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Hanoi in 2018 #1

外国で行われた体操の大会を見る機会を得た際の話。
どこかの国の小さな女の子が、マスカレードマズルカという音楽に合わせて踊る床の演技を見て、原始的な歓びを感じた。
室内とは言え裸足で飛んだり跳ねたり、転がったり回ったり、全身を伸び縮みさせてあちらへこちらへとぴょんぴょん跳ね回る、魔法がかかったゴムボールのような彼女の動き。

彼女の身体は、音楽に共鳴して勝手に動き出し、その動きで覚醒した全身の細胞がくすくすと笑いながら、皮膚という膜を破って飛び出さんとばかりに、筋肉のコースターライドを楽しんでいる。

置いてけぼりを食らっている意識は、時折ほんの少しだけ、音楽とのシンクロを高めるために興醒めのコントロール介入させるが、身体は結局のところ、その意識に感謝を捧げ、意識は身体にウインクをする。

そんな彼女の演技に目を奪われながら、この子はあの森で見た妖精?とありもしない記憶が蘇った次第。

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