り取り方がミリ単位より細かくてナノ単位なのでは?と思った。

〈対戦結果〉
囲碁将棋
1点0人、2点16人、3点84人
合計 284点

ギャロップ
1点2人、2点12人、3点86人
合計 284点

なんと!!!!284点で両者同点ということでしたが、大会ルールで3点の得票数の多かったギャロップが決勝進出となりました。
そしてよく見たら準決一組目のマシンガンズも同じ得票数の284点なんですよ。
そうなってくると1点(面白くないと思った人)の数がゼロだった囲碁将棋が勝ち上がっても良かったのでは・・という気もしますが、どんなルールにしたって文句は出てくるだろうし、そこは仕方ないのかなーと思いました。


◾️最終決勝
マシンガンズvsギャロップ

マシンガンズ
アドリブで決勝戦まで進出したマシンガンズ、かっこいい!!
準決はちゃんと準備してたけど、勝ち上がれると思ってなくて、ちゃんと準備をしてなかったらしいマシンガンズ。
ネタがないことをネタにし出して、「ネタがないのにここに立ってるメンタルすごくないですか?」と西堀さんのパンチラインが炸裂!!!!
その後に入った本ネタは確かにちょっと弱かったんだけど、バイブスが熱かった。熱量で乗り切った6分だった。なに喋っても面白く出来るって最強なのでは・・・。
最後の方、喋ることが薄くなって来て、西堀さんが「・・・優勝させてくれ。」と正直すぎる心情を吐露。基本アドリブでどこでも終われるので、時間をめいっぱい使って帰って行った後ろ姿が良かった。

ギャロップ
ザセカンド2023で披露される最後のネタ。
「お先、禿げさせてもろてます」という林の掴みギャグからネタはスタート。高級フレンチ。
ネタ中、林の一人語りが延々続き、一人語りが終わりそうで終わらない。そして長いアイドリングのあとのボケ。確かに漫才の構造として、すごいのかも。
一回戦はカツラでボケを連発し、準決勝では電車というシチュエーションでボケを展開し、決勝では散々引っ張ってボケ無しの時間を作った上で、ちゃんと笑いをとった。
ナイツの塙さん言ってたけど、漫才のバリエーションが多いのだな、ギャロップは。
ギャロップというコンビは派手さはないのだけど(とくに林のほう)、とにかく林の考えてることに間違いはないのだろうなと。大袈裟かもしれないけど。
笑いというのは、実は正しいことがウケに繋がってて、聞いている者が共感できないと笑いにはならないと思う。そういう意味でギャロップ林は強いのかも知れない。


〈対戦結果〉
マシンガンズ
1点5人、2点44人、3点51人
合計 246点

ギャロップ
1点1人、2点22人、3点77点
合計 276点


ということで、優勝はギャロップでした。

まあ・・マシンガンズの246点が出た時点でみんな薄々気づいてたんですけどね。

個人的にはバイブスで乗り切ったマシンガンズに3点入れたいところでしたが、まあ漫才の大会なのでこういう結果になるだろうなーと。

でも、誰でも言えそうなことを書きますが、本当に誰が優勝してもおかしくなかった大会だなーと思いました。

さすが16年以上のベテラン!!!!


結成15年未満の新人が対象のM-1グランプリとどうしても比較してしまうのですが、M-1ってどうしても跳ねない時間が長い時もあったりするんですよ。

それがザセカンドの場合はベテランの大会なので、ハズレの時間がなくって、4時間の長尺番組なのに飽きることなく見ることが出来ました。

ショート動画全盛の現在にこんな挑戦的なことをして、結果全部見れちゃったというのはすごいなーと。

また去年のM-1GPでウエストランドが揶揄したように、M-1はやや感動に寄り過ぎてる部分もあると思います。そこがいい点でもあるんですが。

ところがザセカンドの場合は、投票結果が出たあと敗者側の芸人が負けたことをちゃんとお笑いに出来てて、芸人としての地肩が強いというか、相手に対してのリスペクトが感じられて、その点も好感高かったです。

思えば、二年前の錦鯉のM-1優勝が無かったら、ザセカンドも無かったんじゃないか。そう思いました。

あの時はナイツの塙さんやサンドイッチマンの富澤さんも泣いてて、多くの人の感動を呼ぶ大会となっていました。

こういう大会や番組というのも古い言葉でいうと一つの興行で、儲けが立たないと成立しないものだと思います。

そういう意味で錦鯉の優勝がなければ、ザセカンドという番組の企画すら立ち上がらなかったのではないでしょうか。

そしてM-1グランプリとの違いを述べると、M-1はいうても若手の大会で技量が足りない部分を感動で補ってたりすると思うんですが、ザセカンドも感動させる演出はあるものの、お笑いの大会として成立させようという思いもあって、熱量のバランスがちょうどいいと思いました。

正直、マシンガンズの優勝でも良かったんじゃないかと思ってますが、投票結果に不満はないし、あの審査方法もアリなんじゃないかと思いました。

一般人の投票というと第一回M-1グランプリで、当時圧倒的に知名度のなかったおぎやはぎが大敗という(漫才は面白かったのに!)記憶が鮮明で、このシステムで大丈夫かなーと勝手な心配をしてたんですが、まったくそんなことなかったのでビックリしました。

どうやって審査員の100名は選ばれたんだろーと気になりましたが、たぶん無作為に選ばれた100人なんでしょうね。

そして毎年(もしザセカンドが来年以降も続くのなら)、審査員は変わるのだろうけど、審査員は同じって訳はないだろうから、継続するうちに「今年のザセカンドの審査はおかしかったなー」という年が出てきても、おかしくなさそうですね。

とにかく出てる人もベテランで余裕があるので、見てる方もある程度は余裕もって楽しむのがザセカンドなのかなーと思いました。


放送日まで色んなことが明らかにされず、シークレットのままで進められたザセカンドでしたが、思った以上に楽しめたし、来年以降も続いて欲しいです。

そして、これは同じようなことを思ってる人が多いんじゃないかと思うんですが、自分みたいなM-1が開始された初期あたりからリアタイで見てる年配者に勇気を与えてくれる番組だな、と。

月並みな感想ですが、そんなことを思いました。

あと番組中にBGMとして頻繁に流されてたTHE YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」もすごく刺さりました。

なんとなく知ってた曲だったけど、番組終わったあとにめちゃめちゃ聞いています。

M-1が立ち上がって、R-1、キングオブコント、THE Wとお笑いの賞レースがドンドンと立ち上がる中に「今さら結成16年以上のための賞レースなんて必要かなー?」という疑問もあったのですが、実際目の前で形にされると、すごく良かった。感動も出来た。そして楽しめた。

唯一、お笑い賞レース系の番組がなかったフジテレビでしたが、それこそ賞レースとしてのTHE MANZAIの再来のようなことはなかったように思います。

あと気になるのは視聴率ですね。

オンエア2日ほど経った今も、自分の調べでは何%だったのか分からなかったのですが、そして今のテレビの世界は視聴率だけで番組の継続が計られるの分かりませんが、来年もやって欲しいと思います。

まるでファンレターのような流れになりましたが、こういうのは声にして上げないと意味ないですから。


・・・と番組を見ててモチベーションが出たのでブログに書いてみました。

まだ来年のことも発表されてないので分かりませんが、時代と逆行するようなネタ時間6分の4時間長尺番組というチャレンジングな内容で、さらに番組継続という結果を残せたら、それこそ美しい。バラ色だと思います。

長くなりましたが、キリがないのでこのへんで。

気が向いたらまた何か書こうと思います。


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