流産や不育症の検査方法

以前、流産や不育症にどうしてなってしまうのか?またそのリスク因子についてお伝えしました。

今回は、流産や不育症の検査方法についてお話したいと思います。
流産や不育症のリスク因子は以前述べたとおり、さまざまです。その主な検査方法を表に示します。

問診・生活習慣の確認

まずは、生活習慣の確認をしましょう。
流産率を上げる肥満、喫煙やカフェイン摂取状況、精神的なストレスの有無を確認します。

子宮形態・内腔の確認

経腟超音波検査や子宮鏡検査で、子宮の形態や子宮内膜ポリープや慢性子宮内膜炎などの子宮内の病変がないか確認します。

血液検査

流産とかかわる甲状腺や糖尿病の検査、血栓性素因である抗リン脂質抗体症候群、プロテインCおよびプロテインS、第Ⅻ因子の検査、それとカップルの染色体検査を行います。

免疫検査

さらにすべての施設が行っているわけではありませんが、免疫検査としてTh1/Th2細胞比とビタミンD採血を行います。

AMH値の確認

また流産のリスク因子ではないのですが、卵巣予備能を抗ミュラー管ホルモン(AMH)値で確認しておくことをお勧めします。私の臨床研究でも、非常にAMH値が低下している場合に、明らかに出産できる方が少ないことがわかっています(文献1)。赤ちゃんに会うためにも、AMH値を測定し、万が一非常に低いときには体外受精などで少しでも早く妊娠することが重要になります。

PGT-A検査

また表に記載していませんが、体外受精で受精卵の染色体の数的異常だけを確認する着床前スクリーニング検査(Preimplantation genetic testing for aneuploidy;PGT-A)という検査があります。体外受精を行った後にできた胚盤胞の将来胎盤になる細胞の一部を採取し、染色体の数を確認する方法です。ヒトの染色体は23対46本あるのですが、胚が着床しないもしくは着床後に流産する原因の多くは染色体数が多いもしくは少ないことで起こります。PGT-Aは、妊娠前から受精卵の染色体の数的異常の有無を確認することができます。
またカップルのいずれかが染色体の構造異常があることで、流産を繰り返すことがあります。その流産しやすい染色体の構造異常に対して行う着床前診断(Preimplantation genetic testing for structural chromosomal rearrangements;PGT-SR)は、PGT-Aと方法はほぼ同じですが区別されます。
通常、PGT-Aを行い染色体数が正常な場合の流産率は年齢にかかわらず10%弱です(文献2)。体外受精を行う必要があり、かつ保険適用がないため、高額な検査になりますが、高齢女性では妊娠当たりの流産率を明らかに下げることができます(文献3)。詳細はあらためて説明します。

参考文献
1. Kuroda K, et al. Novel approaches to the management of recurrent pregnancy loss: The OPTIMUM (OPtimization of Thyroid function, Thrombophilia, Immunity, and Uterine Milieu) treatment strategy. Reprod Med Biol. 2021;20(4):524-36.
2. Harton GL, et al. Diminished effect of maternal age on implantation after preimplantation genetic diagnosis with array comparative genomic hybridization. Fertil Steril. 2013;100(6):1695-703.
3. Simon AL, et al. Pregnancy outcomes from more than 1,800 in vitro fertilization cycles with the use of 24-chromosome single-nucleotide polymorphism-based preimplantation genetic testing for aneuploidy. Fertil Steril. 2018;110(1):113-21.

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