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【運動器7】スポーツ現場における理学療法士の7つの役割<全文公開>

記事をご覧の皆様、はじめまして。

Medical fitness Ligare(千葉県松戸市)の平 純一朗(タイラ ジュンイチロウ)です。金曜日を担当させていただくことになりました。どうぞ宜しくお願い致します。

普段はMedical Fitnessでのコンディショニングやパーソナルトレーニング指導および、トレーナー活動(KSL1部所属サッカーチーム、V2女子リーグ所属チーム)などを行っています。

主にスポーツ現場でのお話をさせていただければと思います。

スポーツ現場での理学療法士の役割


 スポーツ現場にはコンディショニングスタッフ、メディカルスタッフとしてアスレティックトレーナー、柔道整復師、鍼灸師、理学療法士の資格をもったトレーナーが在籍していることが多いかと思います。

カテゴリーにもよりますが、より上位のカテゴリーでは役割が分担され、理学療法士はメディカルスタッフとして主にケガ後の復帰に向けたリハビリを提供しています。

しかし、中高などの育成年代のカテゴリーや私が所属する社会人チームでは、トレーナーが一人体制であることも珍しくありません。所属チームでは私の他に、理学療法士や鍼灸師、学生トレーナーが在籍していますが、現場帯同時はそれぞれが一人づつ交代で帯同しています。

つまりは、スポーツ現場帯同時は理学療法士の役割というよりも一人のトレーナーとして、チームから求められる役割を遂行する必要があります。

スポーツ現場での理学療法士は、「リハビリができる人」ということは認知されてきていますが、それはチームに求められるトレーナー業務の一部でしかない可能性があります。

ではトレーナーにはどのような役割があるのでしょうか。

トレーナー7つの役割


日本スポーツ協会アスレティックトレーナーの役割として7つの項目に関して明記されています。

(※参照|(公財)日本スポーツ協会,2007,公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト1)

以下、自分がスポーツ現場にいて感じたことについて簡単にまとめました。

1,スポーツ外傷・障害の予防
−各競技・年代・性別・カテゴリー・環境などにより必要な予防策は変わってくる。
(競技により起こりやすい怪我・成長期特有のケガ・女性に多いケガ・人工芝 or 天然芝による疲労骨折発生頻度など)

−ACL損傷予防プログラム・捻挫予防プログラム・肉離れ予防プログラム・熱中症対策などは一般的になってきているため、その発生率を限りなくゼロにする取り組みが必要。

−シューズなど道具についての相談。

スポーツ外傷・障害の予防はケガ人を減らし、チーム力を維持するためには必須になります。予防のために以下の取り組みを行なっています。

・外傷障害のデータ収集(接触 or 非接触、時期、受傷時間など)

・柔軟性計測(ASLRとHBDを定期的に計測)

・年1-2回のフィジカルチェック

【フィジカルチェック項目】

・身体組成(体重・体脂肪率・筋肉量など)

・柔軟性(ASLR、HBD)

・姿勢制御(Star Excursion Balance Test:横・後ろ)

・筋力(30秒腹筋、腕立て)

・パワー(3歩バウンディング)

・敏捷性(イリノイアジリティテスト)

・持久力(yo-yo test)

 以上のデータを収集し、スポーツ外傷・障害に関わる因子を毎年検証し、基準を設定することでコンディションを維持できるような取り組みを行っています。

2,救急処置
−医療系の学校では学ぶ機会が少ない。

−RICE処置、創傷処置、心肺蘇生法、熱中症・脳震盪への対応が多い。

スポーツ現場のトレーナーの役割は、救急処置です。上記の内容は、スポーツ現場に出るトレーナーとして、必ず身につけておくべき知識・技術であることは間違いありません。

【スポーツ現場で多く遭遇する救急処置】

・打撲後のRICE処置

・足関節捻挫後のテーピング固定

・肩脱臼後の三角巾固定

・熱中症への対応

・脳震盪への対応(SCAT3)

3,アスレティックリハビリテーション
−病院のリハビリは歩く、軽く走るところまでで終わることが多い。

−現場では全力でプレーできるところまでのリハビリが必要。

−負荷量・競技特異性・個別性などを考慮して漸増的に復帰させる必要がある。

 臨床でも負荷量の設定について悩むことがあると思います。当然、スポーツ現場でも同様に、損傷組織に対して過負荷にならない、根拠のある負荷量設定をします。負荷量の設定に加え、筋力、協調性、敏捷性また呼吸循環器系、それぞれを競技レベルまで回復させることが重要です。

【アスレティックリハビリテーション例】

足関節捻挫Ⅱ度損傷(受傷後4週)

day1:パワー系トレーニング(ジャンプ)・有酸素性持久力トレーニング

day2:ラダー、ミニハードルを使ったアジリティトレーニング(ミドルパワー)

day3:off

day4:ラダー、ミニハードルを使ったアジリティトレーニング(ハイパワー)

day5:無酸素性持久力トレーニング

day6.7:off

以上に加えて、残りの4項目(④コンディショニング ⑤検査測定と評価 ⑥健康管理と組織運営 ⑦教育的指導)については次回お伝えしていきます。

スポーツ現場でのトレーナーの役割は多岐にわたります。またチームによって必要とされる役割も変わります。理学療法士としてよりも、まずはチームに必要とされる役割を理解することが、スポーツ現場に出る上での第一歩かと思います。

運動器7の配信は毎日プレミアム記事にて配信


※運動器7では以下のような内容を配信予定です。

・慢性疼痛に対する理学療法(症例報告など) ・ハンドセラピーに対する理学療法
・スポーツ現場の理学療法士の役割
・自費サービスといて理学療法士に出来ること
・理学療法士によるトレーニング理論最前線
・運動器疾患に対する症例報告
・理学療法士、アスレチックトレーナーによるアスレチックリハビリテーションの実際
・アスレチックトレーナー試験対策

などを配信予定。

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【目次】

第一回:スポーツ現場における理学療法士の7つの役割

第二回:医療機関だけの知識ではスポーツ現場で通用しない

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