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【読書】大治朋子(著)『人を動かすナラティブ』を読み進める。

物語りは共感装置だ。これが機能するとき、私たちは別の世界、別人の心の中に飛ばされる。

『人を動かすナラティブ』より

小説を読んでいて楽しいのは、この共感装置が機能するからです。
今、垣根涼介(著)『極楽 征夷大将軍』を読んでいるのですが、この小説を読んでいるとき、電車に揺られていても、私は鎌倉時代の末期にいて、足利尊氏の心の中に飛ばされているのです。

このような感覚になることは、小説やドラマなどの物語りだけではありません。スポーツ中継を見ていても、感じる事があります。

プロ野球中継を見ていて、応援しているチームのピッチャーがピンチを迎えると、私の心は甲子園球場のマウンドの上にあり、岩崎投手の心の中に飛ばさているのです。バッターボックスに立っている、岡本選手の心の中には飛んでいかないのが不思議なところです。
これは私だけでなく、甲子園球場のライトスタンドにいる人や、家でサンテレビを見ている人達にも、同じ事が起こっています。

共感装置は、対立を生み、争いを生み出す原因にもなります。共感装置が人間の歴史を作ってきたとも言えます。地球上に存在する生き物そのものが不思議であって、特に脳の仕組みは不思議だらけです。そんな中でも人間の脳は、特殊中の特殊な機能を持っています。普段は意識していませんが、こういう機能を理解すれば、世界から争いが少しは減るような気がします。

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