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[自作台本] おかえりなさい

2021/12/23 
5 MINUTES THEATER(Peaky Hikers Theater)出演作品
『大雪・スイミング・お茶』3つのお題を使った5分間の劇。


「おかえりなさい」

SE ドアガチャ

ユキコ「ただいまー。あー寒かったー」

小太郎「おかえり。お仕事お疲れさま」

ユキコ「いやー参ったー。タイムカード切ろうと思ったらいきなり本社のミスが発覚しちゃってさー」

小太郎「うわ、それは大変だったね。エアコンつけといたからしっかり暖まって」

ユキコ「ふーっ、つかれた。お茶いれてこよ。ふんふんふーん♪♪(鼻歌)」

ユキコ「ねえ、知ってるー?紅茶とウーロン茶と緑茶って元は同じ茶葉なんだって。発酵度の違いで変わるんだって」

小太郎「そうなんだ!?知らなかったなー」

ユキコ「そう考えると酢豚に紅茶もおかしくないよね」

小太郎「わ、ほんとに今日の夕飯、酢豚に紅茶なんだ!?」

ユキコ「いただきまーす。」

小太郎「いや、待って?紅茶に砂糖も入れるんだ…うーん、まあ、いいか。 食事にコーラ合わせたりもするし多少甘い飲み物でも…そもそも中国のお茶って甘かったりもするしね」

ユキコ「食事の時に甘い飲み物嫌がる人も多いけど、料理にだってお砂糖は入ってるんですー」

小太郎「そうだけど…あーー。ジャムまで入れちゃったかー。ロシアンティーか。さらにロシアまで加わっちゃったじゃん」

ユキコ「ワールドワイドに生きる人類としてはあらゆる味覚を網羅しないとね」

小太郎「意味分かんないけどチャレンジャーだなあ」

ユキコ「それに、明日は会社行事だからね!体力つけとかないと」

小太郎「へー、社会人なのに行事とかあるんだね」

ユキコ「……寒中スイミング懇親会がね…」

小太郎「寒中スイミング懇親会?!なにそれ!外、大雪だよ!?」

ユキコ「まじなんなの?うちの会社!正気なの?マツオカみたいな冬でも半袖の上司がさ!『やはり社員同士の交流は大事だよな!よし!スイミング懇親会をしよう!会社の保養所に予約をとったからそこの屋外プールでメドレーリレーをやろう!』」

小太郎「うっわーーめいわくーーー!」

ユキコ「ありえないわーーー」

小太郎「風邪ひくよ、やめたほうがいいよ…」

ユキコ「行きたくないけどさ、以前その日に有給とった新入社員が異動で地下3階の物置小屋整理に飛ばされてメンタルヘラって自主退職したとかのうわさもあって…」

小太郎「まじか!」

ユキコ「先輩からは絶対行っといたほうがいい…って」

小太郎「ブラックー」

小太郎「悪いことは言わないからさ、その会社考え直したほうがいいよ。昨日も終電ギリギリだったでしょ。こんな大雪の日にそんな行事やるほうがおかしいって。ね、体壊したら元も子もないでしょ」

ユキコ「心配してくれるの?ありがと。」

小太郎「僕がさ、養ってあげるとはいえないけど…何もできないけど・・むしろお世話になる一方だけど」

ユキコ「そんな顔しないの」

小太郎「心配してるんだよ」

ユキコ「そーだよね、ごめんね。最近全然遊んでないもんね。」

小太郎「そんなのはいいんだけどさ」

ユキコ「今度の休みにはさ…あれ?ちょっとまって?暖かいと思ったらなんでエアコンついてるの?」

小太郎「それは、帰ってくる頃かなーって思って部屋暖めとい…」

ユキコ「こら!またリモコンいたずらしたでしょ!やだー電気代こわーい!」

小太郎「か、帰ってくる直前につけたからそんなでも…」

ユキコ「もう触っちゃだめ! あー、独り言言ってないでカナコにでも愚痴ろ!小太郎はハウス!」

小太郎「そ、そんなー わぅうーわふわふ」

ユキコ「(電話)あ、もしもしー?カナコー?聞いてよーあのねー」(背後でずっと小太郎鳴いてる)

ユキコ「ちょっとごめん。 小太郎!う・る・さ・い」(小太郎ぴたりと鳴きやむ)

小太郎「クゥーン…僕が最初に話してたのにー」


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