5月6日(土)メディア日記

 1日の日記で紹介した松原文枝監督の映画「ハマのドン」を渋谷で観た。後半やや冗漫だったが、全編非常に面白かった。受付けで買ったパンフレットの中に、久米宏が一文を寄せていた。久米のこんな寄稿は珍しい。
最後の部分は相変わらず久米節・・・

「僕自身もテレビによく出ていた頃があって、その時も『嘘です』と自分の顔に書いていることがわかっていた時が、しばしばありました。そんなこともあって、暇を持て余していますが、テレビは主にドラマや、昔の映画を見ています。ニュースは、スタジオ展開のない所謂ストレートニュースはよく見ますが、スタジオで何人かが出ているようなニュースはまず見ません。『この嘘つき!』とか『お世辞笑いするな!』とか『当たり前のこと言うな!』とかやたら腹が立つのです。つまり、自分がこの間までやっていた事だからです」

 朝日新聞6日付夕刊に諸永祐司が書いた「西山太吉」の追悼記事が載った。諸永は3月末で朝日新聞を途中退社したが、晩年の西山太吉を最後まで取材続けた記者として知られる。諸永しか知らない私的取材の経過が次々に出てくる。戒名を取り持った山口下関の住職は、当初の無難な文字を選んでいた戒名を告別式直前に変更し、「義章院文岳太道居士」とした。最後まで密約の事実に迫ろうとしていた「ブン屋(新聞記者)」の「義」を貫き通したと戒名は語っている。諸永は、毀誉褒貶があった西山を認めた上で、「国の『嘘』に迫った『ブン屋の義』の姿に引き付けられ、長く取材をした」と述懐している。故人を熟知していた惜別の記事、なかなか読ませる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?