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お仕事の話

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今までに経験したお仕事のお話
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#契約

初めての仕事

初めて自分のしたことで対価を得たのは、まだ小学校にも入っていなかった頃だと思います。 私の母はこわい人でしたが、祖母の家にいとこ達が集まったときなどには、ユニークな言動をする人でした。 「白髪を抜いてくれたら1本につき1円あげる。」 「肩たたき100回で10円。」 夏に皆で海に行き、後日、背中の皮がむけたときには、 「皮を1まいむいたら1円。おおきな皮がむけたら2円!」 などなど… いわゆる『お駄賃』というものですね。 それで手にしたお金を持って、近くの駄菓子屋へ行き

保険外交員

コーヒーショップで働くことがすっかり嫌になりました。 仕事というのはどんなものでも、 信頼や尊敬できるオーナーや店長や上司の下で、 その人たちの役に立ちたい、笑顔が見たい、褒めてほしい、という気持ちでするものだと思います。 オーナーのことも、店長のことも、すっかり信用できなくなっていました。 仕事を終えて、保育園に子供達を迎えに行く前に、どこかでお茶でも飲もうと思い、近くのドーナツショップに入りました。 その店に入ったのは初めてでした。 飲み終わったカップを下げようと立

(続)保険外交員

会社に行きたくないと思い始めると、寝ても寝ても、眠気がおさまらなくなりました。 10時間以上寝ても、まだまだ眠いのです。 もともと得意ではない家のことも、何もやる気がなくなりました。 生活や、なにより子育てに支障をきたしてしまうくらいなら、もう保険会社を辞めよう、と決めました。 会社には、大好きな上司がいました。 おばさま方の中にひとり、私とは年が10才ほどしか違わない若さで、シングルマザーでした。 かわいらしい顔で、かわいらしい声、けらけらとよく笑い、一緒にいるのがとても