オーストリアマクロ環境解説 ~低PER先進国~
マクロ環境
1.概要
総人口は897万人の小国で、GDPは447億ドルです。
主要産業は自動車産業、鉄鋼業、続いて観光業となっており、工業を中心としたオールドエコノミーが中心です。
大企業は多くないものの、ドイツ企業の下請け的な役割の中小企業が経済の中心を担っています。
2.人口動態について
人口ピラミッドはドイツとほぼ同じ形をしていますが、55歳以降の高齢者の比率が全体的に少なくなっています。そのため、生産年齢人口比率がやや多めです。ポーランドと比べると少し年老いた印象を受けますね。
人口はまだ増加傾向が続いています。ドイツやポーランドが減少傾向であることを考えると不思議に思いますが、オーストリアの人口の20%は移民です。
合計特殊出生率は1.4で日本とほぼ同等ですので、この人口増加は移民流入によってもたらされていることが分かります。
3.GDPについて
概ね2%台で推移しています。リーマンショック以降域内大国のドイツにGDP成長率で負けていましたが、2018年くらいからドイツを超えてきています。
コロナ禍からの回復傾向もドイツより強いです。
4.貿易について
貿易相手国は圧倒的にドイツが多いです。自動車部品や紙製品などを主に輸出しています。JETRO公開の情報によると、近年は木材の輸出と産業用機械の輸出が50%増と大幅に上昇しています。
また、国別ではEU内東欧諸国への輸出入が年30%近く急拡大しています。これらは東欧への生産移転に伴う貿易需要だと考えられます。
https://bit.ly/3UAvGeF
5.FDI(直接投資)について
オーストリアにはEUからの自動車、製薬のR&D拠点が多くあるそうです。
JETROの資料によると、ドイツからの対内直接投資が多いです。また、オーストリアからの対外直接投資はポーランドが最も多くなっています。
歴史的なつながりから、オーストリアは元々はハンガリーへの投資が多かったそうですが、近年はポーランド向けが伸びているようです。
労働集約的で低技術の生産をこれらの国々に移転させ続けているそうで、東欧諸国へのアクセスを求めるEU企業を惹きつける役目を果たしています。
詳しく調べてはいないので正確なところは不明ですが、90年代のEU加盟後にドイツからのアウトソーシング需要でFDIが活発になり、ある程度産業が成長した結果、単純労働力としての魅力が低下したのでしょう。
その結果、ある程度の規模になったオーストリア企業が、今度は東欧に単純労働力のハブを移していると考えられます。
ドイツの下請けがオーストリアで、その下請けが東欧という構図になっていると想像すると脅威深いです。
https://bit.ly/3UxvFrO
これらの調査から、オーストリアは産業構造的にも地理的にもドイツの属国といった印象を持ちました。
オーストリアを投資先として検討してみる
1.ETFのパフォーマンス確認
「なんで今オーストリアなの?」と思われている方も多いと思います。
その理由ですが、ひとえにPERです。
これには、今の世界的なマネーフローが関係しています。
くわしくは前回の投稿をご覧いただければと思います。
https://note.com/mecox/n/ne702da4768ad
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