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食を通じて暮らしを伝える〜能登の移住者に学ぶ地域活性〜

こんにちは、ライフプロモーションデザイナーの橋野です。

10月2日(水)に京都・二条にある『Utari&ipe』で開催されたイベント「石川能登半島の食と暮らしを味わう交流会~ミシュランのお店で腕を磨いた和食料理人がオーガニック野菜の農家の想いを食で届ける~」に参加しました。

今回はゲストとして来京された農家の明星孝昭さん、そして和食料理人の川嶋亨さんに新鮮なお野菜やお料理を振舞っていただきながら、コーディネーターの太田殖之さんとともにの能登移住の背景や熱い想いをうかがいました。レポートでは、そのイベントの一部始終をお伝えできればと思います!

移住者や地元の人、いろいろな人と関わって移住を決めてほしい

コーディネータの太田殖之さんは、普段、七尾移住計画のメンバーとして移住者支援を行っています。また『株式会社おやゆびカンパニー』の代表も務め、ゲストハウス&カフェ「ろくでなし」を運営しています。(詳しいプロフィールはこちら

太田さんが東京から石川県七尾市に移住をしたのは、6年前。
「当時は移住者が珍しくて、ニュースになりました。県知事と並んで写真も撮ったんですよ」と太田さん。そこから県や地元の方、移住者仲間と尽力され、いまや七尾は県内では金沢に次いで若者の移住が盛んな地域とも言われているようです。

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移住のサポートするだけでなく、ワクワクする街にしたい」と語る太田さん。移住者が集まって地元の人には聞きづらいことも話せる『イジュトーーク』(毎月第2木曜日開催)や廃校を活用してテレビ番組『逃走中』を真似た企画、農村地区でのゲストハウスやカフェの立ち上げなど若い人が喜ぶ活動も展開されています。ここで知り合った人同士で、お店やイベントを開くこともあるようです。

こうした移住者支援をされる中で一貫して大切にされているのが、移住者と地元の人が一体であること。能登では「元から住んでいる人を土の人」と「旅の人、ヨソからの人は風の人」が合わさって「風土」という言葉を大切にしており、一体となって地域に関わっている。そのため、「移住を検討している方には、いろいろな人と関わって移住を決めてほしい」とお話しされていました。

住めばあなたも”農業遺産”

「能登は世界と一緒に生きていくために、大事なことが残っている場所」と語る太田さん。
能登は世界農業遺産に指定されていますが、農法だけではなく暮らしそのものが農業遺産に認定されています。自然を大切にし、四季に合わせて農法や食文化をフィットさせてきたことが評価されているようです。

「私たちも実は農業遺産です。住めば皆さんも農業遺産になれます」と冗談交じりに話しながらも、太田さんが能登の暮らしを大切にしていることが感じられました。そうやって壊さずに大切にしてきた暮らしを、これから移住する人にも大事にできるといいなと思いました。

旅をして、地元に貢献したいと思った

太田さんの次にお話いただいたのは、農家の明星孝昭さん(詳しいプロフィールはこちら)。石川県の有名なコメ農家に農家としての心構えなどを学んだ後、無一文・農地なしから農園をはじめたそうです。

農業経験のなかった明星さんが農家をはじめたのは、世界を旅する中で自分のアイデンティティを意識するようになり「地元で何かやりたい」と思ったことがキッカケだそう。

”いいもの”を作りたいという気持ちから、栽培方法を追求し、自然農法に辿り着いたという明星さん。現在は『あんがとう農園』として、ハーブと花と野菜を年間300種類を無農薬で栽培しています。

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現在はレストランへの卸しメインで栽培しており、個人のお客さんの注文を受けつけてない状況ですが、「能登の良さを伝えられるいいきっかけがあるなら自分も協力したい」と本イベントに食材を提供してくれました。お話の中で「高いポテンシャルがあるし、それを何としても伝えたい」と繰り返されており、いいものを作りたいという明星さんの強い想いを感じました!

