有限要素解析の意外な落とし穴と対策

有限要素解析はとても便利。
特にソリッドワークスのシミュレーションは操作も簡単で使いやすい。
しかし、モデリングや計算の特性上、応力集中が発生し局所的に「壊れる」結果が出ることがある。
この原因はいくつがあり、
接触状態の設定が現実と異なる
モデルは角がピン角
板金の曲げ半径がモデルはとても小さい
などである。
とはいえシミュレーションでの応力集中は仮にモデルと等しい実物の場合も起こるのであろうから。
問題の解決方法の一つはモデルや境界条件を現実と等しくしてやることである。
しかし、これは現実的ではない。
モデルに糸面取りを施したり、複雑な境界条件を設定するのは大変だからである。
また、そもそもこのような過度な応力集中は機械工学を学び、実際に自分でものを作ったり、実験した者であれば、ある程度問題ないと判断出来るはずである。
しかし、こと実際の企業に置いては、設計の妥当性を判断する上司が機械工学を学んでいないこともあり、過度な応力集中を無視することが出来ない場合がある。
これが現実世界において、意外と気付かれない落とし穴なのである。
筆者も同様の落とし穴で苦労した経験がある。
この打開策として、ソリッドワークスシミュレーションには、応力集中の主要因ががメッシュの細かさに起因しているかどうか判別する機能が用意されている。
「応力ホットスポット解析」である。
この機能は応力集中している部分を自動的に検出し、その部分のメッシュをさらに細かくし、繰り返し計算を行う。
これによって、イメージとしては角の先端に近づくに連れ、力のかかる面積が小さくしていくことでその部分の応力が増大していくことを判定基準に角かどうか確認するというわけである。
これによって大きな応力の主要因が解析的な角(特異点)であることを特定するのである。
さらにこのような部分を解析結果から除外し、見かけの結果を合格の方向へ動かすのである。
ここまでできれば機械工学に詳しくない者でも「壊れないな」と思えるのである。
この機能、なかなか有益である。
しかしやり過ぎは禁物である。
判定基準値(無次元化されており意味は不明)を緩和しすぎると、本来の形状を超えて結果から除外してしまい、実物で壊れる可能性のある部分ですら壊れないと示してしまうことがあるからだ。


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