ゲーム機の価格はもう二度と下がらないのかもしれない
2024年8月2日、日本マイクロソフト株式会社はXbox Seriesの値上げを発表し、8月15日からSeries Xの価格が税込66,978円、Series S(512GB)の価格が税込44,578円に変更されることを発表しました。
Xboxの値上げは現世代機では2度目。発売時にSeries Xが税込55,000円程度だったことを考えると、約1万円上がったことになります。Series Sも同様の上り幅です。
また、PlayStation 5も昨年11月にマイナーチェンジに伴う値上げを実施しており、ディスクドライブ付属版の価格は税込66,980円となっています。今回のXboxの値上げで小売価格がほぼ同額になったと言えます。
2020年の為替相場が1ドル105円程度だったことを考えると(現在は1ドル148円)、上昇幅は比較的緩やかだと言えます。
その他にも物価高や半導体不足等、値上げの判断材料になりそうな背景は複数存在します。
その一方、前世代機まで行われてきた「値下げ」が起こりそうな気配は全くありません。
例えばPlayStation 4は2014年2月の発売時に税込43,187円でしたが、約1年半後の2015年10月には5千円の値下げ、2016年の9月発売のマイナーチェンジ型からは税込32,378円となりました。2019年年末のキャンペーン時に至っては、税込21,578円と、発売当初の半分まで定価が下がったこともあります。
2024年現在、ゲーム機の価格は下がるどころか1万円も上がっています。おそらくメーカー側は価格を下げる余裕も必要も無いのでしょう。
前述の情勢に加え、そもそもPS5もXboxも製造コストが販売価格を上回っているというニュースも出ています。ゲームソフトの販売マージンやサブスクによる収入によって利益を得ているとしても、大幅な値下げを行えば本体が売れるほど赤字が膨らむことになります。更に値下げされれば販売台数も増えるため、利益率は一段と低くなります。
販売台数が停滞しているのであれば活性化を狙った値下げも見られそうですが、PS5は2024年5月時点で累計2000万台を売り上げています。同年2月にはSIEのCEOから、製造コストの観点から「値下げは難しい」との見解が示されています。
Xboxは直近の四半紀決算においてゲーム機の売上が42%減少したと発表しましたが、クラウドやPC全体を含むエコシステムの構築に注力しているとの発言も見られました。コンソール機の売上は第一優先事項では無くなったようにも思われます。
これらの要素に加え、現代はゲーム機に関する情報を消費者がアクセスしやすくなった点も作用していると考えます。
両ゲーム機の発表はオンラインのショーケースで実施され、PS5は基調講演までYouTubeで公開しました。新作ソフトの発表やデジタル版ソフトの購入もオンラインで完結できるため、小売店で本体を販売するメリットが薄れてきているように感じます。
「ゲーム屋さん」も街ではあまり見なくなりましたし、Xboxの本体は店頭で販売されているのを見かけたこともありません。
ゲーミングPCも日本で着々と流行り始めているようです。デジタルプラットフォームSteam利用者の日本語利用割合も全言語中7位に位置しています。
しかし、ゲーミングPCにかかるコストとコンソール機の費用が簡単に比較できるようになったのも事実です。グラフィックボードの中でも中間的な性能を持つ、所謂ミドルスペックの最新モデルRTX 4060は、パーツ一つで4万円を超えてきます。
マーケティングの方法が変わってくる中で、本体を安売りするという手法は好まれなくなってきているとも考えられます。PCと比べれば6万円はまだ良心的な方なので、値下げは今後しばらく期待できないでしょう。
従来のゲーム機のライフサイクルは約7年のため、現世代機はちょうどその半分を消化したことになります。次のPlayStationとXboxがどのようなものになるかは全く分からず、Xbox One XやPS4 Proのような上位モデルが今後発売されるかも読めません。
しかし、今回の情勢を見る限り、「待てば安くなる」という考え方は通用しなくなる可能性が出てきました。発売時に買うのが結果的に最安になることもあるでしょう。1ドル90円になるのを夢見て待つのも良いですが、そちらはあまり期待できそうにありません。
視点を変えて7年で買い替えるという減価償却的観点で言えば、発売日に買うのが一番得とも言えます。3DSみたいに半年で1万円下がるなら話は別ですが。
PS5とXboxをAmazonの予約競争を勝ち抜いて発売日に手に入れた経験から、次世代機も10万円を超えない限りは競争になってでも予約したいと思います。
その前に少しでも転売対策が進んでいれば良いのですが。当時のフリマアプリの出品一覧は思い返しただけでもゾッとします。
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