減価償却と人間の成長
企業などの会計で、減価償却という処理がある。
設備投資などの費用をその年度の一括の費用とせず、数年に分けて償却していくという考えである。
中小企業が何億円もする高額な機械を購入すれば、その年度の決算は赤字になってしまうが、例えばその機械の耐用年数が10年であれば、単純に(定額法)で計算すると、毎年10分の1の費用で済むことになる。
建物や機械などの固定資産は、買った時が一番資産価値があって、徐々にその価値が下がっていく。
物は常に変化している
実際に建物は毎日、雨風や紫外線などの影響を受けて壁や屋根が劣化していく。
機械も毎日使う毎に、歯車がすり減っていったりする。
昨日の建物と今日の建物は、一見何も変わらないように見えて、毎日少しづつ劣化していく。
毎日というかその時一瞬一瞬のあいだに変化しており、新しくなることはない。
現実の人事制度
人間はどうだろうか。
企業に雇用されている社員は、年功序列制度で終身雇用制では、建物や機械のような固定資産とは全く逆の価値の評価の考えになる。
学卒の新入社員の時がいちばん価値が低くて、定年退職間際がいちばん価値が高くなる。
そして定年退職するといきなり価値はゼロになる。
この場合の価値とは、人間そのものの価値を評価しているわけでなく、あくまで企業が支払う給料を価値と見做した場合である。
もっとも、順調に企業が成長していって、その中で出世していった場合に限るし、こういった人を評価する人事制度は日本でも徐々に変わりつつある。
動物の本能
人間を含む動物は、子孫を繁栄させていく本能がある。
そう考えると、動物の価値は子供を産むことにある。
子供を産んで育てている期間が、動物の価値の一番高い時期と言える。
では、赤ちゃんや老人には価値がないのかという話になるが、人間以外の動物の場合は確かにそういうことが言えるかもしれない。
しかし、人間は赤ちゃんに癒やされることもあるし、老人にいろんなことを教わることもできる。
これも人間の動物としての、子孫を繁栄させるための本能なのかもしれない。
人間は鍛えることができる
建物や機械は、使えば使うほど基本的に劣化していくしかない。
これを経年劣化という。
修繕や部品交換をして、経年劣化を遅らせることはできるが。
人間も、子供を産んで育てる年齢を過ぎると劣化が進むが、人間は鍛えることができる。
筋力トレーニングをすれば筋肉は大きくなるし、毎日ランニングをすれば肺活量が多くなる。
また、免疫力によってウィルスから守こともできるし、怪我をしても治癒力が働く。
昔、あるお医者さんに言われたことがある。
「病気や怪我を治すのは、基本的に人間が本来持っている治癒力である。医者や薬はその手助けをしているに過ぎない」と。
脳は鍛えれるか
脳はどうだろうか。
脳も臓器の一種だと考えれば、鍛えることができるのだろうか。
まだ若かった頃、お酒が弱かった私に、先輩上司から「たくさん飲んで肝臓を鍛えろ」と言われたことがある。
今なら完全にアウトである。
脳はたくさん使うことによって鍛えることはできるのだろうか。
もし、鍛えることができないのであれば、「もっと自分なりに考えて、成長してください」とかいう今風の上司からの指導もアウトなのかもしれない。
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