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社会人大学院生に、1年次が始まる前にでも、或いは1年次の5月ぐらいまでに読み終えてもらいたい本 〜 社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科高広ゼミより

はじめに〜社会人大学院生の論理的思考不足は大きな課題

 リカレント/リスキリングという言葉が知られるようになり、社会人が大学院にて学び直す機会が増えています。また、社会人向けの専門職大学院はどこも人気なようです。
 この専門職大学院、文科省の定める基準においては「論文相当」のものの執筆を必要としないところもあったりするのですが、修了要件に入っている場合は相応の文字数、だいたい4〜5万字程度を最低限として、「研究成果報告書」や「実務論文」と呼ばれるようなものを書かねばなりません。

 さて、私の経験上、社会人大学院生もいくつかのグループに分けることができ、(1)卒論のある学部卒、(2)卒論のない学部卒、(3)高卒で大学卒業相当資格、(4)その他の4つのどれかに当てはまるように思います。この分類というのは、学歴や頭の善し悪しのようなことを言ってるのではありません。この点は誤解無きようお願いします。
 ではどういった観点でこのように分かれると考えてるかですが、それは、「クリティカルに文章を読むスキル」、「論理的に構成された文章を書くスキル」のありやなしやということになります。(1)のように卒論がある学部を卒業しているからといって、すべての人が上にあげたようなスキルを持っているわけでありませんが、少なくとも、「卒業論文を書く」という行為を通じて、(個人差こそあれ)クリティカルであり、ロジカルであるということに対してアレルギー反応をしめすことはほぼありません。
 一方で、(1)であってもそのスキルを維持できていなかったり、あるいは(2)(3)のように、論理的に構成された文章を作成する経験を得る機会がなかった人たちは、先行研究の論文を読むことにおいても、また自身の論文・研究成果報告書を書く上においても、非常に苦労していることを、教鞭をとっている現場で直接見てきています。しかもそうした苦労をしている人は少なくない。

社会人大学生に必要な4つのトレーニング

 そこで私のゼミ(社会構想大学院大学コミュニケーション・デザイン研究科)においては、以下のような書籍を読むことを推奨(いや半ば必須)としています。

 このリストは、

  1. 基本的な論理的な思考・概念を理解し、論理的であることとはどういうことかを頭にインストールする。

  2. 「クリティカル(批判的)」な態度というのはどういうことかを理解する(≠批難)。

  3. 「問い」とは何かを理解する。

  4. 「パラグラフ・ライティング」について理解する。

という、長らく「学び」から離れていて、或いは上にあげたような機会を得ることのなかったけれども、しかし社会人大学院生にとっては必要な【大学院生として基盤となるスキル】を身に着けてもらうためのものです。

 本来は、私のゼミ(及び社会構想大学院大学の希望者)に提供しているブックリストではありますが、社会人大学院生にとっては悩みの多い部分ではあるかと思いますので、こちらの note にてリストを公表させていただきます。お役に立てれば幸いです。

書籍リスト(1)入学前〜直後に読んでほしい本

【考えるとはどういうことかを考えるための最も基礎的な本】

【基本的な論理的思考を身につけるための本】

書籍リスト(2)先行研究を始める前に読んでほしい本:1年次前期中

【クリティカルリーディングに関する入門書】

書籍リスト(3)先行研究と向き合い、自身のリサーチクエスチョンを定めるために読んでほしい本:1年次前期中

【“問い”について考えるための本】

書籍リスト(4)論文・報告書を書き始める前に読んでほしい本:1年次後期

【論理的構成の文章の書き方を学ぶ本】

【論文を書くための作法や日本語の構造を理解し、論文執筆のスキルを身につける本】



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