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目的別 システム構築のポイント②

今回は、「平均在院日数の短縮」を目的としたシステム構築のポイントです。

■入退院支援業務における平均在院日数短縮のポイント

急性期病院において平均在院日数の短縮というのは大きなテーマです。
平均在院日数を一定期間内に維持しなければ、「急性期一般病棟入院料」の高い基準を保てません。
そのために、急性期病院ではおそらく様々な創意工夫を重ねられているものと思われます。

色々な病院のヒアリングをしていると、入退院支援業務において「ここを効率化したら、平均在院日数が短縮しそうだな」というポイントはほぼ同じです。

それは、退院調整開始時期のルールについてです。

一概には言えませんが、入退院支援業務が平均在院日数の短縮に寄与している病院は、退院調整開始時期のイニシアチブを入退院支援部門が握っています。

例えば、入退院支援業務のルールとして「DPC/PDPSのⅡの期間までに患者を退院(転院)させること。それができない患者についてはできなかった理由を分析すること」のようなものがあると、入退院支援部門の担当者はDPC/PDPSのⅡを算定できる最終日をゴールとして自発的に退院調整を開始します。このような運用の病院は、全般的に平均在院日数の短縮がうまくいっているように見受けられます。このルールは入退院支援部門担当者のモチベーションアップにも役立っているようです。

しかし、大多数の病院は「医師または病棟師長が退院調整開始の指示を出す」というルールになっているようです。患者の治療経過等の問題もあるのでこの運用がダメというわけではありません。しかし、多くの患者をみている医師または病棟師長が、スピーディーに退院調整の指示を出すのはなかなか難しいと言わざるを得ません。

もし、退院調整の開始は主治医か病棟師長の指示を待つ必要があるという病院は、せめて下記のような運用に変更できないか検討してはいかがでしょうか。
○情報伝達は電子カルテ上で行う。電話連絡やメール連絡だと担当者が休んでいる等の理由により、退院調整の開始が遅れる傾向にあります。
○「退院調整を開始する患者」を連絡してもらうのではなく、「退院調整が開始できない患者」を電子カルテ上の決まった場所に入力してもらう。

■入院前支援の徹底強化

もうひとつのポイントは入院前支援の徹底強化です。

入院する前に、患者の入院前の状況や退院先の要望、ご自宅の介護力等、できるだけの情報をヒアリングしておきます。

ポイントとなる項目には下記のようなものがあります。
○入院前の居場所。ご自宅の介護力。
○退院先の希望。(本人だけでなく、家族の思いも)
○入院前の日常生活動作自立度等。
○要介護度。担当ケアマネの氏名・連絡先。在宅サービス等を受けていたかどうか。

また、ヒアリングだけでなくアセスメントも重要です。
特に下記の項目に関しては入院中に行われる治療内容をしっかり理解して、指示やアドバイスを的確に行うことにより、入院長期化のリスクを低減できます。
○褥瘡リスク
○栄養状態の把握
○服薬中薬剤の安全確認

上記に加えて、口腔ケアの状況や嚥下機能、転倒・転落リスクの評価や指導を効果的に行うことで、入院長期化のリスクを軽減できると思われます。
ただし、各アセスメントを教科書通りに行おうとするといくら時間があっても足りません。できるだけ簡易に評価できるよう、省略できる部分は省略していく工夫も必要です。

■まとめ

平均在院日数短縮を目的とした入退院支援業務では下記のポイントをおさえましょう。

・退院調整開始に関する無駄のない運用ルールを構築する
・入院前の支援を強化し、効率的なアセスメントと効果的な入院前指示を行うことで、入院長期化リスクを軽減する

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