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『虎の血-阪神タイガース、謎の老人監督』(村瀬秀信著)を読み進める。

村瀬秀信(著)『虎の血-阪神タイガース、謎の老人監督』を読み進めています。
現在、「第3章:1955年の33試合」を読み終えたところです。

この本は、阪神タイガース(当時は大阪タイガース)の第8代監督・岸一郎氏について書かれたノンフィクション作品です。

岸一郎氏の監督就任時の年齢は60歳。
現在の阪神タイガースの岡田彰布監督が66歳であることを考えると、決して老人とは言えない年齢です。
しかし、当時(1955年)の男性の平均寿命が63.6歳だったことを考えると十分、「老人監督」と呼べる年齢だったのです。

岸一郎氏が阪神タイガースの監督を務めたのは、1955年の開幕から33試合のみです。
成績は16勝17敗と、負け越しが一つだけなので、一見そんなに悪い成績ではありません。
しかし、最大のライバルであるジャイアンツに対して1勝9敗というのが良くありませんでした。
ジャイアンツに対して敵対心むき出しのタイガースのファンや首脳陣にとっては、これは許しがたい結果だったのです。

当時、阪神タイガースには、ミスタータイガースこと藤村富美男という大スターが存在しました。
沼津市営球場で行われた大洋(現DeNAベイスターズ)戦で事件が起こります。
7回にフォアボールで出塁した藤村富美男選手に対して、岸一郎監督は代走を告げます。
しかし藤村富美男選手は、代走として一塁ベースに向かった選手に対して「オマエは帰れ!」といって、交代を拒否したのです。

現在のプロ野球では考えられないことですが、そういった事件もあって、選手との関係が上手くいっていなかった岸一郎監督は、表向きは健康状態の悪化ということで休養となります。
報道陣に発表された病名は「痔瘻(じろう)の悪化」です。
この病名が真実なのかどうかはわかりませんが、悪意を感じるものがあります。

2024年9月28日、マツダスタジアムで行われた広島戦で、8-1で勝利したジャイアンツがセ・リーグ優勝を決めました。
阪神タイガースの連覇が阻止された瞬間でした。

ジャイアンツのセ・リーグ優勝は、2リーグ制に分裂してから39回目になります。
ちなみに阪神タイガースの優勝回数は、わずか6回にとどまっています。

こういった「黒歴史」も含めて、阪神タイガースというチームは何故かファンを魅了します。
『虎の血-阪神タイガース、謎の老人監督』は、「黒歴史」を自慢のように面白おかしく話すことが好きな阪神ファンにお勧めの1冊です。
この本を読むことで、さらにタイガース愛が深まることでしょう。


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