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医療の一端を担う者として、最前線で頑張っておられる方々に敬意を込めて

日々感じた変化

私は、言語聴覚士として病院のリハビリ室で働いている。

直接コロナ禍の最前線に関わる部署ではないし、受け入れ病院でもない。しかし、それでもじわじわと影響を感じるようになっていった。

コロナ禍で真っ先に起こったのは、医療用マスクの不足だった。使い捨てのマスクを消毒しながら何日か使用するということもあった。そして病院ではお見舞いや面会も禁止となった。これは患者さんにとっては一番大きな変化だ。やはり家族に会えなくてさみしいとおっしゃる患者さんもいる。

外来の受付も物々しくなり、病院の空気全体が張り詰めたようになっていった。手洗い消毒やマスクの着用のルールなどは厳しくなったものの、業務が特別大きく変わったり大変になったりはしなかった。それでも精神的な緊張感は増していった。

直接関係することのない私達でさえこの緊張感。最前線で働いている医療従事者の方々の緊張感はいかばかりであろう。

それでも患者さんのために

そのような中でも患者さんのために続けていることがある。
毎日夕方に行われている歌の会だ。

リハビリの一環として、私が中心となって歌の会を行っているのだが、コロナ禍でそのまま続けていけるのか正直はじめは迷った。みんなで集まって声を出して歌うのだから、普通に考えて感染のリスクが高いように思われた。

しかし、歌の会を楽しみにしてくださっている患者さんもおり、やはり自分たちができることは、患者さんのために歌の会を続けていくことだと思った。きちんと感染対策をして参加人数を少なくしたうえで現在も歌の会は続けている。

私には医療従事者と言えどできることは限られている。それでも患者さんのためにできること、リハビリで患者さんによくなってもらうことはもちろん、少しでも歌で患者さんの精神的な癒やしになることができるよう精一杯尽力していこうと思う。

こうして安心して患者さんのために取り組めるのも、歌の会を続けることを許可してくれた職場の上司や同僚、そして普段から患者さんのことを診てくれている病棟の看護師さんや介護士さんのおかげだと感謝している。

やはり医療のチームとは自分も含めてどこか一つ欠けてもだめなのだと言うことが今まで以上によくわかった。いや、日々受付で様々な患者さんと接しながら働いている医療事務の方なども含め、病院・医療機関で働いている人達は皆同志なのだ。

変わらぬ医療を支える仲間の皆さんへ

病院・医療機関で働いている仲間の皆さん、お互いに医療を担う一員としてそれぞれの役割を精一杯果たしていきましょう。そして、一般の方にも、最前線で働いている人だけでなく、その他にも多くの医療に携わっているの人がいるのだということを知ってもらいたいと思います。

そして、コロナ禍の最前線で頑張っている医療従事者の皆様。私も言語聴覚士という医療従事者ではありますが、最前線にいらっしゃる方々のご苦労は察して余りあります。

頑張っていらっしゃる皆様の様子を耳にするにつけ、自分は医療従事者とはいえ、できることは限られているなと歯痒く感じます。

それでも、実際の治療に当たることとリハビリという違いはあれ、同じように当たり前の医療を当たり前に患者さんのために続けていくという同じ使命を持った同志として、最前線にいる方たちより少しだけ後方から同志として、エールを贈りたいと思います。

微力ではありますが自分にできること、患者さんとスタッフがお互いに感染しない・させないことを徹底し、安全にリハビリをしてよくなってもらうことと、少しでも患者さんの精神的な癒やしなれるように精一杯尽力していきたいと、こちらが奮い立たせていただいています。

同じ医療従事者として、さらに最前線で働いておられる皆さんに敬意を表します。

■著者プロフィール
星野 彩(ほしの あや)
言語聴覚士養成校である4年制大学を卒業。回復期リハビリテーション病院で言語聴覚士として勤務。9年目ST。主に高齢者の認知症や脳卒中後の後遺症の高次脳機能障害や構音障害、失語症のリハビリに従事。リハビリの一環として病院で行っている歌の会が好評を得る。




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