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【読書】大治朋子(著)『人を動かすナラティブ』を読み進める。

大治朋子(著)『人を動かすナラティブ』という本を、読み進めています。
「narrative」という英単語を、日本語に訳すと「物語」とか「語り」という意味になります。
歴史を学んでいると、人間が造ったこの世の中は、全て物語でできていると感じます。
人間以外の動物には、物語はありません。例えば猿や犬は、既に死んでしまった自分のおじいさんがどんな性格のおじいさんだったかなんて、意識することができません。人間の場合は、生きているお父さんに聞けば、どんなおじいさんだったか語ってくれます。その話を、自分の子供に聞かせることもできるし、文字で残すこともできます。文字にすれば代々語り継ぐことができ、それは物語として成立します。この物語が人間にとって厄介なことになることがあります。昔、私のおじいさんは、あいつのおじいさんに虐められたという物語があったりすると、諍いの元になってしまいます。

物語には、過去だけでなく未来もあります。未来を物語ることができるから、人間は農耕を発達させることができました。物語のない人間以外の動物は、今を生きているだけです。今を生きるために争い合うことはありますが、過去の物語が原因で争い合うことはありません。

人間は、嘘の物語を広めることによって、故意に争いを誘発させることができます。戦争でよく使われる、戦略の一つです。
インターネットが発達した現代、この戦略は、あっという間に世界中に広げることができます。普通に暮らしている人には、関係がないと思っているかもしれませんがそんなことはありません。気づかないうちに影響を受けており、生活の中に染み込んでいるのです。それがどういうことなのか、この本には具体的に書かれています。

本屋さんでこの本を手に取ったとき、もう少し簡単に読めるものと思っていたのですが、読んでみるととても深くて重い内容の本でした。
今、ちょうど半分くらいまで読み進んだのですが、既に付箋を貼りまくっています。それだけ重要なことがたくさん書かれているのです。
人間の世の中は、ますます難くて怖い世界になっていっている気がします。物語りの無い動物の世の中が、少し羨ましくもなります。

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