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骨髄異形成症候群の骨髄は過形成なのに、なんで無効造血・汎血球減少なの?

骨髄異形成症候群を勉強していると、骨髄は過形成で色々な血球がみられるのに無効造血をきたすと書いてあります。
再生不良性貧血では脂肪髄なので汎血球減少症は感覚的に理解できますが、なぜ過形成のMDSで無効造血をきたすのでしょう?

それは、MDSでは骨髄内で作られた様々な血球・正常な血球が骨髄から血中に出る前にアポトーシスにより排除されるからなんです¹。
当然、芽球も骨髄中ではアポトーシスで抑え込まれています(骨髄中で<30%²)。ですが、異常増殖の過程でアポトーシスに耐性を持つ芽球が出現して、増えてくると白血病となります(骨髄中で≧30%²)。

このようにアポトーシスに抵抗するかしないかがMDSと白血病の境目となるのですね。アポトーシスで抑え込めている間はMDS(前白血病状態)、抑え込めなくなると白血病です。

これが分かると、MDSの予後不良因子芽球割合が含まれていることも納得です。アポトーシスに抵抗性なんですね。
MDSの予後不良因子は他に染色体異常,血球減少ですが、
染色体異常アポトーシス抵抗性獲得染色体異常(特に予後不良である7番染色体アポトーシス抵抗性となることが示唆されています³)で予後不良となる。血球減少は耐性芽球を減らすためにもっとアポトーシスを頑張るため正常な血球が減っていくと考えると納得はできます。

参考
1)http://www.jshem.or.jp/uploads/files/59-04_p452-455.pdf
2)http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/Myelodysplastic_Syndromes.pdf
3)https://www.tmd.ac.jp/cmn/edcplns/gakui/H27/1MS4911.pdf


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