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【受験生必見】学力だけで選ぶと後悔する⁉︎ 現役医学生が教える医学部の選び方

こんにちは、スミシー医ハーサカです。

本記事は、「医学部の選び方」についてです。
医学部進学を考えている方にとって、参考となれば幸いです!


・はじめに

 「どの医学部に進学するのが良いか?」

 医学部を受験しようと考えている方なら誰しもが悩んだことだと思います。もちろん私もその一人でした。季節もすっかり秋となり、肌寒い日々が続いています。そうしてすぐに2023年がやってきてしまいます。受験シーズンの到来です。もうすでに進路を決めている方もいらっしゃるかとは思いますが、本記事ではどんな観点から医学部を選べば良いのか、について現役医学生の立場から意見を述べたいと思います。参考にしていただけると嬉しいです。

・入試内容で決める(入試偏差値や難易度、課される科目や出題範囲など)

 「医学部の選び方」と聞いてまず思い浮かべるのが入試だと思います。理系学科の最難関と呼ばれることが多い医学部ですが、その理由は試験がとにかくハードだということです。

 大学によってまちまちでしょうが、どの理系学部よりも難易度の高い問題が出題されるというのが一般的だと思います。そのため、難しい問題を解き切るだけの高い学力が求められます。
 加えて、穴のない完成度の高い学力というものも必要になります。1点の価値がものすごく高い医学部入試では、受験者のほとんどが正答するであろう比較的簡単な問題を取りこぼさないということが合格の必須条件となります。仮に正答率の高い問題で得点できなかった場合、難しい問題でその分を取り返せるかというと自分の得意分野からの出題が多いなどの幸運に恵まれない限りは至難の業と言えるでしょう。
 そして、(一部、合格者選考に採用しない大学もありますが、)共通テストでも9割以上の高得点が求められます。正直な話、共通テストの出題レベルは簡単ですが、共通テストには独特な部分があり、共通テストのための対策も別途必要になってきます。しかし、この共通テスト対策が二次試験にとってもプラスになるかと言われると微妙なところです。共通テストの得点が志望校合格にとってどれほど重要なのかという点も大学選びのポイントとなりそうです。
 
 医師となるためには、医学部に入学することが必須ですから、入試を突破することができるかどうかも、大学選びの重要なポイントであることは自明です。大学進学予備校などが公表している入試情報をもとに、自分の学力に合った入試を実施している大学を探してみましょう。

・ブランドで選ぶ(旧帝大、旧6医大など)

 大学進学を希望する方の多くが、就職などの大学を卒業した後のことを見据えて進学先を決めているのではないでしょうか?就活に関して”学歴フィルタ”という言葉を聞いたことはありませんか?採用試験において、特定の大学の出身者でなければそれだけで不採用となってしまうといった、ある意味不公平な目に遭ってしまうことがあるそうです。

 医学部の場合、初期研修先を決めるための活動”マッチング活動”が医学生版の就活に当たります。一般的な就活ほどの学歴フィルタの存在は、私の耳にはあまり届いてはいません。ただ、学閥や医局制度といったもののために、出身大学ごとに有利不利となることもあります。また、出身大学の附属病院でそのまま初期研修を行うことを希望した場合、他大学出身の人よりも初期研修医として採用されやすい大学も存在します。

 まだ医学生の身なのではっきりとしたことは申し上げることはできませんが、医師としてのキャリアを積んでいこうとした時にも、出身大学が少なからず影響してくるそうです。こうした時、旧帝大や旧6医大と呼ばれるような大学の医学部が幅を利かせているそうです。教授や学会の理事長、大規模臨床研究の責任者といったものを目指したいと考えているのであれば、これらの大学を検討する価値は大いにあります。

 ブランド力の高い大学は入試の難易度も高い傾向にありますので、ご自身の学力との相談も必要になってきそうです。


・ご家庭の事情で選ぶ(経済面、大学の実家からの距離など)

 大学で学ぶために必要な経費は馬鹿になりません。入学金に授業料、教材費、家賃、生活費、etc…。医学部の場合、他学部よりも2年多いわけですから、授業料もその分多く支払わなければなりません。また、医学部の中でも、私立の医学部の授業料は非常に高いです。河合塾のこちらのサイトを参考にしたところ、安いところであっても6年間で約2,000万円もの学費がかかるそうです。

国公立大学にするのか、それとも私立大学にするのかも大学選びの観点の一つです。

 大学と実家がどれほど離れているかというのも医学部選択の大きなポイントになります。実家から離れている医学部に通うこととなれば、大学近くに部屋を借りて一人暮らしを始めることとなるでしょう。この一人暮らしをするかしないかという点で大学を選ぶのもアリだと思います。個人的に、一人暮らしが可能なのであれば、一人暮らしを経験してみることをお勧めします。その理由については、こちらのブログ記事で扱っておりますので、どうぞご覧ください。


・大学の実情で選ぶ(学生の生の声を参考にしよう)

