小さな黒く丸いもの

別宅のテラスのテーブルの近くに
緑が欲しくって
夏のセールで半額になっていた
カンガルーアイビーを持ち帰り
ツルが美しく見えるように
台の上に置いている。

猛暑の中でも
グリーンの茂みは
目に涼しい。

そのカンガルーアイビーを前に
今、わたしは苦悶している。


今から2週間ほど前
毎日の水やりの時に
テラスを彩っている草花の近くに
「小さな黒く丸いもの」が
数個、散らばっているのを確認した。

夏花が終わり、種が飛んだのか
っという程度で
その時は、さほど気に留めなかった。

しかし
2日、3日と経つうちに
「小さな黒く丸いもの」は
数が増えるばかりか
サイズが微妙に大きくなっている。

これは、まさか?
これは、もしや?
種ではなく
ナニモノかのフンなのか???

都会暮らしで
虫とは縁遠い暮らしだったとはいえ
植物の種と幼虫のフンの区別もつかない
自分に情けなさを感じつつも
周囲の花をかき分けつづ
疑惑の主を探してみた。

が、
わたしの目には
ナニモノも捕らえられない。

謎だなーっと思いながらも
暑い日差しに耐える忍耐力がないため
そそくさとクーラー部屋に戻る。

この態度では、
園芸を趣味とは決して言えない。


その後も、1日に何度も
窓越しにテラスの植物たちを愛でる。

しかし、悲しいかな
花より先に視線が行くのは
「小さな黒く丸いもの」。

それは、確実に増えている。
そして、粒が大きくなっている。

間違いない
主は、成長している。。。

こうなってくると
はっきり言って、怖い。

目で確認できる
「小さな黒く丸いもの」のサイズからすると
デカいに違いない。

旅先で時々見かける
朝食のビュッフェで
無心に頬張っり続け
身体の中に次々と吸い込んでいる
人知を越える図体のブヨブヨした外人を思い出す。

ある種のホラーだ。

その類の
幼虫が、あの涼しげな顔をした
草花の中に潜んでいるのか。。。

しかも
この「小さな黒く丸いもの」の量は
おひとりさまとは思えない。

団体旅行か。
気が滅入る。

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「人の日記は蜜の味」この日記は、2022年4月1日よりスタートしました。 ••• これまで、外資系金融機関、大手広告代理店などで働く女性と…

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