鳩は雨をすりぬける


薄曇りの空に
しずかな真珠色の陽がさし
駅ビルの谷を鳩たちが滑空する
雨の匂いをすり抜けては
ひらめく銀色のつばさを
光の微笑みが追いかける

旅のはじまりもおわりも
見えないほど遠くにある
それでも
あいまいな雲の向こうへと
真円の軌跡を描いて
鳩たちは飛び立ってゆく

ふいによぎる懐かしさのような
陽ざしが明るく照らし出す
見慣れた街の遠景の向こうで
ひらめく光が滑空する

ひたむきに遠くへと向かい
真珠色の空を打ち鳴らす
鳩たちの銀色のつばさ

光の微笑みの向こうへ
鳩たちは飛んでゆく

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