大切なのは、コミュニケーションを重ねること

明星さんの素材を生かして調理するのは、和食料理人の川嶋亨さん。(詳しいプロフィールはこちら)本イベントの料理も、担当してくれました。

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川嶋さんは、昨年、若手料理人の登竜門「REDU-35」でファイナリストに選出されたほどの腕前。そんな立派な経歴を誇る料理人である川嶋さんでも、移住をした時当初は地域との関係性づくりは一筋縄ではいかなかったようです。

「最初は、なかなか良いものを提供してもらえなかった」と言う川嶋さん。何度も足しげく通い、コミュニケーションしっかりとってお互いの想いを交わし合う中で、やっと良いものを分けてもらえるようになりました。

明星さんと、生産者と料理人の関係になったのも、野菜を買うだけでなくお互いの想いを交わし合うことで意気投合した結果だそうです。

料理人の役割は、料理の先にある生産者の顔や畑の良さを伝えること

「料理人は、自分の暮らしだけではなく背景にある生産者の暮らしも良くしていかねばならない」と言う川嶋さん。

昔修行していた頃は「料理は腕自慢」と考えていたそうですが、料理と向き合う中で、「自分の力だけじゃなく支えてくれる仲間や地域の存在を感じることが増えていった」と振り返ります。

「料理人が出てくることと同じくらい、若手の農家が出てくることがすごく大事。ただ、みなさんの口に入るのは料理だから、地域の良さを知ってもらう入り口となるのは料理人ということになる。だから、料理人は生産者の顔や畑の良さを伝えていく役割があると今は考えています」

言葉通り、イベントで提供していただいた料理についても「明星さんのそばで、野菜を育てた人の顔や畑のことを想像して食べてほしい」と、食材や調理法に工夫を凝らした能登を存分に味わえる料理を振舞っていただきました!

暮らしを感じながら料理を味わう

最後にお料理を一部紹介したいと思います。

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明星さんの根菜や能登の魚をふんだんに使った前菜。
真ん中にあるふぐの子は、石川県の一部地域で受け継がれている伝統の逸品。
人参は、土付きのまま「食べてみて」と明星さんに渡されたシーンを再現するために、生のまま突き刺した一品一品に生産者や作られた場所へのリスペクトが込められています。

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天ぷら茶漬けです。かき揚げの中に入ってるのは、甘エビとホタテと金時草。
最高の旨味が口の中に広がり、しっかりすいたお腹を温かくじんわりと満たしてくれました。


野菜を提供してくれた明星さんを横目に、能登の魅力やお料理のていねいな解説をうけながら、能登の素材が詰め込められた絶品料理はいただく機会は、正直贅沢すぎました...。これは実際に食べていただかないと言葉ではお伝えしきれません。

今回のイベントは「食」がテーマだったこともあり、「何かを考える」時間より「料理を味わう」時間が多くありました。ただその時間は、ゲストの方たちの想いを交えて食したことにより、「ただ食べる」時間ではなく、「料理の奥にある生産者の顔や畑を思い浮かべながら食べて欲しい」という想いをまさに体現した時間であり、食を通じて能登の魅力を感じられる最高の機会だったのではないかと思います。

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いざ「移住」となると、住まいや仕事はもちろんのこと、「どんな暮らしが待っているんだろう」とか「ちゃんと溶け込めるだろうか」とか、いろいろ不安になってしまいます。

ですがゲストの方の話を聞いて、「こんなに能登に愛情を持っている人がいて、十分すぎる手厚いあたたかいサポートや移住者仲間、地元の人と出会える機会が用意されているなら、移住できるかもしれない」と、能登への移住を考えていなかった自分までも、不安が解消されたような気持ちになりました。

ゲストのみなさん、素敵なお話、そしてお料理をありがとうございました!

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(写真・文章・橋野貴洋)

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