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月が繋ぐは空か心か

遠恋の多い過去だった。
寂しがりやなのに。
月を見上げることが多かった。
月の満ち欠けは同じだったから、安心した。

よく耐えられるね、と言われていた。
寂しくて浮気しないの?と。
「その人がいなくて寂しいのに、どうして他の人と会えば寂しくなくなるの?」
純粋に疑問に思っていた。
苦笑されたのは優しさだったのだろう。
今は夫が近くにいても、寂しさを感じるのに。

私の好きは、
人間性が好きだ。
そんな人が、そうそういるはずもない。

夫とよくネット通話をして、寂しくて、寝付くまで繋げてくれていた。
夫がパソコンが一時間後にシャットダウンするプログラム(?)を作ってくれて、それをつけていた。
私が起きていると、夫が通話を消さずに待っていてくれるから、寝たふりをしていたこともあった。
私の寂しいを、負担にしたくなかった。
文明の利器に頼りながら、2人で空を見上げ、同じ月だねと笑った。

会えない間、月を見ては相手を想った。
会える日を指折り数え、いつかまた会えるからと自分に言い聞かせた。
冬は寒くて寂しいけれど、冬休みがあるから好きだった。
冬は愛しい人に会える季節だ。

透き通った空気は
季節感を増し
電話すらも超えて
全ての人に光を照らす

月が凛と鳴る、糸しい冬だ。

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