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【読書】西加奈子(著)『夜が明ける』を読了。

西加奈子(著)『夜が明ける』を、読了しました。
西加奈子さんの小説らしい、特徴のあるキャラクターがたくさん登場します。400ページを超える長編ですが、一つの作品にするのは勿体ないと思うのです。
登場人物それぞれの人生を物語にすれば、あと5本くらいの小説が出来そうです。

最初の方は、楽しい話だったのですが、途中から読むのが苦しくなってきます。
今から考えると、日本ではつい最近まで、パワハラやセクハラ、サービス残業は当たり前のように行われていました。
誰が悪いとかいう話ではなく、みんな多かれ少なかれ被害者であり、加害者でもありました。

小学生の頃から先生にゲンコツで殴られたり、ビンタをされたりしていました。
中学生や高校生になると、先生はバットを持って廊下を歩いていました。
その先生たちを、責めるつもりはありません。
当時は、それが当たり前なところがあったのです。
恐らくその先生たちも、被害者を受けて育ってきたのだと思います。

若い人たちと話をしていると、ついそんな昔の話をしてしまいます。
そんな話、何の自慢にもなりませんし、武勇伝にもなりません。
若い人たちにとっては、「そんなもん知るか!」と思っていることでしょう。

今の平和な世の中は、過去の被害者たちの上に成り立っているのです。
今も完全になくなった訳ではありませんが、働いてる人たち全員で無くしていくしかありません。
この小説は、何が本当に悪で、どうしていくべきかということを、考えさせられる物語りです。



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