見出し画像

【読書】井原忠政(著)『三河雑兵心得・砦番仁義』第二章:信康という男

井原忠政(著)『三河雑兵心得・砦版仁義」の第二章「信康という男」を読み終えたところです。

徳川家の中で、家康が率いる浜松組と、家康の嫡男である信康が率いる三河組との間に、不穏な空気が流れ始めます。
そんな中で家康は、武田勢が守る諏訪原城攻めを信康に命じます。

本の情報

『三河雑兵心得・砦番仁義』
著者:井原忠政
発行日:2021年2月13日
株式会社双葉社
『三河雑兵心得シリーズ』の第5巻
『三河雑兵心得シリーズ』は2024年2月18日現在、全13巻まで発売されています。


徳川家康と松平信康

実の親に対して謀叛を企むことは、戦国の世では何も珍しいことではありませんでした。
美濃の斎藤道三は、息子の斎藤義龍に謀叛を起こされ、討ち死にしています。
武田信玄も、父信虎を殺しはしませんでしたが、甲斐から追放しているのです。

そのようなことから、徳川家康も、息子の信康を100%信用していなかったのかも知れません。

諏訪原城攻め

諏訪原城の特徴は、「丸馬出」です。
「馬出」とは、お城の門の前に突き出して作られた、小さな曲輪です。
四角い形をしたものが多いのですが、
武田家のお城によく設けられていたのは、丸い形をした「丸馬出」でした。

この「丸馬出」の存在が、諏訪原城を攻めあぐねる原因となります。
戦国時代の戦さは、兵力だけで簡単に勝てるわけではないのです。

真田家は武田家の戦術を駆使

「大坂の陣」で活躍した真田幸村ですが、有名なのが大坂城の外に作った「真田丸」です。
この「真田丸」が「丸馬出」のような役割を果たしました。

真田幸村の父である昌幸は、武田信玄、勝頼に仕えていたので、武田家の戦術を熟知していたのでしょう。その戦術を、幸村が引き継いだものと思われます。
「真田の赤備え」も「武田の赤備え」を真似たものです。

この先どうなる信康

この後、信康がどのような運命を辿るかは、知る人ぞ知る話ではありますが、楽しみなのは、著者の井原忠政氏がどう描いていくかということです。
歴史小説の面白いところは、ある程度は史実に沿った物語りであっても、細部のフィクションの部分の違いによって、人物の見方が変わるところです。

真田家からの目線と、徳川家からの目線の両方の物語りを読むと、戦国時代が俯瞰して見れます。
『三河雑兵心得シリーズ』と池波正太郎(著)『真田太平記』を読み比べてみることをおすすめします。
この二つのシリーズで、戦国時代をほぼ網羅できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?