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2月9日(金)メディア日記

 小沢征爾が亡くなった。夜、外出から帰って訃報を聞いた。どのメディアが最初に速報したのかはわからない。88歳。あすの朝刊で1面トップに持ってくる新聞はどこだろうと瞬間思った。誰が「評伝」を書くのだろうか。この巨匠の訃報を活字でどう表現するのだろうか。同日の最終ニュースのTBS「news23」は、晩年の小澤の演奏を紹介し、小沢が筑紫哲也と対談した映像を数カット流した。TBSにはかつて大原れいこという小沢と昵懇だった名プロデューサーがいた。ボストン響時代を描いた小沢のドキュメンタリー番組は音楽を離れた小澤の人間ドラマにいつも見応えがあった。
 小沢が最高潮の頃のサイトウキネンオーケストラ公演の中継は当初はNHKではなく長野朝日放送だった。1992年9月5日、音楽好きの天皇ご夫妻(今の上皇ご夫妻)が松本の会場であれだけ拍手する姿は今でも忘れない。ブラームスの交響曲1番だった。この曲は小沢がはじめてサイトウキネンオケを連れて欧州公演をしたときの曲のひとつだ。日本が全世界に誇れる最高の人を失った。

 東京高円寺の「座・高円寺」で8日から13日まで「ドキュメンタリーフエスティバル」が開かれた。上映された内外作品は5日間で約18本。「ヤジと民主主義」、「キャメラを持った男たち」、「女たちの証言」、「私はあなたのニグロではない」、「メディアの敗北」、「ハマのドン」、「愛国者には気をつけろ!鈴木邦男」、「シン・ちむちむどん」、「キエフ裁判」、「三里塚のイカロス」、「救いの手 統一教会と富山政界」、「こどもが映画をつくるとき」、「蟻の蠢き」、「マリウポリ7日間の記録」、「何も知らない夜」、「ガザ素顔の日常」他短編のドキュメンタリー。また作品上映後にそれぞれトークあり。是枝裕和、安田菜津紀、田原総一朗、相川智、秋山珠子、金平茂紀、松原文枝、土江眞樹子、村山英世他多数が質疑に応じた。
 筆者は20年前に琉球朝日放送が制作した沖縄密約にからむ「メディアの敗北」を観た。ディレクターは土江真樹子。毎日新聞の西山太吉がスクープした沖縄密約の入手方法をめぐって、一転、メディアは「知る権利」を放棄、メディアが総崩れになった経緯を番組化したものだ。しかし、当時の放送は沖縄ローカルだけ。テレビ朝日は全国放送を認めなかった。20年経っても沖縄の地方局がよくこんな番組を作ったものだと感心した。

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