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報告:東京空襲犠牲者の名前を公開し、体験を継承するつどい2023(名前の展示2023)

 3/11(土)、浅草公会堂第1集会室で、「東京空襲犠牲者の名前を公開し、体験を継承するつどい2023(名前の展示2023)」を開催しました。
 東京空襲犠牲者遺族会会長・榎本喜久治さんより「はじめの言葉」があり、続いて、山本唯人さんより「2022年度の活動報告と展示の紹介」が説明されました。

 講演は立教大学共生社会研究センター・アーキビスト平野泉さんによる、「死者とともに生きる―記録された名前とアーカイブズをめぐる運動に寄せて」です。
 「アーカイブズ」とは、「個人や組織が、日々の活動の必要に応じて作成したり、受け取ったり、ファイルしたりする文書や記録の総体」のこと。文書や記録はきちんと管理されることで、事実を証明する力を持ちます。講演では、この「アーカイブズ」という方法を使って、人権を奪われた民間人戦争犠牲者の名前や顔写真が、国内外の政府や軍、民間によって公開されている事例が豊富に紹介されました。
 また、国連人権委員会の報告書では、重大な人権侵害があった時、人びとの「知る権利」を保障する措置として「アーカイブズの保存とアクセス」の重要性が確認されています。そうした議論を紹介しながら、空襲犠牲者の名簿公開は、「人権侵害被害者の尊厳を取り戻し、加害者側の忘却を許さない」国際的な運動とつながると、位置付けていただきました。
 「市民の集合的合意」に基づく名簿公開の可能性を、法の枠組みを踏まえながら探るという提言もありました。
*当日のスライド発表用資料(一部加筆修正)を、講演者の承諾を得て公開します。

 今年は「名前の展示2023―東京空襲犠牲者の公開名簿」と「[関連展示]報告書の言葉たち」を展示しました。
 「名前の展示2023―東京空襲犠牲者の公開名簿」では、従来の名簿に新公開する17遺族・犠牲者62人の名前を加えて、累計122遺族・犠牲者382人の名前を、A0用紙・6枚に印字して会場の壁面に貼り出しました。
 関連展示では、新公開する17遺族全員の「東京空襲犠牲者報告書」を、一緒に提出されたメモ書きなども含めて、パーティションに掲示しました。

 後半では、新公開した犠牲者62人の名前をスタッフが読み上げ、そのあと、今年公開した遺族が3人、昨年以前に公開した遺族3人が、家族の名前の前で思いを語りました。それ以外にも数人の名前公開遺族が会場に来てくださいました。
 フロアからの質問のあと、和・ピースリング代表の有馬保彦さんより「おわりの言葉」があり、つどいは閉会しました。
 密接を避けるため、随時参加者を入れ替えながら、全体では50人が参加しました。
 3/12(日)7:40、NHKニュースおはよう日本(関東甲信越)で「東京大空襲の犠牲者の名前公開し、空襲の記憶残そう、東京で集会」が放送されました。
*NHKウエブサイト
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230312/1000090569.html

「名前の展示2023―東京空襲犠牲者の公開名簿」
「名前の展示2023―東京空襲犠牲者の公開名簿」(部分)
新公開の名前にリボンを付けて表示する
「[関連展示]報告書の言葉たち」
「[関連展示]報告書の言葉たち」(部分)
会場風景
東京空襲犠牲者遺族会会長・榎本喜久治さんの「はじめの言葉」
撮影 若杉昌矢
立教大学共生社会研究センター・アーキビストの平野泉さんの講演
展示の見学風景
撮影 若杉昌矢
展示の見学風景
撮影 若杉昌矢
スタッフが犠牲者の名前を読み上げる
名前公開遺族の発言
名前公開遺族の発言
撮影 若杉昌矢
名前公開遺族の発言
撮影 若杉昌矢
受付準備のボランティア
展示設営のボランティア
『東京空襲「せめて名前だけでも」公開プロジェクトYearBook/年報2022 東京空襲犠牲者の名前を公開し、体験を継承するつどい2022―名前の展示2022の記録』

 東京空襲「せめて名前だけでも」公開プロジェクトの「YearBook/年報2022」を会場で発行しました。
 郵送販売の申込等は以下を参照。
https://note.com/meetingnames/n/nd3d3ef0fcbfa

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