刑事訴訟法 問題4

 警察官Kらは、週末の夜に、繁華街から郊外に向かう幹線道路の路上において、飲酒運転等の交通違反取り締まりを目的として、同所を通過する車両に対して無作為に停止を求める検問をを行なった。
 かかる検問において、Aの運転する車両が通りかかったため、KはAに対して停止を求めたところ、Aそれに従い車両を道路左端に停止させた。窓を開けたAに対してKが話しかけ、アルコール検知器に息を吹きかけるよう依頼したところ、Aはそれに応じた。Aの息にはアルコールが検知されなかったことから、Kは「ご協力ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。」と言い伝えた。その後、Aは車を発進させてその場を離れた。KがAに対して停止を求めてからAがその場を離れるまで3分ぐらいのことであった。
 以上のKらの行為は、適法か。


1 警察官Kらの行なった自動車検問は適法か。明文の規定がなく、また、具体的な不審事由に基づかずに行われるため問題となる
2 この点、判例は警察法2条1項を根拠として認められるとしている。しかし、同法は組織法にすぎず、警察官の具体的な職務の根拠条文とすることは妥当でない。
 そこで、自動車検問も職務質問の一類型であるところ、警察官職務執行法2条1項で認められていると解する。そして、自動車については停止させなければ不審事由を確認できないため、自動車を運転する者に対して職務質問の要件を確認するために停止を求める権限を当然に認めていると解する。
 もっとも、不審事由がいまだ認められない段階で無差別に行われるものであるから、適正手続(憲法31条)見地から、①交通違反の多発する地域等の適当な場所において、②相手方の任意の協力を求める形で、③短時間の停止を求め、④自動車利用者の自由を不当に制約しない方法・態様で行われることが必要であると考える
3 本問では、飲酒運転が多いと考えられる、週末の繁華街から郊外へ向かう幹線道路で行われているため、交通違反の多発する適当な場所といえる(①)。また、アルコール検査は、被検査者に依頼するという任意の形で行なわれている(②)。さらに、アルコール検知器に息を吹きかけアルコール濃度を測定するだけであることから、対象者の自由を不当に制約せず(④)、そのかかる時間も3分ほどという短時間でなされている(③)。
4 したがって、Kらの行った自動車検問は適法である。
以上


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?