 現代の情報収集の多くがインターネットを用いて行われます。これは進学する大学を選ぶ際にも当てはまると思いますし、近年ではネット出願というものも進んでいるようです。
 
 さて、医学部進学を考えている人であれば、一度は医学部のホームページを覗いたことがあるのではないでしょうか?当然そこには医学部についての情報が掲載されており、医学部選びに有益なものも見つけることができるでしょう。しかし、ネットで得られた情報だけで進学先を決定するのはやめましょう。

 大学選びの際に非常に参考になるのが、やはり気になっている大学に実際に通う学生の意見でしょう。ネット情報や取り寄せた資料だけでは、いまいち入学後のイメージが掴みにくいと思います。オープンキャンパスや医学生のSNS・ブログなどを利用して、生の声を聞いてみてください。

 では、具体的に何を医学生に尋ねてみれば良いのでしょうか?以下にその例をいくつか示してみます。

  • 入試について(筆記試験や面接試験の対策について など)

  • 医師国家試験の合格率や卒業後の進路について

  • どんな出身高校や出身地の人がいるのか

  • 生活について(学生寮、部活/サークル、アルバイト、周囲の店 など)

  • 授業について(一般教養、実習、試験・課題 など)

  • その学校を選んだ理由と入学後の感想

 そして、医学部選びに関して、個人的に重要度が増してきていると思うのが、「進級・卒業のしやすさ」です。
 
 大学で進級・卒業するには、履修した科目で一定以上の成績を修めると、その証明として学校から与えられる”単位”というものを規定数以上取得する必要があります。進級時あるいは卒業時に取得単位数が足りないと留年となってしまいます。このように進級・卒業にとって重要な単位にはいくつか種類があります。
 1つは、ある学年になるまで(基本的には最終学年に上がるまで)に取得していれば良いとされる単位です。もう一つは、取得単位数に関わらず、取得できていないと進級が許されない単位です。
 前者は一般教養と呼ばれる科目で得られる単位が該当します。一般教養では必ず履修しなければならない科目が定めれていないことが多く、どんな科目でもいいから規定数以上単位を取得してくださいねと言われることがほとんどです。一般教養は基本的にどの学年であっても受講することができるため、規定の学年に上がるまでに取得することができれば良いとされています。
 問題は後者です。後者は医学部であれば医学部専門の科目を履修することで得られる単位が該当します。例えば、解剖学の講義が2年次に行われる大学の場合、この解剖学の単位を取得できなければ、そのほか必要な単位を全て取得していたとしても、その時点で留年となります。
 しかし、例外もあります。例えば、出席すべき講義には全て参加したけれども試験に不合格だった場合、来年度の試験に参加し合格することができるのであれば、単位が足りなくても進級が許される”仮進級”という処置が施されることがあります。(※出席数が足りない場合は試験を受ける資格が与えられないどころか、履修したとも認めれないため、来年度すべての講義を受け直す”再履修”が課されます。2学年の講義を同時に履修することはまず不可能なので留年となります。)
 
 「進級・卒業のしやすさ」に関わるのは後者の単位です。上に述べた進級のルールは一例に過ぎません。大学によっては「仮進級のシステムすらなく1つの試験を落とす=即留年」というところもあります。一度試験に落ちても再試験に合格すれば単位を認められる大学もあります。複数の試験に落ちていても次年度以降に試験に合格して単位を取得することを条件に仮進級が許可されるような比較的進級が易しい大学もあります。
 留年のデメリットは浪人のそれより深刻です。浪人は捲土重来、夢への再チャレンジという感じがしますし、それなりの言い訳が立ちます。しかし、留年は体調不良や留学といった仕方のない理由以外であればネガティブに捉えられがちです。なぜなら普通にしていれば留年することはないはずだからです。浪人以上にマッチング活動などでダブった理由を問われるでしょう。これだけではありません。医学部では人間関係の重要性が大きいです。試験や実習、マッチング活動などには”情報戦”という側面が強いです。留年によりそれまで築いていた人間関係が失われ、新たに同学年となった人たちと人間関係を築けなければ、情報戦には勝てません。失うものは人間関係だけでなく、医師になるためのモチベーションや心身の状態も損ねてしまいかねません。そうした理由により、一度留年してしまった人がずるずると何年も留年してしまうケースは少なくありません。
 こういった事情から、「進級・卒業のしやすい大学」を選ぶことは、「合格しやすい大学」を選ぶことよりも大事だという見方も当然出てくるかと思います。進路として考えている大学が、「どのような進級ルールを設けていて、進級がどの程度難しいのか」ということについても学生に聞いてみることをお勧めします。

 私が例に挙げたことの他にも質問してみてるとよいことはたくさんあると思います。医学生と話をする機会がある際には、尋ねたいことをリストにまとめていくと良いでしょう。

・最後に

 ここまで、医学部の選び方についていくつか紹介してきました。色々な選び方があり、どのような選び方で進学したい医学部を選ぶのかは、皆さんの自由です。私のこの記事が何らかの参考になれば幸いです。

 医学部に進学し、医学部を卒業することは決して容易ではありません。医師になりたいという強い意志があれば大抵の困難は乗り越えられるはずです。進学先を選ぶ前に一度「自分は本当に医師になりたいのか?」と自問してみてください。医学部の選び方以上に、モチベーションの高さの方が重要になるかもしれません。

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