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目的別 システム構築のポイント⑥

今回は「ベッドコントロールの効率化」を目的としたシステム構築のポイントについてです。

■入退院支援業務とベッドコントロール

「ベッドコントロール」という言葉を聞いて業務を思い浮かべるとき、その医療機関がどのような医療機関なのかによって、思い浮かぶイメージは変わるように思います。

まずひとつめが院内のベッドコントロール。急性期と回復期リハや地域包括ケア、療養などの複数の性質をもつ病棟を持っているケアミックスの病院では、患者さんをどのタイミングで急性期から急性期以外の病棟に転棟されるか細かくコントロールするイメージがあるのではないでしょうか?

もうひとつは転院や転出を含む退院調整業務です。急性期病棟しかないような病院は、院内のベッドコントロールよりこちらを重要視されているのではないでしょうか。グループ病院内で機能分化を進めている場合も同様です。

どちらにしてもポイントは、急性期のベッドをいかに効率的に稼働させるかということではないかと思います。そのためには常に病床稼働率と患者の状況をウォッチして状況を把握しながら、細かく調整する司令塔のような役割の方を置かれている病院が多いと思います。

効率のよいベッドコントロールのためには、できるだけ患者を一覧化し、下記のような情報を並べて、常に調整の優先度を確認できる状況にする必要があります。
例えば
・DPCの最も医療資源を投入している病名
・現在のDPC期間と1日あたりの包括点数
・DPCⅢの期間の開始日
・付加治療(化学療法、輸血、放射線治療等の有無)
・医療・看護必要度
・要介護度や自宅の介護力等
などの情報があれば、どの患者の転棟・退院調整を優先すべきかが明確になります。
DPCや医療・看護必要度については診療報酬改定の影響で細かく変わるため、システムベンダーに頑張ってもらうべきではないでしょうか。
医事システムが持っているDPCの情報や会計情報から取得できる情報も多いので、医事システムからのデータ連携が可能なシステムの導入がポイントと思います。

またベッドコントロールの司令塔や調整担当者には、調整に関するイニシアティブがとれる権限も必要となります。
多くの病院では「医師からの指示があるまで動けない」という状況が見受けられますが、ベッドコントロールに主軸を置くのであれば、看護師や退院調整担当者が主体となり、医師に治療の見通しを確認しながらベッドコントロールを推進する権限が必要です。

■分析に力を注ぐ

さらにもうひとつお勧めしたいのが、分析を視野に入れたシステム構築です。

・どのような患者がどの医療機関または施設に転院したか
・DPCⅡの期間内に転棟・転出できなかった理由
・再入院患者についての入院前の経過

上記のような情報を分析・評価することをあらかじめ念頭において、誰がどのタイミングで必要な情報を入力し、それをどのように収集して、評価・分析するかということを決めておくことにより、自院のベッドコントロールをどんどんアップデートしていくことが可能となります。

■まとめ

ベッドコントロールに主軸を置いた入退院支援業務の構築においては、下記のポイントをおさえましょう。

・医事システムと連携し、DPCや医療・看護必要度の情報を一覧化できるシステムを導入する。
・ベッドコントロールや退院調整の担当者に一定の権限を与え、積極的に医師との調整を行えるようにする。
・自院のベッドコントロール業務アップデートのため、評価・分析が可能な情報の蓄積方法を決めておく。

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