入院体験から考えるケア1~排泄~

私の体験
 意識が回復1し、日中は見守り下でトイレ移乗可、夜間は尿器使用というADLsまで離床が進んだ。ある日、朝方尿意で目覚めNsコールを押すが「この時間は、トイレ移れないから尿器で」と言われ、尿器を渡されるも不慣れ・緊張で出来ず2。次にコールを押すも、「この時間は人が少なくて移れないから、おむつにしちゃって」と言われる。3度目は、トイレへ移乗することが出来た。

1)意識障害…意識…網様体賦活系が関与
 【意識障害の体験から看護を考える】
(体験)
 意識障害の期間は、現実なのか夢なのか今思い返すと分からない。意識障害の体験は、人それぞれだと思う。記憶にある限り私の場合、赤色灯に囲まれた日があったこと、バス?か何かでどこかへ行ったこと、海外へ飛行機で行ったこと、暑い中を一人で道端を歩きながら、美味しい冷たい飴を求めていたことである。
(考察)
 波線部…意識障害でも、感覚は残存していた。いかに、感覚に働きかけるケアをするのか!ということが実践へのポイントとなる。
 実線部…担当リハ曰く、摂食機能療法で飴を使っていたと判明した。その為、リハビリで舐めていた飴が関係しているだろうと推測される。

2)基本的な解剖生理学…自律神経系
 交感神経は、闘争・逃走に関することであり、副交感神経はエネルギーを貯め回復に関する働きをする。私が緊張や不慣れで尿が出なかったのは、交感神経が作用していたということになる。また、個室ではあるがいつ人が来るのかわからないことも関係していると考えられる。
 交感神経はアドレナリンやノルアドレナリンを分泌し、副交感神経はアセチルコリンを分泌する。
 排尿に関わる交感神経は、L1-L3、副交感神経はS3-S4が関与する。
 尿が次第に充満…交感神経優位 排尿…副交感神経
Q1 脊髄を損傷した場合、どうなる?

問題
1.緊張すると、(あ)が作用する。
2.(あ)の神経伝達物質のうち(い)・(う)を分泌する。
3.(あ)は、侵襲が加わった際に血糖値の(え)という反応を呈する。 ※急性期看護では大切


3)生活動作との関連
 私は、トイレ移乗が開始された当初はトイレへ行くということだけでも、疲労感が強くあった。また、尿器だと緊張して尿が出ないというように、精神的な問題や体位の問題(慣れていない、臥位のため腹圧がかからない)が考えられる。
 さらに、排泄物の観察や動作観察、尿生成に血圧が必要となるので循環器系のアセスメント、姿勢(体位)、体力(疲労感の有無)・筋力(MMTなど)・精神機能のアセスメントが必要です。
Q2 国家試験当日に、腹痛を起こした時の原因は何?

大事なPOINT3つ
 あ)排泄のケアを行う際は、精神的なことまで想像して援助を行う
 い)意識障害患者には、感覚刺激が大切
 う)一つの生活動作から複数を想像する

問題答え
あ 交感神経 い ノルアドレナリン う アドレナリン え 増加
A1 排尿障害がおこる
A2 緊張…リラクゼーション法を身に付けておくと良いと思います。国試当日のトイレは混みますから。

参考文献;Linda S. Costanzo(2007):コスタンゾ明解生理学,エルゼビア・ジャパン,岡田忠・菅屋潤壹 監訳,東京.

本原稿は、体験から考える排泄の生理とケアを加筆修正しました。

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