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お家芸「見切り発車」
こんにちは目箒です。
「架空の法律」をテーマにしたコンテストに応募したい作品「#ブントリ」の進捗記事です。
ご覧の通り見切り発車で投稿しました。締切近くなって20000字行ってなかったら応募取り下げる。
前置き
この作品に、表現の自由を制限する意図はありません。作中に登場する法律は「悪法」として扱い、最初は制限に賛成していた主人公が「やっぱ良くないね」と心変わりする話です。このnote、あるいは作品を表現の自由を制限することへ賛成しているかのように扱う事はおやめください。
前回までのあらすじ
前回はディストピア法律とそれが取り締まるもの、取締官の上から目線について書いて、こう言うものをぽんぽん思いつく自分にドン引きしました。う~ん私ってば想像力が豊かだなぁ(白目)。
という事で、基準になる設定の説明をしたところで、次! 密輸事件に乗り出すぞ!
私の悪い癖
書きたいシーンから書いて行く。
順序立てて書くのがすごく苦手なので、思いついたところから書いて、の間をつないで行く感じで書いていきます。
ということで、渡司さんが自分の信念を萩間くんに打ち明けるところを書きました。
ちなみに、渡司さんがこの法律を危険視する理由について全然考えてなかったので後付けで設定しました。
「あのねぇ、ハギくん」
渡司は穏やかに言った。
「渡司には息子がいてね」
「えっ?」
萩間は驚いて渡司の顔を凝視した。
「そ、そうだったんですか? 知りませんでした」
「うん。話してないから。一緒に暮らしてたの、六年くらいだし」
心臓が早鐘の様に打っている。自分の前提が、思い込みと言う名の誤りだったんじゃないかと言う予感。
六年しか子供と暮らしていない。
それは六年で子供が死亡したか、あるいは──。
「小学校上がるときの試験に落ちちゃってさ」
最初の上位文化試験で不合格になって下位文化社会に送られたか、だ。
誰も幸せにしないんだよなこの法律は。
「わ、渡司さん……」
「軽蔑する?」
「ど、どうして?」
「子供にちゃんと教育してやれなかった父親が、ブントリなんかやってて。お笑いぐさでしょ? しかも君みたいな前途有望な若者の指導係だって。怒った?」
裏切られた気持ちになったのは確かだ。
「で、でも、渡司さんは試験に受かってるじゃないですか」
「──うん」
渡司は目尻に皺を寄せて困った様に笑う。
「ハギくんは、下位文化の人が嫌いでしょ?」
唐突に、そんなことを言われた。この人は、こんなに皺があったのか。細かい濃い影が顔中に根を張っている。
「俺は──」
「良いんだ。知ってるよ。でも、渡司には優しいハギくんのこと、渡司はどうしても嫌いになれなくてね」
渡司さんは絆されやすいので、自分の息子も所属する不合格者たちを下に見る萩間のことも憎みきれていません。渡司は苦悩を抱えた優しい大人です。
「渡司がね、息子が試験に落ちて離ればなれになってもブントリ辞めない理由、知りたい?」
「教えてください」
「この法律の問題点を整理するためだよ」
夕飯の献立を告げるみたいに言われた。
「ほ、法律の問題点って」
「言っておくけど、渡司はずっとおかしいと思ってたよ。幸児が試験に落ちる前から。だって、そうでしょ? 渡司たちには、健康で文化的な生活を送る権利があるはずでしょう? それなのに、ペーパーテストの結果だけで読めるものが変わってくる。現実と虚構の区別なんて、教育という名の話し合いを重ねるべきものでしょう?」
怒りが滲むでもない。ただ、世間話みたいに穏やかにゆっくりと話す。萩間の心は底が抜けてしまったようだ。何も考えられない。ただ、渡司の言葉を聞いている。
どうしよう。俺はどうしたらいいんだろう。何故だか、そんな焦燥感が心に満ちる。
「別に、今ハギくんに考え直せとは言わないよ。捜査、頑張ろうね」
「は、はい……」
「ハギくんが少しでも、渡司みたいな人間の苦しみを理解してくれたら、そりゃ渡司は嬉しいけどさ」
渡司はそこでようやく萩間を見た。
息子を見るような穏やかな顔をしている。
「思想って強要するものじゃないからね」
その一言で、心臓を突き刺された気分になる。俺は、この人に何をし続けていたんだろう。俺の主張してきたことは。俺の言っていたことは……。
思想も言葉も、扱いを間違えると凶器になりうる、というお話ですね。
ちなみに、筆が動くままに書いていたんですが、「教育という名の話し合い」というのは我ながら上手いこと言ったなと思っています(自画自賛していくスタイル)。
これで一気に文字数増えて、5200字になりました! 字数が全てじゃないけど、字数ないと土俵にも立てないので。とりあえず4分の1だ! 頑張るぞ!
ということで次回も読んでくれよな! 本編もよろしくね!
これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。