見出し画像

競泳元日本代表・伊藤華英さんと考える、女性アスリートの生理/PMSに関する課題と大切なこと

オンラインピル診療サービス『mederi Pill(メデリピル)』を展開するmederi株式会社(東京都目黒区、代表取締役:坂梨 亜里咲 以下、当社)は、2023年10月5日(木)に、mederiスポーツアンバサダーに参画する6チームへ向けて第3回セミナー「女性アスリートが考える生理/PMSに関する課題」を実施しました。

【YouTubeにアーカイブ公開中!】

登壇者
・スポーツコメンテーター/競泳元日本代表 伊藤華英 氏

べビースイミングから、水泳を始め、15歳で日本選手権に初出場。女子背泳ぎ選手として注目される。2008年日本選手権女子100m背泳ぎで日本記録を樹立。初めてオリンピック代表選手となる。その後、怪我により、背泳ぎから自由形に転向。自由形の日本代表選手として、世界選手権・アジア大会で数々のメダルを獲得。2012年ロンドンオリンピック自由形の代表選手となる。2012年10月の国体を最後に現役引退。 引退後はピラティスの資格取得とともに、水泳とピラティスの素晴らしさを多くの人に伝えたいとマットピラティスコーチとしても活動中。また順天堂大学大学院にて博士号を取得。理論とアスリートとしての経験の両面から、働く人の心と身体の健康を守るメンタルタフネスやモチベーションマネジメントのテーマで講演し、好評を博している。最近では、【スポーツを止めるな】の1252プロジェクトリーダーとしてスポーツ×生理について学生アスリート、指導者の方に向けて講義なども行っている。

・mederi株式会社 坂梨亜里咲(モデレーター)

明治大学卒業後、ECコンサルティング会社を経て、女性向けwebメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験。自らの4年に渡る不妊治療経験からmederi株式会社を設立。オンラインピル診療サービス「mederi Pill」、妊活サポートプロダクト「mederi Baby」を展開する。

10月19日は国際生理の日

「National Period Day(生理の日)」は、2019年10月19日にアメリカで制定された、多くの人々に「生理」に関わる問題に気づきを与えるための記念日です。変化を生み出すために、過去にはこの日にアメリカ全土で大規模なデモが行なわれたり、世界各地で生理や女性特有の健康課題に関して考えるキャンペーンが実施されています。この日をきっかけに、日本国内でも、長い間タブー視されてきた「生理」についてもっとオープンに語ろう」という動きが広がってきています。

今回のセミナーでは、10月19日「国際生理の日」の月間として、改めて女性アスリートの皆さんと一緒に、スポーツと生理/PMSについて考える機会になればという想いも込めて実施されました。

はじめに、ゲストの伊藤華英さんの活動年表をみながら、「キャリア」「メンタル」「生理/PMSの課題」の3軸を中心に振り返り、お話をお伺いしました。

伊藤さんが水泳選手のキャリアにおいて最初に「生理の課題」にぶつかったのは、初めて出場した2008年の北京オリンピック。これまでの水泳人生で1番とも言える大舞台と、生理が重なってしまいました。大切な日に向けて準備をする中で、自分にあった対処法を見つけられなかったことや、実際に生理が重なってしまった不安を経験し、生理による体調やメンタルの変化を日頃からご自身でコントロールすることの必要性を感じたそうです。この出来事が契機となり、その後、伊藤さんは女性特有の健康課題に関する知識を増やし、多くの選択肢の中からご自身に合った対処法を探したり、現在も「スポーツ×生理」をテーマとした発信を行なっています。

スポーツ時の生理/PMSの課題について

続いて、スポーツ時の生理/PMSに関する課題についてより具体的にお話を伺いました。mederiスポーツアンバサダーの参加チームへ事前に行ったアンケート結果によると、生理/PMSのトラブルをコーチに相談している人は約32%。反対に、相談しない人が6割以上と大多数を占めています。

生理/PMSの悩みについてオープンに話す機会は近年増えていると言われていますが、チームによっても差があり、選手たちがそれらの知識を得る機会もまだまだ少ないと考えられます。生理における身体的な負担やメンタルのゆらぎが、スポーツ時のパフォーマンスに影響を与えることは多くの方が認識していると思いますが、「(現役時代は)対処法がわからなかった」という伊藤さんのお話もあるように、コーチに限らず相談できる大人がいる環境や、日頃から婦人科など体について専門家に相談できる場や、正しい知識にアクセスできる状態をつくることが必要だと実感しました。

mederi坂梨からは改めて「生理痛」「生理不順」「PMS(月経前症候群)」はなぜ起こるのか、これらの症状に関係するホルモンの話などをお伝えさせていただきました。伊藤さんは、現役時代と引退後も含めて、生理/PMSの対策として、ピル(低用量・中用量)やミレーナなどを取り入れてみた経験があるそうです。合う合わないなど個人差もありますので、まずはご自身の課題を知り、自分に合う方法を探すことが大切だとアドバイスいただきました。

目標達成に向けたメンタルコントロールの大切さ

続いて、「メンタル」に関するお話を伺いました。
現役当時、ご自身のコンディションを繊細にキャッチしていたという伊藤さん。PMSになった時は、無理をしすぎずに、「頑張れるところは頑張ろう」と練習メニューを調整していたそうです。また、モチベーションが下がっている時には、周りの人からの叱咤激励をいただくこともあります。しかし、受け入れることもあれば、時には敢えてシャットダウンするように心がけていたりと試行錯誤していたそう。

mederiスポーツアンバサダーへの事前アンケートによると「PMSによる競技中もモチベーション低下を感じますか?」という問いに対して、「はい」と答えた方は44.6%と大多数という結果に。

うまくいかない時やライバルと比べられた時には、「自分が頑張れていないのではないか」と不安になってしまう方もいらっしゃると思います。伊藤さん自身も現役時代、「自分が弱いのではないか」と思ってしまったこともあったそうですが、振り返ってみれば、あの時にご自身の生理周期を知っていたら、実は月経前のPMSで不安な気持ちになっていたのだと理解できる可能性があったとのことです。
モチベーション低下や不安・緊張の原因が「PMS」なのか、他のことなのか区別がつきにくいこともあるかと思います。適切な対策をするためにも、まず生理周期を把握することの必要性を改めて、伝えていただきました。

また伊藤さんは引退後に大学院で「メンタルタフネス」という概念を研究されています。精神的な強さのためには、「しっかり頑張れること」「しっかり休めること」の双方が必要で、それによってチャレンジやコミットメントの向上に繋がるそうです。そのような側面からも、うまくいかなかった時に結果だけに落ち込むのではなく、上手に休んでご自身をコントロールすることも重要だと教えていただきました。

女性特有の健康課題について引退後に気づいたこと

最後に、女性のライフプランに関わる部分についてもお話しました。女性には生殖年齢のリミットがあり、卵子の数は生まれた時がピークで、年齢を重ねるにつれてその数は減っていきます。

伊藤さんも引退後にその仕組みを知り、女性の健康課題の多くがホルモンや月経とともにあると理解したそうです。そのような経験から、「まずは正しい知識を身につけ、長期的かつ客観的に健康について考えることが大切だと、若い世代の女性へ伝えたい」と話します。

現在、不妊に悩むカップルは5.5組に1組と言われています。男女双方でさまざまな原因がありますが、女性の場合、早期閉経や、ホルモンバランスの影響で毎月月経がきているのにも関わらず排卵ができていないケースも。特にお腹の中の健康状態は自分の目では直接確かめることはできないので、妊娠する前から定期的に産婦人科へ行って先生に診てもらうことが大切です。

また経験しないとなかなか当事者意識を持つことが難しい、妊娠・出産。伊藤さんも引退後に出産を経験し、現在は子育てをする中で、「仕事と家庭の両立は周りの人のサポートが合ってこそ成り立つ」と日々感じているそうです。「みんなで子どもを育てていく社会にしなければならない」と語ります。

そして女性アスリートの多くは、20代半ばあたりから、競技のキャリア、引退後のキャリア、妊娠・出産など、人生における大切な選択をいくつか迎えます。最近では妊娠出産におけるサポートも増えてきており、競技にもよりますが、「子を産んでから競技に復帰する」という選択肢もあるそうです。多くの女性アスリートが後悔ない人生を送れるよう、ご自身でプライオリティを考え、必要があれば20代で卵子凍結をすることも一つの選択肢として知っておくと良いと考えます。

伊藤さんからメッセージ

アスリートは限られた方がなり、限られた方が長く続けられていると思いますが、「大事なのは自分自身の健康と、自分自身の人生」という大きな尺度でみていただきたいと思います。1番は健康に楽しく向き合えるかどうか、まず皆さん自身で知っていただいて、今の自分の選択で正しいと思えている状態にしていただきたいなと思います。

このように、本セミナーでは女性アスリートとしてご活躍された伊藤さんならではの視点で、具体的な体験談も織り交ぜながら、メンタル面などの具体的な知識を知る機会となりました。

mederiでは、今後もすべての女性が生きやすい社会の実現を目指して、低用量ピルを含めたさまざまな選択肢を知っていただけるよう、あらゆるライフステージの方へ向けたセミナーや勉強会を実施してまいります。

mederiスポーツアンバサダー
https://mederi.jp/sportsambassador/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?